第3話 9/12,9/14,9/27
9/12 十二日目
日記がなかった。いや、確かにこの前書き終わっていつものベッドの、すぐ横の、ちょっとした机の上に置いておいたのに、でも見つからなかった。泥棒が入ったのかと思ったが、
あたかも今そこに出現したかのように日記が現れたことだ。
東洋の言葉でこんなのがある。「灯台下暗し」。先日のアニメで覚えた言葉だ。「身近なものほど、見落としがち」という意味らしい。俺は意味よりもリズムのほうが好きだ。
そういえば、閉鎖したWTC。消失したらしい。
そう。消失。
今日の深夜、2時頃。全世界の撮影陣が
9/14 十四日目
また失くした。何かがおかしい。この家ってゴーストハウス、マンション、ルーム、セクション、どれにも当てはまらないはずだし、またしても見つけたのではなく現れた。これに関してもうほんとに不思議でしかない。そういえば一つ、おかしなところがある。それは、やる気がないということだ。思い返してみると、最後に外出したのは7日前、買い物に行ったときぐらいだ。やはりおかしい。いや、疲れているだけか?
とりあえず、俺は後者をとった。そっちのほうが気が楽だ。
9/27 二十七日目
やっと見つけた。
9/28 二十八日目
探していたら12時を回っていたのでここに書くことにする。
本題。というか、この13,14日間、何があったのか、そしてわかったこと。それを記録する。もしかしたら、と思い、忘れないように。
まず初めに、俺はこの13日間、ずっと何をしていたのか分からない。もしかしたら、何もしていなかったのかもしれない。そう、記憶が無いんだ。
そして、急に、はっとして、自我を取り戻した感じがした。
全身麻酔が抜けたかのように────
次、わかったこと。色々とあるが代表例だけ。
例1:俺は、寝る時。しっかりとベッドで、丁寧に枕までして寝るのだが、頭と枕がしっかりと触れていない気がするんだ。まるで浮いている。視覚はそうでない。ただ、感覚がそうだと言っている。
例2:14日、日記をなくしたあと、一回だけ自宅ダーツをやってみた。3投だけ。ただ、たった3投で違和感を感じた。とりわけ、ダーツが上手い。ということではないのだが、今日は運が良かった。ダブルブル、16*3、20*3と入った。手持ちが3投だったもんで的に刺さったものを取りに行く。違和感は、ここだ。矢が、とても深く刺さっていた。いや、とても深く刺さっていたのか?それはわからないが、どうしようとも取れないのでしかたなく、曲げながら取ろうとすると、ティップの部分が折れたような感触がしたあとに手に戻った。ティップが折れた。それなのに、ティップは無傷だった。的にも、ティップの折れた先がそのままになっていることはなかった。ほか二本の矢も同様に。
例3:電話、メール、テレビ、ラジオ。どれの通信が途絶えた。電気代は払っている。Wi-Fiも、問題ない。SIMも切れていない。なのに、全部。使えなくなった。おかしいのが、スマホ本来の昨日が使えなくなっただけということ。つまり、スマホ、携帯を使っての連絡だけが制限されていた。それ以外は難なく使える。
俺の思い違いか、そうでなくて、この家がおかしいのか。今から調べる。時間が欲しいため、今日の日記はここで終わる。
9/29 二十九日目
事態急変。本物の世界が見えた。今日を最後にこの日記をここに置いていく。俺と同じ境遇がほかに来ると考えて。日にちのm/dも、○○日目として書いておく。参考にしてくれると嬉しい。最後にこれを書いて終わりにする。
頭をおもいきり、壁の角にぶつけろ。怖がることは無い。今あんたが見ているのは偽の日常だ。
シリル・バヤール。23歳。新卒採用にて雇用されたところ、物の見事にブラック企業に入社してしまった、悲しき男性より。
プロローグ 「悲しき男の29日日記」 〜完〜
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お世話になっております。またしてもNaIVIak0です。
本当にごめんなさい。私情で更新が遅れました。部活が云々、勉強が云々……それで今日、急いで完成させました。投稿予定も立てずに、急に投稿することになってすみません......
今回でプロローグは終わります。最後まで読んでくださった読者の皆さんありがとうございます。次回からやっと第1章に入ります。
次回は11/9 21:00を予定します。今回、更新が遅れたので2話連続投稿予定です。
では、この作品が良かったと思った方々、フォロー、レビュー等のご支援お持ちしております。次回もよろしくお願いいたします。
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