第49話 帰って来た……

 フィッツロイは元パイロットで、この作戦では自らコクピットに乗り込みミユ達を前線に運んだ。他の兵士達は脇役にまわり、事前に経路をクリアにしたり敵の一部を抑え込んだりした。


 F45が敵の真っただ中に垂直着陸する。


 降下中の機体の外にミユが立ち、攻撃して来ようとするコレオイドをプラズマで吹っ飛ばす。フィッツロイも機体に据え付けられたリーベック銃を撃ちまくる。


 着陸するか否や、ミユは目を光らせて地上に飛び降り、シードに向かって一直線に駈ける。そしてシードを見つけるとソードを一閃、目にも止まらぬ速さで切り裂いた。


 作戦はのべ五十回に渡り行われ、主にミユ、アイリ、パニエが五十体のシードを新たに駆逐した。


 しかし無情にも残り時間は刻一刻と減っていった。それにともない連合軍側に焦燥感が出てきた。


 遂にセンチネルの箱舟回収が始まった。想定通りミュータントが掬い取られ始めた。


 そして驚く事態が起こった。


 ミユが狙われたのだ。


 センチネルから拘束用ビームが発射される。それに囚われるとたいした抵抗もできずに吸い上げられてしまう。


 ミユも早い段階で囚われた。彼女はかなり優先度が高いようだ。


 しかしビーム内で吸い上げられている途中で奇跡は起きた。


 通常は拘束して吸い上げられている間は動くことさえできないのに、ミユは拘束を解き、ありったけのエネルギーでビーム口に向かってブラズマを発射した。


 何とセンチネルはひとたまりもなく吹き飛び、ミユは解放された。


 シュウの冗談は冗談ではなかった。ミユは本当にセンチネルを破壊する力があるのだった。しかしセンチネルの数も膨大で、全てを破壊できるわけでは無い。おそらくコレオイドを全滅させる方が早い。


 連合軍側は口が重くなってきた。誰もがもう間に合わないのを感じてきたからだ。


 Xデーまで一ヶ月を切った。シードはまだ三十体以上世界中に分散している。後三週間くらいでシードを絶滅させないとコレオイドは残ってしまう。


 そんなある日、もう一つの奇跡が起こった。


 ルメールからフェイが戻ってきたのだった。しかも……アイリが叫んだ。


「カイトとグローブナーが帰ってきた! 生き返ってきた‼」


 ミュータントもフィッツロイも皆喜んだ。エースの一人が甦ったのだ。しかもフェイという力強い味方が連れてきたのだ。さらにフェイは本星での交渉で殺処分の回避はできなかったが、コレオイド撲滅の為ありったけの装備を身に着けてきた。さらに復活したチームメイトのヒューバックとララも連れて来ていた。


 皆、地球では見たこともないような戦闘スーツを着込んでいる。ルメールでも最新・最強の装備だそうだ。


 もちろんカイトも同じ装備をしている。


「ミユ! 帰ってきたぜ。左腕もほら! 甦ったぞ」


 左腕を曲げて力こぶを作って見せる。何より彼の笑顔が見られたのがうれしい。


 アイリら皆がカイトに近寄り復活を祝福し再会を喜んだのに対して、ミユは少し離れたところで動かずに立ち尽くしていた。彼女はカイトを見て思わず感極まってしまい、それを抑えるのに必死だったのだ。


 フェイがそれに気が付いてミユに近づいて、彼女の肩に手を回した。

 フェイの手が左肩に触れた瞬間、ミユにはわかった。


(感じる。左腕が、私の左腕がカイトを覚えているんだ)


 もう我慢できず、涙が溢れ出した。

 フェイがそっと導きながら、ミユはカイトの方に泣きながら近寄って行った。


「お帰りなさい」

「心配かけたな」

「もうお願いだから、先に死なないで」

「ああ、約束するよ」


 カイトの懐かしい声がミユの涙をさらに誘った。

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