第18話 ダビング

「さて、この貴重なライブテープをどう活かすかだ」


「デモテープ作りてえな」


「バカ、表裏で60分あるんだぞ。テープ一本でいくらすると思ってんだ?」


「でも記念に一本欲しいね」


「それは俺もだ」


「ケンのミニコンポで倍速ダビングしてよ」


「まあ、それはそれとして、10分テープに表裏1曲ずつ入れて配るってのはどうだ?」


「それなら安くつくな」


「だろ」


「どの曲にするの?」


「俺の案だが…」




ライブ翌日の喫茶店で、少年たちが盛り上がる。今日はコーヒーだけでなくランチセットを頼んでいるようだ。ウェイトレスが呼吸を読むように水を足している。




「早ええ~」


「4倍速オートリバースだからな。ちなみに、頭出し再生も可能だ」


「焼きたてほやほやだあ~、聞いて良い?」


「バカか。あと何本焼くと思ってんだよ。さっさとテープ入れ替えろ」


「全体の焼き増しは何本だっけ?」


「マスターは保管するとして、俺ら3人と、エリカとマキ、5本だな」


「…もう一本増やしてくれよ」


「お前!本気か?」


「やるねえ」


「じゃあ、6本だな、あと5本。それでも1時間15分程度だ。」


「やっぱ、早ええ~」


「そのあと、デモ用に10分テープを10本」


「サクサクやるぞ」


「アイアイサー!」


「ラベル手書きで良い?」


「…きれいにな」

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