老い

前の職場の奴らと遭遇したくない

私は車を東に走らせた

どんどん離れた

逃げなきゃいけない理由なんて

何一つないのに

私は奴らにとって悪者


「昔、住んでたところへ行ってみよう」

郊外のかつての新興住宅地

楽しみなわけではない

ただただ距離を取りたいだけ


高台にある県営住宅

「よくこんな坂をのぼっていたな」

10階建ての旧我が家

肌は色褪せ、化粧は落ち、

息さえしていないようだ


周りをぐるりと走り

スッとその場を去る

40年以上も前の思い出の街は

私とともに老け込んでいく



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る