第3話
色々と目が覚めた
頭痛いな。ハッ、何だココ。見覚えあるけど、無い
わたし、何このお姫様仕様・・・ん?! 何この服 この手、ダレ?
飛び起きる。え、えーーー何なの?あ"ー、頭痛い。ズキズキ、ガンガンとする頭を抱え、吐き気と眩暈に打ち勝つ!
・・・・・思い出してきた。わ、た、く、し・・・
どうやら、わたしは、転生なるものをしたらしい。あまりの情報の多さにキャパオーバーだったみたい。
夢の中でもその情報を処理していたようで、あー、成る程。ワタクシは、前世のわたしと同じように夫に浮気、しかも親友と!!されたようだ。
分かる!彼女の気持ち。行動も。追体験しそうだ、いや既に一部はしてるね。でも、お酒ガブガブ・・アレをやると翌日二日酔いで大変な事になる。さっき夢の中で体験したからもういい。したくない
お酒の雰囲気は好きだけど、口に合うのは、ジュースだ。今世では、お酒・・・美味しく感じたら良いなぁ
ようやく、ワタクシとわたし、私の擦り合わせが出来てきた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
今世では、生まれた環境には恵まれたようだ。父、母、兄沢山愛されて育った。前世では、そうね
子供の頃は、寂しかった。愛されず、父、母共に罵詈雑言と暴力を振るう人だった。毎日死ぬかもと思いながら、生きちゃったんだよね。
学校も最悪だった。天使の皮を被った悪魔・・・いわゆるいじめっ子
何処にも居場所は無かった。だから、勉強した。隠れて。高校2年の春。両親が事故死。悲しみの涙と、安堵の涙が出て止まらなくなったな
それから、両親は財産を残す事は無かったけど、事故による相手からの保険で普通に大学まで行ける金額を貰い、卒業後は、まぁ、そこそこ。
ずっと虐められた私に出来た友達。そうじゃ無かったけどね・・・も、居て、結婚も出来て幸せを感じた所だった。私、ダメだねえ。
でも、社員や、取引先には恵まれて?何とか生涯を終えたみたい。再婚はしなかった。だから犬と猫と共に生きてた。犬と猫は。良いよーღモフモフだし
あ、逃げてちゃダメね
今のワタクシ。実家は辺境伯とは言え、一度は結婚して家を出た身。お父様、お母様、お兄様もお義理姉も邪険にはしないだろうけど、迷惑かけたくない。
でも、一旦は連絡しなくては。何せ、白い結婚。子は産まれないのだから・・・・・今まで手を出さなかった所を見るとワタクシと子を成すつもりは無いのでしょう・・・
大事に、愛されていると思っていた。あの、麗しくも優しい笑顔に___信じてしまったワタクシがきっと愚かだったのでしょう。
前世の私の記憶からすると、ワタクシはとてもおバカだ。しかし、そんな事は言っていられない。
辺境伯の後ろ盾が欲しかった旦那様。 麗しい旦那様に、恋に恋したワタクシ。ヘソで茶を沸かす、とは、この事ですわね・・・
胸が苦しい。何度経験しても辛いものですね。やっぱり、お酒は必要かしら・・・
胸が、とても苦しいのです。力も失ったようで、動けません。
それでも、ワタクシは恵まれていますね。働かずとも良い身分なのですから。こんな事では、いけません。しっかりしなくては。彼らの思う壷です
分かっていても、どうにもならない。自分の心ですらままならない。兎にも角にもこのお屋敷から出たい。
「・・くさま。奥様」
「・・・・・」
「ユウリ奥様、いえ、ユウリお嬢様。っ、っく。」
誰か早く返事してあげて?呼んでいましてよ?
「おじょうざまぁぁぁぁーーー」
「あ、ワタクシの事?」
「はい、お嬢様。ック」
「泣かないで、アンリ。どうしたの?あなた、泣くような子じゃないでしょ?訳を話してごらんなさい?ワタクシで良ければ聞きますよ?」
「わあぁぁぁぁー」
あんまり泣くものですから
「大丈夫よ?ほら。ヨシヨシ」
と頭を撫でてみた
「泣いでるのゔあ嬢様でずっ。ヒックヒック」としゃくりあげる
「ワタクシは、泣かないわ。強い女だから。そう昔から言われてきたの。辺境の女は強いのです!」
前世の私が何度も言われた言葉
お前は、強いから、1人で大丈夫だ。
そうですね。私は、強いです。でも、誰かに抱きしめて欲しかった・・・独りでは無いよ。と、抱きしめて一緒に歩んで欲しかった。 きっと、それは望んではいけなかったのでしょう。
傷ついた心も身体も、抱きしめられたら無くなる気がした。愛されたかった、それだけ。
「うっ、うっ、うっ」
と泣くアンリを抱きしめて背中をトントンする。
「お嬢様が、辛くて心は泣いて居るのに泣けないから。私が泣いでいるのでずっ」
「そう、ありがとうアンリ。ワタクシには、貴女が居てくれる。だから大丈夫」
「う、ゴホンっ」
「あら、アラン、貴方も居てくれてるのに。ごめんなさい。ありがとう。貴方達のおかげね。こうして生きていられるのは。」
「お嬢様。一年お寂しいのを耐えてこられました。もう良いのではないでしょうか・・・」
「そうね、ワタクシ、もう自分を誤魔化すのは辞めるわね。」
「お嬢様ーーーっ」
泣きじゃくるアンリを撫でながら、 「アラン、ウチの者達を集めて頂戴辺境伯に#帰ります__・__#」
「御意」
アランが出て少し経って。コンコンコン。
「皆んな、不甲斐ない主でごめんなさい。これから、辺境伯に#帰ります__・__#」
「「「かしこまりました」」」
それからは早かった。あっという間に荷造りが済み。あー、旦那様に頂いた物は全て、置いて行きます。いや、ワタクシの色、置いて行くのは忍び無い。連れて行こう。
ワタクシの戦闘服だもの
私の色で作られたドレス、宝石達。
決して旦那様の色は贈って下さらなかった。だからいつもワタクシは社交界で、夜の妖精花。と呼ばれていた。黒髪とサファイアブルーの瞳に合わせると、寒色系だったから。自然と黒い系統になった。
そして、夜会にエスコートされた後は、いつも壁の花だったから。でも、侯爵家の妻。誰もが見ているだけ・・・
いつも、煌びやかに御婦人方と踊る旦那様が 帰る、と仰るのを待っているだけ。
胸の苦しさに蓋をしてアルカイックスマイルは崩さない___最後の矜持だったから
待っているだけ。辺境伯である父、母、兄は国境を守る為、滅多に社交界には顔を出さない。今回、帰った時は、‘’いつでも帰っておいで。お前は、いつまでも、私たちの娘だ。‘’ と、お父様、お母様が言って下さった。
お兄様も、お姉様も、‘’もう、頑張らなくて良い。‘’いつでも帰っておいで‘’ と言って下さっていた。 お言葉に一旦甘えよう。
社交界でも、レディからは、ドレスも宝石も旦那様の色では無い自らの色しか纏えない、麗しき旦那様から愛されない魅力のない女。とバカにされながら、何も出来ない惨めな女と蔑まれながら・・・
ジェントルからは、微妙に遠巻きにされながら、侯爵家の力を恐れて誰も近づかない、夜の妖精花。
それも、今日で終わりです。
サヨウナラ
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