第4話 見知らぬ天井、傍らに美女
なぜ奴は核の場所をこうも正確に把握できたのだ
いや、そもそもだ。
そもそもなぜ奴の攻撃は私の肉体にダメージをあたえられている?
私の魔術は大抵の物理攻撃や魔法を無効化する
だが勿論例外も存在するのだ。それはイチジョウの魔力による中和、またはヒスイによる桁外れの高出力魔法だ。他にもいくつか抜け道は存在するが、そのどれもが魔術や魔力に由来するものだ。
だがたった今私の核を貫いたのは、魔術でも魔力由来でもない第三の何か
私の目は限りなく高い精度で魔力を捉えることが出来る。だからこそわかるのだ。奴の体からは全く魔力が見えないし、行使している気配すらない。
認めなければならない。
奴がもつ得体の知れないなにかは、私の、いや、我々を脅かす脅威足りうると
優先順位をこのヨムという人間に移す
幸いまだ体は動く。奴の命は刺し違えてでもここで刈り取る
右腕にありったけの力を込め突き刺さった短剣を固定する
「え、もしかして、、、ここじゃなかった?」
得体の知れない能力はあっても、奴は肉体を魔力で強化していない。ならばこの一振りで確実に殺せ_______________、
「
それは瞬の出来事だった
詠唱らしき音が聞こえてすぐ、私の肉体はたった一つ核を残し、その悉くが塵さえ残らず消滅した。
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え、、
急所らしきものを外して?、まさにひき肉ミンチ秒読みという寸前でどういう訳かサンチラの体は目の前で丸い何かを残して消滅した。
………………………………
これは多分、、、、
「ふう、やっと出来た。あいつ専用の確殺術式。ふふ、一条にばっかりいい恰好させてられないわ。」
やはり、こんなチートみたいな芸当。出来るとしたら二人のどちらかしかありえないだろう
だいたい確殺術式って、、、そんな技を使うのが許されるのは、圧倒的主人公適性をもつ会長達にしか許されない芸当だろう
「会長、、ありがとうございます。おかげさまでひき肉にならずに済みました」
「ヨ!ム!くーーーん!!!ああ、あああ、最っ高だったわ!!私のピンチにあなたはいつも駆けつけてくれる。そんな可愛い顔してさながら白馬の王子様ね!!!ああ、思い出すだけで体の奥底にジンジン響く、、あの時の表情、、、」
夕日に照らされた会長の姿は、ついさっきまで命の獲り合いをしていたとは思えないほど可憐だった。距離が近いせいで、光に透かされた艶やかな髪と、翡翠色の瞳が普段よりはっきりと見えた。
一条君もだけれどこれが圧倒的主人公格のビジュアルか、、
「おい、ヨムに薄気味悪いセクハラすんのやめろ」
「あら!戦闘開幕が活躍のピークの一条さん、ごきげんよう」
「…………。はぁ…。まさかとは思うが、てめー、あの時魔術疲労したふりしてやがったな。その後の戦闘も、、まあ術式の難度考えれば妥当か、、」
「うーん、半分正解かな。確かに魔術疲労はしてなかったけど、あの時の私は殆ど戦闘に向ける意識なかったから。固有の魔術を一から組むのってすんごく脳のメモリ食うのよねぇー。」
なんか僕には到底たどり着けない領域の話してる、、
にしてもすごい魔法だった。あんなに底の見えなかったサンチラを一瞬にして敗北させたのだから。
うん
ほんと凄かったな
うん
うん…
うん、、これは、、
さては僕、いらなかったな?
だってあの時ダメージが酷くて意識がなかったと思ってた会長は、実際にはそうではなかったみたいだし。何なら会長が術式組み終わってからの僕の存在って邪魔だったんじゃないか?だって僕は一条君と違って碌に魔力で防御が出来ないから、会長の魔術にかすっただけでも仏様直行だろう。サンチラ専用とは言ってたけど万が一も会長は考えるだろうし、、。それに何といっても「ここですよね?」キリッ、とか言って急所外した疑惑がある。だってサンチラピンピンしてたもんな。僕が急所だと思ってみていた何かは急所じゃなかったのだろうか、、、
ああ、、僕はいつもこうだ
異世界に来ても結局、僕の主人公への憧れは
どうやら憧れのままみたいだ
なんだか、体が、凄く重い
それに、さっきから眠気も
一条君達には悪いけど、少し、休まないといけないみたいだ
そうして僕の体は流れるように地面へと倒れ
意識は深いところに落ちていった
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王都襲撃前
「王、マトリヨムの鑑定の結果が出そろいました。ご報告させていただいても?」
「人払いは?」
「既に済ませております」
「うむ、続けろ」
「結論から申し上げますと、彼の体にはいかなる調整もなされていませんでした。今回の召喚術式は、この世界の調整機能の理を利用したものでございます。この理は、異世界からの召喚の際に生じた価値の不均衡を是正します。その証拠に、二人には元の世界に応じた価値が付加されていました。ですが彼には付加されていなかった。それに、他二人の魔力はこの調整に由来するものでしたが、彼の魔力はそうではありませんでした。おそらく生来備わっているものであった可能性が高いかと。」
「ふむ、調整の理が働かなかった。つまりだ、奴がもつ価値はあちらの世界においても、こちらの世界においても相違なく発揮されるものであった、ということだな。この世界における価値とは即ち力。つまり奴は他二人に引けを取らないほどの何らかの戦闘能力を有している、そう考えてよいのだな?」
「はい、おそらくは」
「まったく、惜しいな本当に。どんな力も使えなければ意味がない。教会の奴等は悉く我らの障害となる。困ったものだ」
「調整の理、つまりこの世界の理を神として信仰する教会にとって、その神の威光が働かない彼の存在は何よりも禁忌とされる。」
「奴の存在は何としてでも隠蔽しなければならんな。」
「ええ。ですが、かの二人の力があのレベルであったのは幸運です。教皇不在時に異世界人を召喚した責任の追及は免れませんが、召喚に使用したコストから彼の存在が露呈することはないでしょう。」
「うむ。彼らの戦力があれば教会にも太刀打ち出来るだろう。そうなれば我々の立場も自ずと変わってこよう。これは行幸であるな。」
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きっと今僕が見ているのは明晰夢というやつだろう
夢をみていると自覚することが出来る夢
今僕の目の前にはとある国の王が玉座に君臨していた
なぜ王であると断定できるのか
それは彼があまりにも王であるからだ
それほどに彼には王としての凄みがあった
そしてそのはるか下には王の側近らしき者が十二名、頭を垂れている
ん?あれはサンチラ?
なんでここにサンチラが、、
視界がぼやけ、意識が浮上していく
夢というものはなんとも支離滅裂というか唐突というか
そもそもなんでサンチラの夢なんか、、
………………………………
………………………………、
………………………………………………………………。
瞼をあげると、そこには見知らぬ天井があった。
!!!!!
これ!!!一度やってみたかったやつ!!
僕が目指している主人公像からは少し外れるが、やはり主人公を目指すにあたってこの経験が出来たことはとても感慨深いものがある。なんともいえない心地よさだ、そう、まるで半身が柔らかい何かにつつまれているみたいな、、、
え?
嘘だろ、、
僕の半身を包む柔らかいものの正体、それは会長だった
会長の腕や足が、まるで抱き枕でも抱えているかのように僕の体に絡んでいる
………………………………
……………………。
なんで僕のベットにいるんですか、、、会長、、、
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