攻めギャル-玲香さんは攻めて来る-

もすまっく

第1話 僕の部屋と玲香さん

「あの、玲香れいかさん?」

「んー?どしたの?」

「そろそろ暗くなって来ますし、帰らなくていいんですか?」

「んーこのままでいいんじゃね?」

「良くないです。暗くなると危ないじゃないですか」

「アタシはいいもーん」

「うわっ」


 僕のベッドに腰を下ろしてスマホをいじりながら寛いでいた玲香さんは突然立ち上がり、椅子に座って時計を確認している僕の腕を引っ張って僕をベッドの上へと強引に連れて行く。そして彼女は壁を背にしてに座ると僕を自分の足の間に座らせガッチリと足でホールドして来た。


 彼女の足でホールドされた僕の背中には彼女の大きくて柔らかい胸がしっかりと当たっている。勿論玲香さんの事だから分かってやっているに違いない。背中に感じる柔らかな圧力に気恥ずかしさと嬉しさで顔が熱くなっているのが良く分かる。


 きっと今の自分の顔は真っ赤になってるんだろうなと思っていると、ふわりと彼女の匂いが鼻を掠めた。恐らくさっき彼女が僕を引っ張る為に激しく動いたから部屋に広がったんだろう。


(あっ玲香さんの匂いだ……すごくいい匂いがする)


 僕の好きな彼女の香り。服を洗う洗剤の香りにそれを着ている彼女の体臭が混じり合った花とミルクを同時に感じさせるような甘い香り。もちろん今嗅いでいる匂いの中には彼女が使っているシャンプーや香水の香りも当然混じっているはずだ。こんなに沢山の香りが混じり合っているのに、僕はこの匂いが決してきついとか臭いとは思わない。寧ろそれら全てを絶妙なバランスで成り立たせている玲香さんがすごいんだと思う。僕は温もりすら感じられる彼女の甘くて優しい匂いが大好きだ。


「たっくんってホントに好きなんだね?そんな嬉しそうにアタシの匂いなんて嗅いじゃってさ」


 彼女の匂いを嗅いで幸せな気分になっていると、突然僕の耳元で彼女は吐息を多めにした声で囁いて来た。


「い、いやっえっと、別に嗅いでないですけど?」


 つい嘘を吐いてしまった。玲香さんに匂いを嗅いでいた事がバレていたのが恥ずかしくて。それに何よりも彼女に気持ち悪いと思われるのが嫌だったから。


「ふーん?嗅いでないんだ?」

「嗅いでない、ですよ?」

「へー?」

「な、なんですか?」

「目を瞑りながらめっちゃ幸せ~って顔してたのに?」

「あっいやえっと」

「今なら正直に言ったら許したげるよ?」

「いや別に、嘘なんてついてないですし」

「ムム?強情だなぁ。あーあ正直に言ったらご褒美をあげようと思ったのになー」

「ご、ご褒美ですか?」

「えーなに?気になるの?」

「…………」

「ほらほら正直に言っちゃえよーウリウリ~」


 頬が触れるくらいの距離でニヤニヤしながらそんな事を言って来る玲香さん。こうして話している間もずっと背中には彼女の大きな胸からの柔らかな圧力を感じ続けている。そんな状態でご褒美なんて言われたら期待しない訳がない。


 そんな煩悩に塗れた僕の中で揺れていた天秤は一瞬で『正直に言ってご褒美をもらう』を選択した。


「えっとあの、その、か、嗅ぎました」

「うん?よく聞こえないなー?」

「れ、玲香さんの匂いがしたのでその、思わず嗅いでしまいました」

「うんうん正直に言えて偉いゾ?でもたっくんはなんで最初にウソついちゃったのかなぁ?」

「そ、それはその」

「ほらほらここまで来たら全部吐いちゃえ吐いちゃえ~」

「えっとその、き、気持ち悪いって思われたくなくて、その―――」


 僕が彼女にそう答えた瞬間に彼女は足のホールドを解き、力任せに僕を無理やり自分の方に向けてそのまま強く抱き締めた。


「うぷ!?」


 当然だけど僕の顔は玲香さんの巨乳に埋まった。最高です。


「たっくんったらホントにカワイイんだから」


 いい匂いという感覚と柔らかいという感覚が交互に頭の中を激しく駆け巡る。


「たっくんはアタシに気持ち悪いって思われるかもって気にしちゃってたんだ?」

「ふすー」

「アタシは逆にアタシの匂いであんな幸せそうにしてるたっくんを見て嬉しかったのになー?」

「もがもが」

「あんっ、くすぐったいよたっくん!」


 何て柔らかさ!何て香り!ここは天国か?そんな感じで最早遠慮を忘れて甘えまくっていた僕は、とある事に気が付き思わず声を出した。


「もが、ふぬぅ!?」


 それは顔に触れている異常なまでの胸の柔らかさだった。後頭部に感じた時に何となくおかしいなと思っていたけれど、こうして顔が彼女の胸に包まれた事でそれは確信に変わった。


「たっくんどうしたの?あっもしかしてバレちゃった?でもいいじゃんね?たっくんはアタシのおっきなお胸さんが大好きだもんね?」

「…………」


 その言葉を聞いて僕は彼女の背中に手を回し自分からも抱き締める。


「わっ!ちょっとたっくん?急に積極的すぎない?もしもーし?」


 僕は玲香さんの声を無視してひたすらに甘え続けた。


「アタシを無視するとか、たっくんってホントにおっぱい好きだよね?まっ無言になるくらいハマってくれてるみたいだし、ブラ外しといてよかったー」


 彼女はサラッと言っているが、つまりはそういう事なのだ。僕が違和感を感じていた事の正体。それはやはりというか彼女はブラをしていなかった。


「たっくんが飲み物取りに行ってる時に外しておいたんだよね。アタシがブラしてない事に気付いて顔を真っ赤にしながら慌てふためくところを見る予定だったのに、たっくん全然気付かないし」


 玲香さんの柔らかさに心の中で歓喜している一方で、ふと気になる事があった僕は、非常に名残惜しい気持ちを抑えつつ玲香さんの胸から顔を離し聞いてみた。


「あの、外したって言いましたけど玲香さんはその、脱いだ下着はどこにやったんですか?」

「たっくんのベッドの中。見る?」

「へ?えっいや見、ないですよ?」

「あははは!たっくん目が泳ぎ過ぎ!」

「いやだって、僕のベッドの中に玲香さんの、その、下着が」

「見たいなら見せたげる。えっとねー確かこの辺りに」

「い、いいですよ玲香さんっ」


 そう言って玲香さんが僕を離してベッドの掛布団を捲り始める。その際、四つん這いになった彼女の非常にけしからん長さのスカートが揺れ、微かにその中が見えたような気がした。


「ぶっ!!ちょっ!れ、玲香さん!脱いだのってその、上だけじゃ!?」

「えっ?あっゴメン、下も脱いだんだった」

「玲香さん~~~!!」

「あはははは、ゴメンって」


 笑いながら謝る彼女。そんな大事な事を忘れないで欲しいと僕は彼女に言葉では注意しつつも、視線は彼女の非常に短いスカートとその先にあるであろうものへと注がれていた。


「見たい?」

「……えっ?」

「たっくん目がスゴイよ?」

「えっいやっ」

「いいよ?」


 そう言って彼女はベッドの上で膝立ちになり、ほっそりとした綺麗な指でスカートを摘み、その裾を捲るようにほんの少しだけ持ち上げる。ただでさえ短いスカートだったのでちょっと持ち上がるだけで全てが見えそうになる。思わずごくりと唾を飲み込んだ僕を彼女はニヤニヤしながら見つめている。


「なーんてね?」


 そう言って玲香さんはすぐにパッとその手を離しスカートを下ろしてしまった。


「れ、玲香さんっ」


 正直とても残念だった。


「い、悪戯もほどほどにしてください。もし誰かに見られたら大変なことになるんですからっ。それに僕が我慢できなくなったらどうするんですか全く」

「んー?もし我慢できなくなったら、たっくんはどうするの?」

「えっ?ど、どうするって、どうするんだろう?」


 ベッドの上で向き合った状態の僕と玲香さん。手を伸ばせばすぐに触れられる距離にいる彼女がゆっくりと近づいて来る。


「じゃあ質問を変えるね?たっくんはどうしたいの?」


 僕がその質問に答える間もなく、すぐに唇が触れられそうな距離まで近づいてきた彼女に僕はそのままゆっくりと押し倒されていった。

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