第3話 試験
(さて試験が始まったわけだが。)
僕は真ん中にあるモニターを見る。モニターのカウントダウンは29分45秒、29分44秒と少しずつ減っている。
(どうやら細かい事を考えている暇は無さそうだ。)
僕は建物の外に出た。そうして辺りを見渡した。
(まず中央は人が集まりやすく激戦に行くのは止めたほうがいい、出来れば端っこの隠れられる場所がいい。)
僕はそうやって探していると、森を見つけた。
僕はにやりと笑いながら森を目指した。森に着き中に入って数分くらい歩き続けると、森の奥深い所まで来た。
(ここらへんにするか。)
僕は木の上に登って隠れて時間が来るのを待った。少しして、
『30分経過、これより試験を開始する。』
(始まった!)
僕は周囲の音を確認するが足音は聞こえなかった。足音が聞こえないことに安堵して少し気を抜いていると、
『一人脱落。残り59人。』
そんなアナウンスが鳴り響いた。
(意外と速いペースだな。この調子ならすぐに終わるな。)
そんな事を思っていると
『ザク、ザク、ザク』
と足音がそ聞こえた。その足音が聞こえた瞬間、僕の緩んでいた気が消え、緊張が走った。僕はその足音に意識を集中していた。
(近づいて来る。)
そうしてそいつの姿が見えた。そいつはどんどん近づいて来る。僕は息を殺してそいつが居なくなるのを待った。そいつはやがて僕が居る木の下まで来た。そしてそいつは、
「そこにいるのは分かっているぞ」
そう言うとそいつはこっちを見ると、ジャンプして木の上にいる僕に殴りかかって来た。僕はとっさに木から飛びおり避けた。
「避けられたか、まあいい。どうせお前は俺には勝てないからな。」
そう言うと男は僕の方まで近づいて来て、男は殴ろうとして来た。
(はやい!)
僕はとっさに右に避けた。だか男はまるで右に避けるのを読んでいたかのように僕は殴られた。僕は殴られながらも殴りかえそうとしたが、男は殴ろうとした腕を掴むと背負投げをされ僕は地面に叩きつかれた。地面にぶつかる前に何とか受け身を取り被害を最小限に抑え立ち上がり、何とか思考をまとめようと僕は一旦距離を取った。
(まず身体能力の差は僕が少し勝っているくらいであまり差はない。だけどさっき殴られたのが少し気になる。こいつはさっき避けたのにまるで避けるのを知っているかのように僕は殴られた。こいつの能力か?)
僕は思考をする。すると男は
「お前の能力は?」
と聞いてきた。僕は頭のなかで、
(僕は、能力を持ってないけど、持ってても言うわけないだろ。)
と考えた。すると男は、
「なんだ、お前能力ないのか、だったらもう俺が負けることはないな。さっきお前俺の能力知りたがってたよな。教えてやるよ、俺の能力は思考が読めるんだ。だからお前の考えている事が分かるんだよ。」
と男は言った。僕は男の言葉を聞いて理解した。
(なるほど、だから避けたのに殴られたのか。だとしたら相当厄介だな。)
思考を読まれるなら何をするのかもバレてるから対策の立てようがないな。一つ作戦はあるがあまり使いたくはない。だかそんな事を言っていられるほどの余裕もない。僕はそう考えると、本気を出す事にした。
僕の本気は、山内と戦ったときは10秒しか使えなかったが、今は数カ月間毎日ジョギングをして体力をあげたから15秒使えるようになった。
僕は目の前にいるそいつに
「お前、思考が読めるんだろ。なら攻撃も避けてみろよ。」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
目の前のそいつはそんな事を言うと、俺が瞬きをした一瞬で目の前まで来た。
(右頬)
そいつの考えている事が伝わる。俺はとっさに避けたが、避けるのが間に合わず少しかすった。
(速い、速すぎる)
そいつは次から次に殴って来る。そいつの思考は分かる。どこを殴ろうとしているのかも分かる。ただ自分の思考が追いつかない。避けようと思ってもそいつの攻撃が速すぎて避けられない。今は何とか避けているが、もう無理だ。そんな事を思った矢先そいつのパンチが右腕に当たり、それをはじめとして数発のパンチをくらい、俺は気絶してしまった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
僕は気絶したそいつからバッチを取ると、身体の疲れを感じ休む事にした。
(今ので14秒)
もう少し粘られたらやばかったな。そんな事を考えているとアナウンスが聞こえた。
『一人脱落、残り51人』
どうやら戦っている間に7人も脱落していたようだ、この調子ならもう終わるな。そんな呑気な事を考えていると、悪寒が走った。とっさに右に避けたのは運が良かった。右に避けなかったら今ごろ僕は脱落してただろう。そうして僕がもともと立っていた場所には槍が突き刺さっていた。その槍を中心にクレーターができていた。僕は槍が飛んできた方向をみた。そこには真っ黒な髪をした少女が立っていた。その少女は、
「あら、避けられちゃいましたね。」
と呑気に言ってきた。僕はその少女から全速力で逃げだした。僕は理解してしまった。あの少女には絶対に勝てないと言う事に、僕は逃げるがさっき本気を使ったから足が重い。僕は少し後ろをみた。少女は突き刺さった槍を引っこ抜くと、その槍を持ち数秒したあと、その槍をまた投げてきた。その槍はとても速かった。僕は逃げる速さよりも速いその槍にすぐに追いつかれるため避ける事にした。幸い距離があったため避けるのは簡単だった。そうして僕はその槍を避けたはずだった。避けたはずの槍が僕に向かって来た。僕は本気を出し槍を弾いて何とか槍の軌道をずらした。そうして槍が僕の横を通り抜けた。しかしその槍はUターンしてきて僕を狙って来た。距離が近すぎるし、本気を出したせいでもう動けない。動けた所で避ける時間もない。僕はその槍が自分向かって来るのを見ることしかできなかった。僕はここで終わりなんだなと思った。しかしいつまで立っても槍が僕を貫く事はなかった。なぜなら、
『一人脱落、残り50人。これにて試験を終了とする。脱落してない者はすぐに最初の建物に集まるように』
アナウンスがなった。そうして槍が目の前に落ちた。その槍を回収しに来た少女は、
「運が良かったですね」
といい槍を持って居なくなった。僕はこの状況を乗り切った事の安堵と、卒業するためにはあんなやばい奴に勝たないといけないと言う不安がやって来た。少し休憩をして建物に戻ろうと歩き出した。建物に着くと僕が最後の一人だったようで
モニターに学園長が映った。
「皆さん、よく生き残りましたね。それではまず、バッチの一番持っている人を発表したいと思います。」
と言うといきなり照明が消えた。
「それでは、バッチを一番持っているのはこの人です。」
そう言うと照明が一箇所だけつきある人物を照らした。その人物とはあの少女だった。
「なんとバッチ7個持ちで白崎朱音さんです。」
と言った。僕は驚いた。バッチ7個と言う事は6人も倒していると言う事だったから。
「それでは白崎さんには特別賞としてランクを3にします。」
その言葉に僕は、
(ランク3?何を言っているんだと疑問に思った。)
ここにいる全員が同じ事を思っていると、
「まぁ皆さんはランク3と言われてもピント来ないでしょう。まずランクと言うのはこの学園での強さになります。ランクが高ければ高いほど強くなります。ランクは10まであり、ランク10まであげたものはこの学園を卒業出来る。しかし、この学園が出来て10年、いまだランク10になった者はいない、しかし今年はレベルが高いと須藤先生は言っていた。ぜひランク10を目指して頑張ってほしい。ではようこそ実力主義の天秋学園へ、君たちの成長を期待している。」
そう言うとモニターが消えた。それから僕たちは各々にランクが定められた。僕はバッチを2つ持っていたから、ランク2になった。ランクが定められたあとは各々の部屋に案内された。授業が始まるのはどうやら明日からなようで今日は自由に過ごしていいらしい。僕はベットに潜ると疲れていたので眠ってしまった。翌朝目を覚まし、学園に向かった。学園につくとクラス分けがされていて僕のクラスは1-1だった。クラスに入り自分の席につくと隣から、
「おっ深、お前同じクラスなのか」
と聞こえ隣を見ると楓がいた。
「楓!お前受かったのか。」
「あぁ何とかな。ちょっと危なかったけど」
「危なかった?」
「強い奴がいたんだよ。そいつと戦って追い詰められてたんだけど、何とか残り50人まで生き残ってな。」
「そうだったのか、僕も危なかったんだ。」
そう言うとドアがあき、あの少女が入ってきた。
「あいつは試験で一番だったやつか」
「あいつはとんでもなく強い。僕ももうちょっと遅ければあいつにやられてたんだ。」
「まじか、雰囲気からして強そうだしな。」
楓とそんな事を話していると、高宮さんが入ってきた。
どうやらこのクラスの先生は高宮さんのようだ。
高宮さん…いや高宮先生は教卓に立ちこういった。
「皆さん、おはようございます。いい朝ですね、皆さん、試験は大変だったでしょう。しかしまだ休む事はできませんよ。」
高宮先生はそう言うと指をパチンと鳴らした。
すると急に場所が変わった。周りを見ると砂浜しかなく、どうやら無人島のようだった。
「ここは、学園の近くにある、無人島です。皆さんにはここで3日間過ごして貰います。では健闘を祈ります。」
そう言うと高宮先生が消え、僕達は無人島に取り残された。そうして僕たちのサバイバルが始まった。
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