第5話 王都魔術学院
「ん~、、あれ?ヨムくん??」
「お、おはようございます、会長。」
「!?がっ学!!!!ヨム君が!!!ヨム君が!!!!!」
下の方から何やら大きな音が鳴り
その後すぐに血相を変えた一条君が部屋に飛び込んできた。
一条君のこんな顔初めて見たな、、
「何があった!?、、、、ヨム!」
「おはよう一条君」
なんだか一条君達の様子が変だ。二人とも死人が生き返ったみたいな顔して。
「体はなんともないか?」
さっきから鼻水と涙をこすりつけてワンワン泣いてる会長を引きはがし、自分の体を確認する。確かにちょっと節々が動かしにくい感じはするけれど、何処にも欠損は見つからないし、多分健康体だ。
そういえばお腹を刺されたんだったな、まあ傷は綺麗さっぱり消えていて、そんな痕跡はいっさい見られないけれど
おそらく会長の治療魔術だろう
「おかげさまで、治療までしてもらって、、この通りすっかり元気だよ」
「そうか、ならよかった。心配したんだぜ?ひと月も意識が戻らなかったからな」
え、、
一か月!!!????
確かに元の世界基準だったら重症だと思うけど、この世界には治療魔術がある。頭とか心臓とか、肉体が消滅してたら危険だけど、大抵は治療魔術があればどうにかなるのだ
自分の脆弱具合に気が遠くなる
多分ゴブリンでも、もっと治りは早かったんじゃないか?
「一か月も寝てたのか、僕。」
「それで、病み上がりで悪いんだが、ヨムが寝てた一か月で色々状況が変わった。結論から言うと、、ヨム、お前にはしばらく学校に通ってもらうことになった」
「学校??」
「ああ、王都魔術学院。人連合国から数多の才能に溢れる人材が集う、格式高い学校だ」
??????
やばい、まったく話がよめない。
とりあえず、学校に通うのはいいとして、、、
なんで魔術!?
一番適性ないだろっ!!!僕に!
「今この国でのヨムの存在が結構まずいことになっててな、、、簡単に言えばヨムは今、国王派閥と教会派閥の二つの勢力から命を狙われてんだ。」
なるほど、、そういえば公共事業の失敗である僕を国王は隠蔽したかったんだったな。まあ隠蔽するなら匿うよりも殺してしまう方が簡単だ。
「なるほど、でも僕教会に狙われるようなことした覚えないんだけど、、、」
「あー、なんかな、詳しいことは後で説明するが、とにかく教会の禁忌に触るらしんだよ、ヨムの存在が。」
どうやら僕という存在は、この国の二大政治勢力にとってかなり都合が悪いみたいだ。
ゴブリン以下の他にも、新たに教会の禁忌とかいう属性が付随してしまった、、
そろそろ泣いてもいいかな、マジで
ん?まてよ、、
国王は僕という存在がばれることを恐れて僕を暗殺しようとしている。それはおそらく多くのコストを払って僕という負債、ひいては教会の禁忌を生み出してしまった事実が、発言力の低下といった政治的弱体化を引き起こすからだろう。
だが教会は既に僕を狙っている。つまり僕という禁忌が教会に認知されてしまっているということだ。
あれ?国王手遅れじゃないか?
「ヨム、お前の疑問は分かるぜ。まあ正確に言うと、教会はまだお前という禁忌が召喚されたかもしれないっていう探りの段階だ。どうやら国王派閥からヨムの存在が少し漏れたみたいだな。」
「なるほど、狙われてる理由は分かったよ。それにしても、かもしれないっていう可能性だけで動いているってことは僕の存在はよっぽど教会にとってやばいみたいだね」
「だな、だが教会サイドの情報収集は危険なんだよな。だからこの情報もどこまで正確かは分かんねーってのが現状だ。」
「それに、サンチラの襲撃についても不審なところが多いし、とにかくこの国はきな臭いのよね」
ようやく落ち着きを取り戻した会長が会話に参戦してきた
そろそろ僕にくっつくのやめてください、会長
「そこでだ、政治的に一切の干渉を許さない王都魔術学院にヨムをぶち込んで、とりあえずの安全は確保しようってのがこの話の肝だな。」
「王都、なんてついてて政治的に中立なんだ」
「ああ魔術学院は魔術連盟っていう国際組織の派生だからな、国王も教会も簡単には手は出せねことになってる」
なるほど、だいたい話は分かった。
それにしてもなんだか話が大きくなってきたな。
でもまずは二人にお礼を言わなければならないだろう。僕を匿う時点で相当なリスクを負ってしまっているはずだ。一歩間違えたら二人が抹殺の対象になってしまってもおかしくはない
「ありがとう、二人とも。命まで賭けてくれて」
「ああ、気にすんな。それにお互い様だろ?」
「ええ、そうね。ヨム君がいなかったら今頃私達死んでたし」
どうやら主人公格の人間は気遣いも一流みたいだ。サンチラ戦でいなくてもよかった疑惑の僕にフォローまでくれるなんて。
「そういえばヨムに聞きたいことがあったんだ」
「?」
「ヨム、あの時おまえいったい何をやったんだ?」
「あの時っていうのは?」
「ヨムがサンチラの右腕を貫いた時のことだよ。一体どうやって核の位置を見つけて、破壊まで出来た?」
!!!
まじか!
どうやら僕はちゃんと二人の役に立ててはいたようだ。あの時僕の目に映ったのが幻とかじゃなくてよかった。
「あの時、サンチラの動きに癖があることが分かったんだ。だからあいつの右の前腕にあたりをつけて観察したら、一条君がいった急所?みたいなのが見えて、そこを短剣でブスッと、、」
「やっぱり、見えてたんだな。ヨムには核の位置が。」
「じゃあ後はどうしてヨム君が核を破壊出来たのか、だけど、、」
どうやらサンチラには普通の攻撃は効かないみたいだった。
でも、どうして破壊出来たか、なんて答えは簡単だ、
「会長が強化してくれた短剣のおかげですよ」
「いいえ、それはありえないわ。あの時点で私が施していた強化程度じゃサンチラの魔術は突破出来ない」
「それにあの時のヨムにはどう見ても魔力が残っていなかった。」
「だからヨム君、あの時のあなたは、魔力や魔術によらない何か、もしくは極めて消費魔力の少ない何らかの魔術を行使していたはずなんだけど、、、」
「!?」
「そのようすだと心当たりはないみたいね」
!!!
朗報だ!なんてことだ!
どうやら僕には二人にも分からないような特別な何かがあるらしい
これはもしかして主人公への足掛かりになるかも、、
この世界に来てから、ゴブリン以下だの、教会の禁忌だの、不名誉な属性ばかりが付与されてきたが、、、
いよいよこれは、、始まったのかもしれない
僕の主人公への道が!!
「まあ、学院ならそこら辺の能力の解析も出来るかもしれないからな。一石二鳥ってやつだな」
であるならば、今の喫緊の課題は学院へと無事に僕がたどり着けるかどうかか。
幸い教会に顔は割れていないみたいだし、国王も表立って大規模な捜索は出来ないはずだ。いい加減二人に迷惑をかけ続ける訳にもいかないし、出来るだけ早く僕が学院へと向かう必要があるだろう。
いやまてよ。
さっき一条君は学院は格式高いとか言っていたけど、、
魔力がゴブリン以下の僕って入学が許されるのだろうか、、
「一つ疑問なんだけど。僕って学院に入学が許されるのかな?」
「ああ、そこは問題ないぜ。この一か月で学院側に協力者が出来たからな」
さすが一条君達だ。何から何まで頭があがらないな。
「何から何まで本当にありがとう。重ねて申し訳ないけど、学院への出発は二日待ってほしいんだ。万が一戦闘になった時の為に、最低限体は慣らしておきたいから。それに一条君達が言う僕の力についても、ある程度掴んでおきたいし。」
「あー、いや、、ヨム、それがな、、」
「おお!なんだか騒がしいと思ってきてみたら、、目が覚めているじゃあないか!!」
「理事長、ここ療養室。静かにして」
開きっぱなしだった扉から見知らぬ人達が入ってきた
長い銀髪を後ろでまとめた溌溂な女性と
気だるげな、それでいてどこか安心感のある雰囲気を纏った女性
この人たちが一条君達が言っていた協力者か?
「初めましてだな!私はこの学園の理事長を務めているシルバだ!よろしく!」
「ロエ、治療魔術、効いてたみたいだね、よかった」
そうか、治療魔術はてっきり会長がしてくれたと思っていたけど、このロエさんがしてくれていたのか、、
「ヨムといいます。おかげさまで元気になりました。ありがとうございます。」
「うん、念のため、まだ激しいのは、だめ」
…
…ん?
待てよ。
さっきシルバさん何ていった?
「悪いヨム、言ってなかったな。ここもう学園の敷地内なんだ、、」
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