第10章:消えたユニフォーム。美咲の裏切りと絆の試練
飯屋玲奈チームとの対決を制し、予選を通過した遙たちは、次の準決勝に向けてロッカールームで準備をしていた。
遙が自分のロッカーを開け、ハッと息をのんだ。
「私…ユニフォームがない…!」
遙、結衣、雪乃、奈緒、4人全員のユニフォームが消えていた。
準決勝の招集まであと15分。ロッカールームに焦りと絶望が広がる。
ロッカールームの扉が開き、2年生の谷口夏菜子と服部久美子が息を切らせて駆け込んできた。
「よかった…! 遙先輩たち、ユニフォーム、ここにありました!」
谷口夏菜子がユニフォームを差し出す。
「…ありがとう。どうして、夏菜子たちが?」
「私たちがロッカールームの近くを通った時、美咲が何か紙袋を持って出ていくのを見かけたんです。少し不審に思って、こっそり追いかけたら…近くの階段の陰に、先輩たちのユニフォームが入った紙袋が置いてあったんです!」
遙は信じられないという表情で、谷口夏菜子の言葉を繰り返した。
美咲が、まさかこんな暴挙に出るとは誰も想像していなかった。
遙たちは無言でユニフォームに着替え、準決勝の舞台へと向かった。
奈緒は美咲の裏切りに心を痛め、その真相を告げるべきか深く葛藤していた。
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その日の夕方。
奈緒は一人で自動販売機へ向かった。
通路を歩いていると、少し離れた場所から飯屋玲奈の声が聞こえてきた。
「まさか、あの子が本当にユニフォームを売ってくるとはね。昔から私の足元にも及ばないくせに、変なプライドだけは高かったから、いい駒になってくれたわ」
奈緒は息をのんだ。美咲のことだとすぐに理解した。
「あのね、鳴海高校じゃ私という絶対的な存在がいたから、あの子は万年2番手だったのよ。だから自分の実力を試すために、わざわざ弱小校に来たんでしょ。私に勝つためって、いつも吠えてたわ。でも結局は鳴海高校のプライドを捨てきれない、かわいそうな負け犬ってこと」
奈緒の頭の中は真っ白になった。
飯屋は美咲の「万年2番手」という劣等感を巧みに利用し、遙たちへの妨害を仕掛けさせたのだ。
「もういいわ。あの子はもう用済み」
飯屋はそう言って高笑いした。
奈緒は震える手で冷たいペットボトルを握りしめた。
その夜、奈緒は眠れぬ夜を過ごした。
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