第2話 イベリア歴600年 転生
「先ずは、自己紹介しておこう!私は、この惑星の管理官である。」
「猫じゃん……管理官って、ねっこ……」――どうやら猫に見えるらしい。
「……あなたには、この地で生きるために授けるモノがある。」
『あ~。それって魔法とか?ステータスとか?マジックバッグ?空間収納?……オレな~癒し系だから聖女かな~……最悪、勇者でもええで~……どうしたん?』
「満足したか!……話して!……あと一言でも発言したら、何も説明しないよ。」
(にゃんこのくせに、エラそう~)――頭の中の言葉は聞こえていますから。
「それから、猫に見えるのは、貴方が望んだ姿を投影しているだけです。」
(端末なしで分かるなんて、どんな最新AIなんだよ~)――聞こえてますから。
「それでは、いいですか?まず寿命は百歳まで健康に暮らせます。但し、外的要因で致命傷になれば、その場で終わりです。分かりますか。」
『不慮の事故でバラバラとか……』
「その通りです。毒は解毒され、対細菌体質です。魔法やステータスはありません。空間収納も……」
『え~~~~~~~~~~~~~~~~終わった~~~~~~~~~~~~~~~』
「いいですか?……あなたには、ものづくりのレシピをインストールする。内容は後で確認してくれ。ヘパイストス(鍛冶と火の神)のように、ものづくりに不便を感じることはない。それと、ものづくりに必要な材料の場所もインストールする。」
『あの~いいですか? あたい、Do It Yourself 好きじゃないんですけど。どうする~』
「……がんばって生きてください……見守っています。……何か質問ありますか?……これが最後のコンタクトになります。」
『ラノベでは頭の中だけだから楽しかったけど……重いよ~……恋愛ものしか読まなかったし………………簡単に作れるんだよね?』
「作れます。初めから端末は無理ですが、生活に必要なモノは簡単に、たくさん作れば、それを販売してお金に換えることもできる。生活に余裕が生まれますよ。」
『あの~……お金って、何ですか?』
「おっと、そこか?歴史教科書でお金について学びましたよね?……その辺の資料もインストールしておきます。……ではこれで、失礼します。良い人生を……」
『あ~~~~~わからない時、連絡できないの~~~~』
「現地の教会で祈ってください。想いが届けば、あなたの思考にアクセスできます。ただし、十年おきです。」
『教会?……』
「…現地の教会のこともインストールしておきます。……ではこれで、失礼します。良い人生を……」
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(管理官の視点)
ふ~……初めての仕事で難儀したが、物おじしない元気な子だから何とか生きるだろう。
あっ!DIYが苦手に気を取られて注意事項――星の消滅行為は本人も含め星をリセットする――を伝えるのを忘れた。まぁ、生まれてからでも良いな。乳児には睡眠と時間はたっぷりあるし……。
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