本質

葉月 陸公

1. 約束

 地獄に落ちる夢を見た。


 我楽多が積み上げられている、謂わば、ゴミ捨て場のような場所で、私は目が覚めた。私は何故か、すぐにこの世の場所ではない……即ち地獄である……と、理解した。同じ日に死んだであろう人々が、列を作り、裁判を待った。


「あなたはどうして死んだんですか」


前にいた女性に、私は聞かれる。


「⬛︎⬛︎です」


答えたが、なんと答えたのかはわからない。


「そうでしたか。お若く見えたので、どうしたものかと思いました。ちなみに私は⬛︎⬛︎です」


私とは別の理由で死んだ彼女は、にへらと笑いながら話す。


「……そうでしたか。お若いのに」

「いやいや、あなたも若いでしょう」

「……」

「……」

「「へへへへへへへ」」


謎の会話で笑いながら、順番を待つ。すると、次第に『あの世行き』の番がもうすぐに回ってきた。


「来世は互いに長生きできるといいですね」


ほんの少しだけ仲良くなった彼女は、私に笑いかける。


「えぇ、また会えるといいですね」


私も、そんな彼女に言った。


「ここでの記憶、持って行けたらいいのに」


彼女はそんなことを言い、案内人の手を取る。私はどうしても彼女が気に入って、来世では、ちゃんと“友達”になりたくて、


「あの!」


足元にあった、二つのミサンガの片方を彼女に渡す。


「転生して、また会えるかわからないけど……少しでも繋がっていれるように……これ……」


彼女はニッコリと笑うと、案内人に連れられ、ゆっくりと空へと昇っていった。

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