第24話 レイテ沖大海戦勃発ス (死ス)

スクリューを破壊され微速の太平洋艦隊は真っ青だった。

ハルゼーも何とかせねば・・・と焦るが、最前線ではどうにもならぬ。

スクリューが壊れてるならドック入り確定。

しかし太平洋のど真ん中では・・・。


「提督、敵艦隊突撃して来ます。速度35ノット!!」


側近が発狂するが、見事な艦隊機動で我等に襲い掛かって来る。

ヤマト型が3隻・・また増えたのだな。

全ての艦が35ノットとは・・。


「全艦、敵と相対しないようにしろ!!

砲撃準備急げ!!」


機関は動いてるので砲撃は可能。

だが艦砲は速度もある程度は必須なのだ。

それが赤ん坊みたいにヨチヨチ速度では。。

結果は見えてるが反撃は必須。


「敵との距離45000m!!砲撃可能です。」


「ヨシ、照準出来た艦や砲塔は自由に射撃セヨ。ッテ~~~!!」


最初に火を噴いたのはモンタナ。

次がアメリカとミズーリ号。

どの艦も最大射程45000で発射。

ただしレーダー射撃で光学照準ナシなので遠遠で明後日の方角に水柱。


「敵艦発射。距離45000、我が艦隊とは違う方角ナリ。」


彩雲がしっかり偵察してくれてるので、我等は焦らず電探と光学、そして偵察に依る

三点式で照準。


「元帥、照準完了です。」


「ヨシ、自由に射撃セヨ。テェ~~~!!」


合図と同時に旗艦信濃のマストに栄光のZ旗がスルスルと登る。

水平線には朝日が昇り出し、敵艦のシルエットも克明に見える。

各艦は続々と主砲を発射。

当たらない50cm砲よりしっかり照準した45cm砲では破壊力も違う。


最初に被弾したのは戦艦アメリカ。

信濃の砲撃が全弾命中し、煙突を破壊。

煙突に飛び込んだ弾丸は装甲を破り機関室に突入。

メリメリメリと言う音と共に機関室は火を噴き、竜骨を貫く。

そして...!


帑駑ーん!


形容出来ない轟音と共に爆発して轟沈!


「提督、アメリカが!!!」


絶句してた。

就役したばかりの新鋭艦アメリカが・・。


二つに折れ、南方の海に消えて逝く。


「めげるな!!!敵は待ってくれんぞ!!撃て撃てぇ~~!!」


ハルゼーはマイクに手を取り、士気を鼓舞する。

まだ負けてはいないのだ。

だが次に大和型の砲弾がミズーリの主砲を破壊し、海に吹き飛ばす。

新型艦のアーマーは対40cm砲の装甲だったのが後に発覚する。

おかげで楽に装甲をブチ抜けたのだが。


ミズーリは次々に被弾し、右舷に大穴が開く!

大量の浸水で右に傾き、吹き飛んだ主砲パーペッドの大穴からも浸水。


そしてミズーリは右に横転、転覆!


主砲が旋回パーペットから抜け落ち、横転した砲弾が誘爆。


ズガァ~~~ン!!!

8万トンの巨大艦が誘爆し、キノコ雲を噴き上げ轟沈。


「何故・・・敵は我等の艦の装甲を抜けるのだ??

ミズーリ号が・・・・・。」


ハルゼーも理解出来ずパニックになっていた。


そして次の砲撃がハルゼーの乗るモンタナに・・・と、思ったら。


「提督、巡洋戦艦カイザーが・・。」


見ると機関もスクリューも無事だった巡洋戦艦がモンタナの前に出て・・。


艦首を吹き飛ばされ、次々に被弾。


一瞬で業火に包まれカイザーも轟沈。


「スマン。カイザーの諸君。。」


カイザー級は負けじと全速で突入するが、雷撃を食ったのか・・。

次々に撃沈されて逝く。


「JAPのトーゴーは強い。神がかる強さだ。」


ハルゼーは心が折れた。


「副官、スマンが機関を止め白旗を揚げ降伏の意思を示してくれ。」


「提督・・・。」


「俺は責任を取って逝く。後を頼む。」


副官を始めとする幕僚は執務室に消えるハルゼーに敬礼する。


「偉大なる合衆国大統領閣下、太平洋艦隊司令、ハルゼー中将です。」


「おお、ハルゼー君か?JAPは仕留めたか??」


「・・・完敗しました。アメリカとミズーリを喪失。

モンタナも被弾多数で反撃不可能となり降伏します。

二度の敗北の責任は全て私にあります。合衆国万歳!!」


電信マイク前でそう言うと額に当てた拳銃を発射。

ハルゼーは全責任を背負って黄泉に旅立つ。


大統領は銃声を聞き、受話器を置く。


硝煙が残る執務室前では全幕僚が再度敬礼。


モンタナは機関を止め戦闘停止し無電で降伏を申し出る。


「元帥、敵が・・・。」


「ウム、心が折れたのだろう。まさに武士もののふよ。」


東郷はハルゼーが責任を背負って逝ったと察する。


モンタナや他の艦艇のメインマストから星条旗が下され、代わりに白旗が掲揚。

他の艦隊も機関停止し、モンタナの周囲で停船。


「元帥、またも見事な采配で・・。感服しました。」


「山本よ、勝つには準備と戦訓、そして訓練よ。

ただし厳しいだけではアカンぞ。

たまには飴も必要。

戦果を揚げたら昇進、昇給は必須。

特に下級兵や下士官には充分にな。」


「了解です。元帥閣下。」


モンタナの艦上では各艦長がハルゼーの水葬準備で大忙し。


我等も白い軍服に着替え、冥界に逝くハルゼー君を看送ろう。


モンタナは撃沈には至らなかったが既に被弾でボロボロ。

火災は鎮火してたが、同型艦二隻の轟沈はさすがに戦意喪失。

軽巡洋艦や巡洋戦艦も半数以上撃沈し、空母は役立たず。


ハルゼー提督の遺体は星条旗に包まれ水葬を待ってた。


捧げ銃で空砲を撃ち、星条旗に包まれたハルゼーの遺体は南洋深く消える。





「アドミラルトーゴー閣下。またも完敗でした。」


副官兼モンタナ艦長が敗北を告げる。


「ウム、貴殿等も良くぞ一年で戦備を揃えて来たのはさすが合衆国。

我が国なら一戦で破産だわ。ハッハッハ!!

ハルゼー君は残念だったがね。

良き軍人の鑑みたいなヤツだったのじゃろう。」


「・・・・ハルゼー長官は大統領閣下に敗北を告げ、責任を負って逝かれました。

また戦備はともかく、人員の喪失が我が国家でも甚大な損失となってます。」


「フム。。まあ貧乏な我が帝國は捕虜は取らぬ。コレヒドールに立て籠る兵も

引き取ってくれるのだろう??」


「お許し頂ければ・・。」


そこからは戦場の話し合い。

まず空母は全航空機を遺棄。

駆逐艦や巡洋戦艦、そしてモンタナは拿捕。

空母は武器弾薬の遺棄を条件に帰国兵の引き上げ船として使う。


マッカーサー元帥だけは捕縛。

理由は後程。。



後書き


やっと海戦終わり。

ハルゼーさんはカッコイイ逝き方にしました。

コーンパイプ野郎の処理は次回。

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