第2話 編入②

 あれから時間が立つにつれ沢山の編入生が講堂を埋め尽くしていた。


(人が多くなってきた。どうしよう…誰かに話しかけてみるか?でも、急に話しかけても隣のレイナさんみたいになっても嫌だしな)


 ヒナタが人に話すか話すまいか考えている時だった。講堂の照明が消え先程までお喋りをしていた学生達が静まりかえった。


「ようこそ、ルドガル学園へ」


 先程まで誰もいなかったはずの壇上に一人の白髪の老婆が現れた。


(あれは…透過魔法かな?)


「私は、ルドガル学園の学園長を務めている。

ケイシー・モルドアです」


(あれが師匠の知り合い…)


「ここにいる編入生の皆さんにはこの学園の授業を受けていただき将来この星に新しい魔の真理を発見していただくとともに、未来に繋いで頂ければと思います」


「我々は皆さんの勇気と挑戦に期待します」


 この言葉にここにいる生徒の反応はそれぞれであった。


 だが、皆が一同にこう思っていた。ここがルドガル学園なのだと…


「さて、堅苦しい挨拶もここまでにして概要を話しましょう」


 学園長が指を鳴らすとともに空中に炎の文字が現れた。


「今年の編入生は1580名、ルドガル学園から進学科に進んだ在校生は2320名が進学科に所属することになります」


炎の色が青色に変色し、文字が変わった。


「この学園には4つの学部が存在します」


魔法での戦闘を学ぶ、戦闘学部

治療の魔法を学ぶ、治癒学部

魔法道具などを開発する 魔道学部

魔物の研究や実験を行う 研究学部


「皆さんには希望した学部にそれぞれ所属していただきます」


(席がわかれているのはこの為か…)


「そして、皆さんにお伝えしなければならない事があります」


 学園長が深い笑みを浮かべるとともに場の空気が変わった。


「この学園には闘技場が存在しており、ランキング制度が存在しています」


(あの人…絶対戦闘狂だ)


「皆さんが競い合い、高め合う姿を楽しみにしています」


 そして、学園長は透過魔法を使用しながらゆっくりとその場から消えるのであった。


「学園長ありがとうございました」


 頭上から一枚の用紙が現れ、それぞれがその用紙を手に取る。


「皆さんにお配りしたのは、1週間後から始まるそれぞれの学部の受講内容になります。編入生の皆さんにはこの学園の寮に住んでいただきます。

部屋の番号も記載されておりますので、このあと移動していただくようお願い致します」


 照明が講堂を再び照らし、それぞれが泊まる寮へと移動を始めた。


(最悪だ…ランキング制度なんて、絶対に無理だ)


「ランキング制度なんてこの学園、頭おかしいよね…ってもういないし」


 ヒナタは、隣に座っていたはずのレイナに声を掛けようとしたがとうの本人は移動した後だった。


「は〜、とりあえず行こうかな」


 僕は、渡された用紙に目を向けながら、用意された部屋に向かった。



 ヒナタは、その場で立ち尽くしていた。その理由は…


「寮がデカい、広い、八階建てだと…これそこら辺の大病院より広いんじゃ…」


僕は、寮の中に入り自分の部屋を探した。


「え〜と、3033番…あった」


 用紙とともに渡されたカードキーで中に入った。


「おじゃましま~す…え?」


 僕の目に写ったのは、先程隣の席に座っていたレイナさんだった。しかも、タオルで身体を覆いながら…ヤバい


「……死にたくなかったら今すぐ閉めなさい」


 僕は、そっとドアを閉めその場に棒立ちになった。


「うん、逃げずに話せばきっとわかってくれるはずだ」


部屋のドアが開けられ、レイナさんが顔を出した。


「あっ、実は…ガハッ…」


 僕は、強烈なボディーブローをくらい部屋の中へと文字通り引きずり込まれた。


「それで、最後に言いたいことはそれだけかしら」


「まってぐだざい、ゴホッゴホッ…紙、この紙をみていただければ」


レイナさんは僕の紙を手に取り目を通した。


「…は〜、仕方ないわね」


「わかっていただけましたか!」


「学園の決定だもの受け入れるしかないわ」


「その…許していただけるのでしょうか?」


「今回は大目に見てあげるわ」


「ありがとうございます」


「その代わり、私に話しかけないでちょうだい」


「え…」


「私は、無駄な事が嫌いなのとくに貴方と関わる時間に利点を何一つ感じられないのよ」


(ここまで言われると流石に辛い)


「いいわね」


「……はい…」


こうして、僕の学園生活が始まった…


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