第17章:リレーの不安、絆の選択

400mリレーを前に、奈緒の肩の不安が影を落とす。


奈緒は200m決勝で遙を応援した際に、無意識に肩に負担をかけてしまっていたのだ。


大山コーチが言う。


「奈緒のデータは、次のレースでは危険を示しています。このままでは選手生命にも関わる。杏奈に交代すべきです」


和子コーチが反発する。


「奈緒の心はデータじゃ測れないわ! 彼女の陸上への情熱は、数字では表せない!」


奈緒の脳裏には、怪我で走れなくなった夜、クロスビートのライブで魂を揺さぶられた記憶が蘇る。


鈴木コーチが静かに奈緒を見つめ、低く力強い声で言った。


「お前が走りたいなら、走れ。絆を信じろ。お前の魂の走りが、チームを勝利に導く」


選手時代に仲間を信じなかった後悔が、彼の声に宿る。


奈緒は鈴木コーチの言葉に深く頷いた。


「和子コーチ、鈴木コーチ。私、走ります。この肩がどうなっても、チームのために最高の走りをします!」


奈緒の決意に、遙たちは言葉を失った。


杏奈と恵美は、奈緒の覚悟に胸を打たれ、静かに見守っていた。


奈緒の想いを受け継ぎ、チームのハーモニーを守ること。それが今、自分にできることだと理解した。


対戦相手は、城南大学の鈴村梓(アンカー)と、山明大学の飯屋玲奈(3番手、美咲が1番手)。


鈴村は200mの敗北で動揺し、飯屋は美咲を道具として引き連れる。


遙、結衣、雪乃、そして奈緒がスタートラインに立つ。


結衣が呟く。


「私たちのハーモニー、絶対に負けない。奈緒の想いを、遙に繋ぐ」


雪乃が頷き、遙が拳を握る。


夕暮れの風が、戦いの序曲を奏でた。

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