第2話 1日目 この世界の男事情

田島さんがお使いに行った後


「貴方様は他の男性様と違いますね。

 本当に男性様なのかと思うくらいに」


「そうですか。自分ではわからないです。

 ほかの男も知らないですしね」


「他の男性様は女性に対して警戒心を持っています。

 貴方様には、それが無い。

 それは私たちにとっては素晴らしいこと。

 でも、今後の貴方様には不幸を生むかもしれません」


「ふ、不幸?」


「そうです。この世界は男性様と会う事が無いまま寿命を終える女性が五万といます。

 そんな女性が警戒心無く現れた貴方様に対して暴走する可能性があります」


「暴走?」


「えぇ。誘拐されて手籠めにされたり、そのまま監禁とか」


「手籠めって……

 記憶喪失だからって、からかってるんですか?」


「いえ。本当にあり得る。いえ、過去にあった事件です」


「それは性欲の強い女性だったからですよね。

 女性が性欲を表に出すことは少数派だから、そんな心配はいらないでしょう」


「ふぅ。そのような認識なんですね。

 残念ながらその認識は間違いです。

 現実は男性を見たい。話してみたい。口説かれたい。ヤリたい。一緒に暮らしたい。

 男性との接触は夢の世界。

 自分の中で燻る性欲はマグマのようにドロッドロ。

 男性に害をなす事は刑法で罰せられる。

 罰をわかっていながらも、マグマに負けて暴走することがあるのです」


 なんて……

 素敵な世界なんだ!心の中で叫んでしまった。


「先生みたいな素敵な女性でもそうなんですか?」


「えっ」


「聞こえなかったですか?

 先生みたいな綺麗でスタイルの良い人でもそうなんですか?」


 先生がいきなり真顔になって「そんなこと言うと襲うわよ」


「良いですよ。Hしましょう」


「へっ」真顔だったのに、驚愕の顔になった。


「ここのベットも大きいサイズだし、田島さんがお使いから帰ってきた後の先生の都合はどうですか?」


「ふぇ…… 駄目よ。私とHしたら精子センターのデータ照合ができなくなるもの」


「なんで?たぶん2回くらいできると思うけど」


「そんなわけないです。

 男性の繁殖能力平均は月に1度くらいです。無理ですね。

 しかも男性から誘うなんて、からかうにしても酷すぎます」


「俺の照会するのに精子が必要なの?」


「もう……ショック受けたんですからね。

 精通を迎えた男性は精子提供が義務付けされてます。

 精子センターにはDNAデータが保存されていますので、照会したら貴方様の身元が確実にわかるはずですので」


「それ今からしようか?

 そしてその後に先生とHしよう」


「まだ、からかうんですか?

 仕事ですから我慢しますけど、私の心はズタズタです。

 田島が帰ってきたら搾精室に行きますか」


「それでいいよ。それで搾精ってどうやるの?」


「男性様自ら出されるか、女性の補助をつけて出されるかですね」


「先生が補助してくれるの?」


「ふぇ。ご希望でしたら補助しますが、私は補助経験ありませんよ」


「いいよ。綺麗な先生に補助してほしいんだ」


「まだ言ってるんですか。

 悪い気はしないですが、からかい過ぎです。

期待するじゃないですか」


そこに田島さんが戻ってきた。


「戻りました。確認してください。

 このおつりはそのまま持っていて次の買い物に使ってください」


「田島さん。男性様のデータ紹介で搾精室を使いますので、準備をお願いします」


「先生、タバコ吸っていいかな?」


「どうぞ」と言って灰皿を用意してくれた。


 タバコに火をつけ紫煙を燻らせる。

 あぁ、染みるなぁ。


 搾精義務か……


 先生の補助付きって、前の世界ならお金払ってでも頼みたいレベル。

 堪らないねぇ。ヤバい。反応しちゃいそう。


「先生。準備ができました」田島さんが報告しに来た。


「それではお願いします」と先生に連れられ搾精室に向かう。


「この病院、人いないね。なんで?」

 すれ違う人がいない、音もしない。


「このフロアは男性様専用フロアで、今の入院患者は貴方様だけです。

 外来予約も今日は入ってませんから静かですね」


男限定のフロアって、どこまで優遇してるんだよ。


「着きました。こちらです」


案内されたドアは厳重なセキュリティーがかけられているようだった。

ドアが開かれて、入る。

四畳半くらいだろうか?

ベットと小型冷蔵庫?とロッカーと知らない機械があった。


「病院着のズボンをロッカーに入れてください」


 情緒の欠片も無いなと思いながら、ズボン?をロッカーに入れる。


「ヒャッ。なんで下着穿いてないんですか?」


「汚したから洗って干してる」


 先生は動揺してるみたい。

 一点から目を動かさないのに口の動きは速い。


「もしかして、もうお立ちに?」


「まだだけど」


「大きくない?」ボソッと、つい漏れてしまったように。

 別に普通サイズじゃん。前世に比べたら大きいが……


「で、どうしたらいいの?」


現実世界に帰ってきたように「ここに座ってください」と。

 言われたとおりにベットの縁に座る。


 機械の上棚からミニ水筒の様な物を手に取ってベットに座る先生。


「はてる時に、ここに入れて下さい」


 俺は頷き「先生は脱がないの?」と聞く。


「えっ。脱ぎませんよ……」


「補助でしょ?俺は先生の裸が見たいんだ。

 それも無しならチョット難しいよ」


「わ、わかりました……」

 ロッカーの前に立ち、白衣を脱ぎブラウスのボタンを外していく。

 その戸惑いと恥じらう姿を見つめ続ける。


 白衣とブラウスをロッカーに入れて「これでいいですか?」と聞かれる。


「いやいや。先生、スカートも脱ごうね。

 俺だけ全脱ぎなんて嫌だよ」


「初めて裸を見られるのが搾精室なの……」ブツブツと何か言いながらスカートを脱ぐ先生。


 恥じらいを感じる顔。白い肌。Dカップ位のおっぱい。くびれ。お尻から太ももへのライン。

 いい女だ……


 反応してる俺。

 そこを見て固まる先生。


「えっ。私を見て大きくしてくれたの?」


「そうだよ。いい女だと思ってさ」


「あぁ……嬉しい。こんなことって有るの?

 身体の奥から幸せが込み上げてくるわ」


「ここに座って」隣に呼び寄せる。


 座った先生の瞳を見つめながらキスをする。ソフトなキスを。


「はぁぁ。これがキスなの」


「キス好き?」


「うん。うーん。わからないからもう1回してくれる?」

 頷き唇を合わせる。


「どう?」


「うん。好き。 かな。なんか頭がボーっとする」


「良かった。俺のを触って」

 言い終えキスをする俺。

 恐る恐る手を伸ばす先生。


「ダメッ!怖い」

 おいおい。触れないのかよ。


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