第25話 内省
変わらず彼からの手紙が送られてくる。
変わらず私の返事がうれしいようだ。
私が書くのは大した内容ではない。彼の手紙への感想程度。
私の何が彼を引き付けているのかわからない。
目立たず過ごそうと決めているのに。
期限の明らかな人生で出来るだけ人の記憶に残らないように気を付けていた。
優しい家族に傷を残さないように空気のように過ごしてきた。
「マリちゃん。もうすぐ皆さんがいらっしゃるけどお着換えできているかしら」
「はい、先ほど済ませました」
「あら!よく似合ってるわね」
「お母さま。なぜ浴衣に着替える必要があるんでしょうか」
「いいじゃん!似合ってるよ」
「お姉さままで」
「いいでしょう~。せっかくだから写真撮ろうよ」
「そうね、そうしましょう」
「お父様も読んで一緒に撮ろう」
「じゃあバルコニーで」とバタバタと姉が父を呼びに行く。
父まで浴衣だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。