満島失踪に関するインタビュー: 金森侑太(満島担当の編集者)
……もう、誰に話してるのか分からないんだけどね。
どうせ、あの原稿のことを誰かに言わなきゃ、頭がおかしくなりそうで。
満島から最後に原稿が届いたのは、11月3日だった。
タイトルは『声』。ファイル名も同じ“voice_final”。
メールの本文には、たった一行だけ「もうしわけございません」って書かれてた。
いつもの調子なら、校閲への愚痴とか、編集方針の文句を一緒に送ってくるのに。
その夜だけは、妙に静かだった。
俺は眠気を我慢してファイルを開いた。
文章は確かに満島の筆だった。
あの独特の、冷たくて、陰鬱で、暗い作風。
でも五ページ目あたりから、崩れ始めた。
文の途中で行が切れて、同じ言葉が何度も繰り返されて。
「さがしています」「さがしています」「さがしています」――
それだけで、もう全身が冷たくなった。
ファイルを閉じたのに、勝手にまた開いたんだ。
中身が、さっきと違ってた。
「あなたが親ですか」って、一行だけ。
その瞬間、部屋の照明が一度だけ暗くなって、パソコンのモニタの光が天井に反射した。
その形が、どうしても満島の顔に見えた。
翌朝、彼の失踪が報じられた。
それからのことは、もう誰にも言ってない。
ファイルは削除したはずなんだ。
でも夜中になると、パソコンが勝手に起動する。
画面の中央にカーソルが点滅して、勝手に文字が打たれるんだ。
「知ってるんだろ」
「どこにいるんだ」
俺は……俺は何も知らない。親ってなんのことだよ。満島は何でこんな、気味の悪い…
満島がいなくなってからも、満島から原稿が送られてきてる。
ほら、今も、
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