第12話近隣諸国

 東の国と西の国を調べて貰った。まずは東の国から。名前はオルデント魔国。魔王が統治する国だった。ただ、魔王と言っても、魔物が主体の国ではない。魔族が主体の国であり、れっきとした人の国である。そもそも魔族の定義が広すぎるんだけどな。魔族には、エルフやドワーフも含まれる。亜人全般が魔族なんだ。ただ、そこに魔物人を入れる余地は無いという感じである。まあ、住民にはなれないが、交易はまた別と言う事でもあるらしいが。オルデント魔国としては、交渉できるのであれば、何処でも交渉するという土台が出来ているらしい。それが例え、デーモンロードだとしてもだ。だから、情報は簡単に手に入ったそうだ。ついでに、お金についても稼いできてもらい、銅貨、銀貨、金貨までは確認できている。それ以上となってくると、大規模な商隊を準備しないといけないだろう。それには資材も必要になってくるし、色々と入り用になってくる。交易は当分先の話だな。まずは交渉が出来るというだけでも全然違うとは思う。


 対して西の国。名前は聖ルクレイア国。人間100%の国だ。魔族も魔物と等しいとして、奴隷ならまだマシな待遇であり、普通に見たら殺されても仕方がないって国なんだそうだ。まあ、そもそもデーモンロードに勝てるだけの平民が居なかっただけで、弱い魔物であれば、普通に殺されても文句は言えないって感じらしい。こっちは交渉の席にも付けない。というか、人間以外は人じゃないって扱いだからな。そもそも話し合いが出来ない。


 現に、オルデント魔国と聖ルクレイア国とは、海岸線付近で戦争中らしいからな。そもそもこの森をどんどんと開拓していっているらしく、森は年々狭まっていく一方らしいが、それは海岸線の話。何故か、こっちの方には伸びて来ていないらしいんだよ。理由としては、魔物が強いから。まあ、開拓しやすい所から開拓するよねって話である。そして、海岸線で2国がばったり遭遇したと。一方は人間以外を認めないとあっては、戦争に発展しない方がおかしい。魔族を駆逐するのが当たり前だと思っている人たちなんだから。当然のように、交戦状態になったと言う事だ。オルデント魔国が交渉出来ないんだ。俺たちが出来る訳がない。


 そんな訳で、周辺国の調査はこれで終わりだと、思っていたんだが、ギリエルは南の方の国も調査してきてくれた。俺が生まれた場所よりも南東側。そこにはカーデル王国があったらしい。ここは人間も魔族も暮らしていて、比較的平和な感じだそうだ。周辺国との戦争の噂も無しであり、交易を主体に行いつつも、北西方向に領地を増やしている所なのだそうだ。まあ、交易は出来そうではあるが、道のりが厳しい。ワイバーンの縄張りである山を超えていかないといけないんだから、そもそも交易できることは無いと思われる。が、調査としてはしておかないといけないだろうと言われてしまった。まあ、気にしても無駄だと言う事が解った次第ではある。


 それで、南西の国なんだが、新緑の里というエルフの国があるそうだ。規模としては、他の3か国よりも小さいが、そもそも森の中にあり、隣接国が無いという状況にあるらしい。隣接国が無いというのは、国境線が繋がっていないだけで、森を超えれば、国は存在すると言う事だ。それを知っていながら、エルフだけの里を切り盛りしている状況で、外との交易なんかは無いらしい。ただ、別にエルフ以外を受け入れないのかと言われたら、そうではないらしく、住民としては、人間も居るにはいるらしい。共和制の国ではあるらしいのだが、その代表にはエルフしかなれないという条件があるだけで、そこまで閉鎖的な国では無さそうである。しかし、こちらも交易が出来るのかと言われると、無理だ。そこまでのルートが無い。危険地帯を商隊がいかないといけない事を考えると、交易は無しだろうな。


 そんな訳で、周辺国と言えるのは4か国あり、その内1つとは戦争止む無しという感じである。3つは商売は出来そうではあるが、不干渉って感じになるかもしれない。干渉してくるとなると、オルデント魔国ではあるが、こちらがまだ国に成れていないので、そも交易の話は出来ないからな。住民が出て来てから、初めてその様な話が出来るのであって、今の状態では何も出来ないと言う事になる。まあ、とっとと建国できるようにしようねって話ではあるんだよな。


「それでギリエル。オルデント魔国と聖ルクレイア国の戦争はどう言った状態なんだ? その辺も調査をしてきたんだろう?」


「勿論です。が、何分解らないことが多すぎますね。まずもって、海軍を作ることは不可能なので、陸軍だけになるのですが、それも砂浜での戦争ですからね。そもそもまともに戦争が出来ているのかと言う事が上げられます。森を横断するには、真っ直ぐ何事もなく渡ったとしても、5日は必要になるくらいには距離があり、海岸線でもそれですからね。オルデント魔国としては、迷惑な話だと思っている節があるようですね」


「ん? 海軍は作れないのか? 普通に魔族で水生種が居るとは思うが?」


「居るのは居ますが、海はそれ以上に恐ろしい場所ですからね。水生種の英雄クラスが、戦っても勝てるかどうか解らない魔物が多すぎるんですよ。代表的なのが、秩序を持った災害と言われているクラーケンですね。体長は優に100mを超え、かつ、人並みに頭が良いため、巨体を利用しつつも、魔法や武器を使ってきます。幸い、浅い場所には絶対に近づいてこないので、海が遠浅であれば、海軍も作れたかもしれないのですが、ここの海は、かなり深いようでして。海軍を動かすと、クラーケンが寄ってくるでしょうね。そんな事になれば、戦争をしている場合ではないので、海軍は作れないと言う事になります。そもそも水生種の殆どが、国や里を沿岸部や湖に作りますからね。まず勝てない奴らをどうするのかって話は絶対に上がってくるんですよ」


「海にはそんな魔物も居るのか……。それで海に出ないんだな。……それで、ギリエルが居た国とは違うし、周辺国の名前も聞いた事がないって事で良いんだよな? まあ、大陸が違うのか、そもそも世界が違うのかまでは解らないとは思うが」


「いえ、世界は一緒ですよ。言葉が同じですからね。オルデント魔国で使われている文字は知っている文字でした。文字は神から与えられた知識の1つです。ステータスを読み解くのに必要な知識になるため、国が違っても統一されているのですよ。多分ですが、独自の文字を使っている国は、余程だとは思いますよ?」


「ああ、まあ、そうなるか。となると、同じ世界が濃厚か。まだ可能性の段階ではあるが」


 同じ国があれば、確定したんだけどな。どうもこの世界は相当に広いらしい。大陸も違うって事だと、結構な大きさがあるとは思う。未開地がまだまだこんなに残っているんだ。世界の広さは相当なんだろう。それか、まだまだ新しい世界なのか、だな。まあ、それにしては国が大きいとは思うけど。もっと初めの頃は、国が乱立していただろうし、そこそこの年月は経っているとは思われる。まあ、だからなんだという話ではあるんだけどな。この中で一番長生きをしているのは、もしかしたらカーライルになるのかもしれない。世界が始まった時から、ダンジョンがここにあった可能性は十分にあるからな。そもそも月日を考えていないというのが、俺やカーライルにに当てはまるんだけど。日付なんてどうでもいいじゃないかって考えなんだよな。

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