第16話 恐怖!震電ジェット戦闘隊初陣ス!!

時は昭和18年も明けた。

蒼空では零戦が連勝してたが、段々被害も増えて来た。


幸いにも味方上空なので、脱出して救助出来るので損害はソコまでは無い。


だが被害も皆無では無い。


敵も新鋭機を出して来たのだ。


P38とP51A、グラマンF6FとヴォードF4Uコルセアと言う大馬力戦闘機を。


どの機も装甲を固め、15粍では簡単に倒せなくなって来た。


>以前は一撃で撃破出来ました。


ZEROの機銃弾が15粍と判明したので、耐弾性能を上げ、

装甲を固めて来たのだ。


さすが米軍と東郷も感心する・・。




「大元帥、そろそろ新鋭機を・・。」




「ウム、許可しよう。まずは台湾に配備セヨ。


整備士と搭乗員も交代してな。」




鶴の一声で新鋭機震電の配備が開始された。

その数200機。

全員、内地で鍛え上げたジェットの先進者である。


世界初のジェット戦闘隊の産声は台湾で開ける事となった・・。


旧台南航空隊のパイロットは全員、内地に引き揚げジェット部隊に編入。





時は1943年、2月。

ルソン島を飛び立ったB17は今までと違い、エスコートが付いてた。


P38と言う双発新鋭機だ。

航続性能もルソン島からタイワンを往復、かつ戦闘も可能。

機首に20粍砲4門を装備し、ZEROの装甲もブチ抜けると豪語。

ドロップタンクも装備すれば余裕を持って戦闘出来る。

そう確信し、なおをかつ、ZEROにも対抗出来ると、

クラーク基地信を出陣させた。




B17、80機とP38、80機の計160機の大編隊。


今日こそはタイワンに爆撃を食わすのだ!!と勇ましい気持ちで出撃してた。


轟轟と轟く爆音も勇ましく、米軍の戦意は上昇。




「ヘイ、君達が俺たちを護衛してくれる新鋭機部隊か??」




「少佐、護衛はお任せ下さい。


今日こそはタイワンを火の海にしましょう。」




「頼もしいな。ZEROを斃してくれよ。」




クラークを飛び立った彼等は護衛機と共にバシー海峡上空を飛んでた。




「気をつけろ。奴等がそろそろ出て来る頃・・・??」




その時だった。




今までの敵とは違う機が下から突き上げて来たのだ。




スゴォォォ~~!!!!と言う聞いた事の無い轟音で・・。




敵は強烈なパンチで護衛のP38を一瞬で爆破してしまったのだ。




木っ端みじんとなった機は塵となり海に消えて逝く。




「あ・・・アレは・・・。」






「突き上げろ!!止まるな搔き廻せ。」



低空(海面ギリギリ)から急上昇したのだ。


震電隊を率いる岩本徹三中尉は次々に護衛のP38を続々と刈って逝く。

蒼空には今までと違う、新時代の航空戦闘が描かれようとしてた。




「速度を落とすな!!一撃で突き抜けたら上空まで突き抜けろ!!


震電は速度こそが命だ!!」




B17部隊もZEROとは違う、尻から火を噴きプロペラの無い高速機に呆気に取られてた。




震電は世界初のジェット機として戦争に加わり、迎撃機としても優秀。


ジェットの弱点、停止状態からの加速もレシプロエンジン並みに克服し、


今後数年は無敵時代を築く礎となるのだ。


>配備まで時間が掛かったのはスロットルの反応を克服する為です。

実史のメッサージェット機もゆっくりスロットルを開けないと失火してしまい、

エンジンストールする欠点がありました。



岩本は酸素マスクに装備されたマイクに向かい、部下を指揮。


一気に編隊を突き抜け、

10機近くを撃墜した彼等は高度8000mまで上昇すると・・。




「迎撃小隊、空対空ミサイル全基発射セヨ。

援護部隊は迎撃小隊を援護。ッテェ~~!!」




B17は混乱はしてたが編隊を組み直し防御を固めてた。




「コマンド部隊、編隊を崩すな!!近寄れ!!」




B17指揮官は何とかしようと必死に指揮してたが、そこへ死の鉄槌が無常に降り注ぐ。




震電の胴内弾庫ガンポッドから発射された空対空ミサイルは煙の尾を引いて音速まで加速。


敵は煙のナニかが見えたと思った瞬間、彼等は空で蒸発。




編隊を詰めていたのが仇となり近隣の機にも誘爆。




ドゴォ~~ンと言う音と共に彼等は塵となって空に消える。


パニックになった残りのB17や護衛のP38は爆弾も増槽も捨ててルソン島に逃げようとするが、速度も乗ってる震電から逃げる術は無い。


「逃げろ~~!!作戦失敗!!JAPはバケモノを出して来た!!」




次々にミサイルが命中し、B17は空に砕け散る。


編隊を崩せば各個撃破。組めばミサイルの餌食。




「生き残りの機に告ぐ。エンジン焼けるまで加速し逃げろ。


護衛機、スマンが我等の盾となってくれ。」




P38部隊指揮官、チャールズボング中尉は新米ながら了解し、震電に立ち向かう。




だが震電は暖降下の加速で音速近くまで加速してた。

>急降下ではマッハを振り切り、照準不能と判明。




機銃も30粍4門。


マッハを超える機銃の嵐に阻まれボングは初陣で散る事となるのだ。


「・・・まだ経験が足りないのだろう。

悪いな、逝ってくれ・・。」


岩本はガンサイトに写るボングの顔を目掛けて30粍の連射を食わす。

驚いた顔のボングは次の瞬間、コックピットが粉砕し血の海となり爆発。


岩本は急降下で突き抜け、敵機の破片を避ける。


彼の部下の全てが一撃離脱でP38を刈りまくってる。

敵は勇敢だが、性能差が有り過ぎた。


蒼空には敵機の破片がキラキラと舞い、彼等の魂を天に導く。






B17の指揮官は彼等にすまないと謝罪しながらルソンに遁走。




P38部隊は80機中、75機。


B17は同じく80機中、60機の大損害。




クラーク基地に居たダグラスマッカーサー元帥は

青ざめた顔で着陸して来た編隊を見てた。




全機がボロボロで良くぞ帰れたと思う程。

P38に至ってはたった五機のみの帰還。

それも全機が胴体着陸で、着地後死亡する隊員も・・。


B17の指揮官は彼等に済まないと謝罪しつつも指揮所に急ぐ。




「元帥、現状の機ではJAPの迎撃機を突破出来ません。」




クラーク基地指揮官は真っ青な顔で報告。


「マッカーサー元帥、JAPはZERO以上の戦闘機を出しました。

尻から火を噴き、機首に太い火棒を装備したバケモノです。

速度は1000kmを超えてます。

現状の機では叶わないと思います。」


P38の惨状を見れば誇張では無い事は理解出来る。

どうすれば良いのだ・・。




台湾空襲は新鋭機配備まで中止となるのだ。




後書き

やっと出ました。震電ジェット機。


隊長は岩本さんです。

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