2125年の近未来、突如100年後の本物の異世界へと変貌したVAO
- ★★★ Excellent!!!
冒頭の、VR技術が浸透しきった社会描写が秀逸です。通勤が不要になり、タイムパフォーマンスが重視される中で、あえて「外の空気を吸うのが懐かしい」と感じるほどの没入感。和士にとって「現実が逃避」であり、VRこそが「戦う感覚」を取り戻せる場所であるという設定が、その後の異世界転移(あるいはゲームの現実化)に強い説得力を与えています。
サブキャラ女性アバターという枷、ここが本作の最もユニークで、かつコミカルな面白さを生んでいるポイントですね!
中身はストイックなアスリート青年、思考や戦い方は合理的で勇猛。
外見は可憐な美少女カリナ、周囲(特に男たち)を無自覚に魅了し、メイド隊には着せ替え人形にされる。
このギャップが、「俺」と言い張るカリナの滑稽さと格好良さを引き立てています。特にユニコーンに認められてしまうシーン(聖潔な乙女と認識される)は、彼の内面の潔癖さとアバターの性質が噛み合った皮肉な演出でニヤリとさせられました。
召喚魔法と剣技を組み合わせた戦闘スタイルが非常に鮮やかです。 サラマンダーとアイスリザードを剣に変え、ペガサスを鎧(聖衣)として纏う「聖衣ドレス」の演出は、少年漫画のような熱さがあります。単なるゲーム的な「スキル発動」ではなく、熱気や氷の冷たさ、血の臭いといった「五感のリアリティ」が加わったことで、戦いの緊迫感が一段と増していますね。
かつての盟友カシューとの、言葉を超えた「ウインクでのアイコンタクト」。100年の時を経て、片や国王、片や(行方不明の団長の)妹として再会する展開にはロマンを感じます。 また、NPCだったはずのルナフレアやライアンたちが、独自の感情や生活感を持って「生きている」描写は、この世界が単なるバグではないことを予感させます。ルナフレアの涙や、トイレでの気まずいハプニングなど、人間臭いやり取りが物語に深みを与えて大変面白いです。