大元帥の野望

第17話 大元帥の野望

新鋭戦闘機震電はそれまでのプロペラ機では絶対に突破出来ない音の壁を破れる機として世界、特にアメリカ側に恐怖を与えた。


現状の機では弾幕でもまぐれ当たり以外は被弾させるのは難しいだろうとの見解。

速度が速すぎてジャイロ式の照準器(当時完成したばかりの新鋭照準器、

実史の零戦も食われたと思います。)でも、追いつけない速さ。


米軍側も新鋭機を開発はしてるが、せいぜいF4UかP51(双方共に試作のXが取れたばかり)。


どちらもJAPの新鋭機以外では世界最強クラスのプロペラ機だが、


JAPのジェット機は隔絶してた。




「大統領、JAPの新鋭機はとてもではありませんが、勝てません。」




「それを何とかするのが軍部だろう?」




「仰る通りです。

ですが、技術者に聞くと現代のプロペラ機からジェット機に移行するには、

最低でも数年。下手すると10年はかかるそうです。」




「そんなにもか・・。」




「どうでしょう、JAPのトーゴーとは講和してドイツ戦に専念されては??」




「ならん!!」




ルーズベルトは激高した。




執務室は机を叩く音が響き、ルーズベルトの怒りが轟く。






「JAPは叩き潰さねばならんのだ。」




ドイツとは講和してもイエローモンキーのJAPだけは叩き潰す。


現在開発中の超空の要塞、XB29でも叩き落されるであろう。




大統領補佐官は頭を抱えながら執務室を後にする。











「大元帥、ルーズベルトは震電ショックで参ってるらしいです。


台湾空襲も震電ショックで壊滅に近くなり、空襲を止めたみたいです。」




「山本よ、アメリカは日本との講和は絶対にせんど。


おいどんは未来を見て来た。」




霞が関の海軍省執務室で山本と東郷は未来の話をする。




「前世でおいどんは86で逝った。あれは昭和9年だった・・・。


そしておいどんは・・・お前等の逝くのを黙って見てた。

魂としてな・・・・・・。

真珠湾攻撃は確かに見た目は成功した。

だが浅い港湾で撃沈しても二年もあればアメリカは引き揚げるぞ。

アリゾナだけだったな。完全喪失は。

終戦間際には日本本土を艦砲射撃しておったぞ。


ミッドウエーも南雲とか言う小僧の稚拙な指揮で歴戦搭乗員と空母4隻を壊滅。

後世では魔の五分とか言っておったが、おいどんに言わせれば・・。

間抜けの五分だったわ。

最前線で悠長に爆弾を魚雷に交換なんぞしてればバカでも勝てる。


ガダルカナル島では幾多のパイロットを死なせ、

陸軍もインパールやガダルカナルで無駄死に。


そしてレイテ沖海戦では栗田が多くの犠牲を投入したのに恐怖に負けてUターン。


後に謎の栗田ターンと笑われてたぞ。


山本も前線視察で待ち伏せに遭い戦死。


そして多くの特攻隊を投入するが、広島と長崎に原爆を落とす。

20年8月に無条件降伏。


そしてソ連乱入で満州の民がソ連兵に襲われる。


大和も長門も全て海に消え、我が帝國海軍は消滅する。」




「元帥・・・。」




「ルーズベルトやアメリカ政府は絶対に講和はせぬ。


時間は奴等の味方となる事を知ってるのだ。


じゃっどんおいどんは神様かんさぁのおかげで現世に戻って来れた。

満州、朝鮮、大陸を切ったのも勝つ為だ。


この戦を日本の勝利にする為には・・・。」




深夜まで山本と東郷の会談は続いた。


山本も東郷の秘密を知り、彼の全てを受け継げる人間になろうと考えてた。




各艦隊の整備はほぼ終わり、空母もカタパルトとアングルドデッキ式に改造。

他に格納庫をシャッター式に変更し、戦闘時はシャッターを開け解放。

これに依りガソリン漏れなどあっても誘爆の危険を減らせる。

エレベーターは舷外の折り畳み式となり、甲板に穴も開かない。


戦艦も機関のオーバーホールを終え、駆逐艦は魚群探知機を設置。

この探知機は最重要機密として、万一拿捕される場合は爆破セヨ、

と、厳命。


日本周辺の海底(浅瀬)は駆逐艦部隊が探知機で沈没船や暗礁の調査を

毎日行い、伊号潜水艦を相手に対潜水艦戦を日々実践。


また木製の対潜哨戒機東海も開発。

戦闘機には不向きなパイロットを大勢採用し、日々潜水艦を捜索。

電探を備え、退屈な長時間任務に耐える我慢強いパイロットが居る。



トラック島では機密を守れぬ事から大隅海峡中間に所在する馬毛島に機密基地を建設。


鹿屋の前進基地としても艦載機の訓練地としても満点の島となる。




戦時中なので悠長な建築は出来ぬが、カタパルト式滑走路を設け、

タンクは設置せずに港湾にタンカーを接岸し、万一の空襲の際は

タンカーは退避する仕組み。


零戦を卒業できたパイロットは馬毛島に転勤し、24時間、

ジェット機震電の訓練を続けている。


疲労が溜まったら後方の鹿屋、大村、宮崎に交代し、休養。




震電も11型から21型に更新し、決して奢らぬ様に開発の手は止めず。


中島、三菱、川崎の三社は今や世界最先端の航空産業企業だった。




愛知、川西は回転翼のヘリコプターと水上機に専念。




徐々にベールを明かす事となる大提督の野望。




東郷は言う。




「おいどんはこげなモンで満足はせん。見とれよ!!ルーズベルト!!」






後書き


馬毛島を活用し、24h特訓の島にします。

東郷と山本はナニを語ったのでしょう。


そして野望とは・・。

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