第32話 恨みは深しミッドウエー海溝・・Ⅲ

敵さん、今回は夜襲を恐れて日中海戦を望むみたいですね。

真珠湾を夜半出港し、昼前後に開戦でしょうか?

我等艦隊も今回は徹底的に沈めるつもりで対戦します。


トラック環礁を出撃した我等は敵潜水艦を警戒する駆逐艦。

哨戒飛行をする彩雲、各電探隊員以外は弾丸を磨いたりチャートに航路を

書きこんだりする程度。


信濃の艦橋で副官の淹れてくれた熱い茶を飲みながら海原を眺める。


「元帥、落ち着いてますね。」


「ハッハッハ!!おいどんはもう96だぞ。

本来なら墓に詣でてせごどんのあんさんに再会してる頃じゃっど。」


「ですよね。でもお若いですよ。元帥は。」


「まあ神様の思し召しのおかげじゃ。おまんさぁ等が次の時代に我が海軍を

引っ張れる様にすっとがおいどんの使命。

今回の海戦は・・・。」


多くは語らず、黙って海を見つめる。


今までの海戦では敵に情けをかけた。

しかし次の海戦は鬼と言われる覚悟だ。

我が方も無傷とは言えまい。

被害も出るだろう。


だが本海戦こそが帝國の未来を確定する。


前世でもアメリカが勝った事で世界を制した。

そして約八十年もの栄光の時代を得ているのだ。

そしてドルも世界の基準通貨として通用。

逆に日本は1945~55年代と言う技術革新の時期を占領政策で

封印され、軍も持てず、朝鮮中国如きにベロベロに舐められる始末。

そんな時代には絶対にさせたく無い。


本海戦の礎となる若者よ。

諸君等の犠牲は帝國の未来のためにあるのだ。


腹を決めて作戦を脳内で決める。


次の海戦こそが帝國の未来!


逆にアメリカ側は負けたら海軍を再建するのは不可能になるだろう。


占領は不可能であろうが、大敗北を喫すれば艦隊を持ちたくても

民衆が反対するのがアメリカと言う国よ。


思考を戦闘に戻し、幕僚を集め作戦と目標を告げる。


「諸君、本海戦はミッドウエーの占領、並びに米艦隊の殲滅を目標とする。

まずは米艦隊を・・・潰せ。

本海戦は米太平洋艦隊の殲滅を第一目標とする。

それまではミッドウエーは放置してヨシ。」


「げ・・元帥閣下。。宜しいのでしょうか??」


「ン??おいどんはこと戦場では慈悲は持たない人間じゃっど。

特にアメリカはインディアンとの争いでも見られる通り、敵を徹底的に殲滅するまでは容赦しない人民。我が海軍が慈悲するのは敵が降参した時よ。

今回は出し惜しみ無しで全戦力を注入する。

航空戦隊も潜水艦も全てじゃ!!」


「了解しました。陵艦の桜島にも電文(暗号)しておきます。」


「ウム、戦闘は1200開始。

早めに戦闘食を支給しクソ小便を済ませておく様に伝達せよ。」


戦闘開始時間が伝わると各配置に握り飯と食缶に入れた味噌汁が支給され、

食事を開始。

そして便所も済ませ戦闘準備を整える。


戦艦の命、主砲塔内部では・・・。


「発射装薬を新薬に交換、尾栓にススが無いか確認セヨ。」


先任下士官に依り主砲の最終整備や装薬の準備に追われてた。

兵士もこの一戦に命を懸けていた。


一方、米艦隊も・・・。


「提督、敵艦隊はミッドウエーの500km沖合で停滞してる模様です。

会合時間は敵の国の時間1200と見ます。」


>時差を日本時間で進めますので御容赦下さい。(;^ω^)


「ヨシ、全艦に告げよ。戦闘開始は1200.

それまでに食事とトイレを済ませておくように。」


レイモンド・スプルーアンス大将は先任のハルゼーの後任としての、

初戦闘にも関わらず冷静に戦闘指示を勧める。

旗艦、モンタナⅡのブリッジは緊張に包まれつつあった。


そこへ・・・。



「て・・・提督、空母エンタープライズが・・・!」


悲鳴が聞こえ、空母艦隊方向を見ると・・。


ビッグEことエンタープライズが三つに折れ、轟沈!!


「サブマリンか??駆逐艦はナニをしてた!!!」


怒鳴るがそれからも次々に空母が食われる。

せっかく仕上げたジェット部隊の新鋭機、パンサージェットが・・。

傾いた甲板からボロボロと落ちて沈んで逝く。

空母は火だるまとなり沈む。

全空母五隻が食われるまで悲劇は続いた。

サラトガ、レキシントン、ヨークタウン、ホーネット。


太平洋艦隊所属の空母全部が・・・食われた・・・。


JAPのサブマリンはバケモノか・・・。




後書き


まずは潜水艦に活躍して貰いました。

東郷元帥の怒りがさく裂するか??


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