『豊穣の遊戯』（猟遊会手引き書）

火之元ノヒト

（正典「家畜の章」への全面的な肯定）

　かの書は、我らオアシスの民を『家畜』と呼び、侮蔑した。

　だが、我ら『遊猟者』は問う。

『家畜で何が悪い？』

　三度の泥を生き延びた先祖たちの知恵は、我らにこの『壁』と『秩序』をもたらした。　

　『緋き牙』の者共のように、泥に怯えずに眠れる夜。

　『渉猟者』のように、命を危険に晒さずとも手に入る食事と水。

　これは『停滞』ではない。

　過去三つの文明が成し得なかった、我ら第四文明が勝ち取った『豊穣』であり『勝利』である。

　『壁』の外にしか価値を見いだせぬ者たちは、この『勝利』を享受する資格のない『敗北者』にすぎない。

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