第10話 第6章 後編 アジト帰還・作戦会議

📘 『黒き封印』第6章 後編

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Scene 30 アジト帰還・作戦会議


アジトの作戦室。

焚き火の揺らめく光が壁に影を落とし、仲間たちがその周囲に集まっていた。


そこにいるのは、光の騎士シン、術師・活月見、そして新たに加わった聖騎士ヴィクション。

前線から戻った三人を迎えるように、ガロウと蓮華が卓を囲んでいる。


静寂の中、活月見が地図を広げ、ゆっくりと口を開いた。


活月見

「……正面突破は無理じゃな。

ミザリーひとりだけでも厄介なのに、向こうの戦力はノネムを含め未知数じゃ。

いかに光の騎士でも、正面から叩き伏せるのは無謀さ。」


ガロウ(腕を組み、渋い声で)

「ちっ……じゃあ、どうするってんだ?」


蓮華(すっと前に出て)

「正門は諦めるしかない。

だが……城の地下には、旧時代の“抜け道”が残っているはず。」


仲間の視線が彼女に集まる。


蓮華

「私が調べてみる。潜入の道を見つけられれば、王都の心臓部までたどり着けるかもしれない。」



シン(頷き、拳を握る)

「……やるしかない。ミサキを救い出すために!」


ヴィクション(一歩前に出て、剣を地に突き立てる)

「私も力を貸そう。

あの戦いで見た。光の騎士の力が真実なら──私の剣も、必ず役に立つはずだ。」



場が締まったところで、焚き火の横に腰を下ろしたガロウが、ふと活月見に目をやる。


ガロウ(ニヤリとしながら)

「そういやよ……アンタ、やけに色々と知ってやがるが──一体いくつなんだ?」


仲間が思わず顔を見合わせる。


活月見(肩をすくめ、扇子で口元を隠しつつ)

「レディーに歳を聞くとは……ま、減るもんじゃないしねぇ……56じゃ。」


一同

「……‼‼」


全員が目を丸くし、沈黙が落ちる。


活月見は微笑み、静かに言葉を続けた。


活月見

「せっかくだから、魔法の話もするかね。

魔法とは心──精神の力によるところが大きい。


だからなのか、魔術師は“心が若くある者”が多くての。

体もそれに合わせるように、見た目が若い者が少なくないのじゃよ。


ま、それだけ使い続けると消耗も激しい。

黒魔術はその最たるじゃ。

消耗や反動は他の属性に比べるとその比じゃないよ。

ま、アタシは使わないね。絶対。」


ガロウ(呆れたように)

「……やっぱ只者じゃねぇな、アンタ。」


活月見は取り合わず、すぐ真顔に戻る。


活月見

「──ともあれ、作戦は決まりだ。潜入作戦決行じゃ。」


焚き火の炎が揺れ、仲間たちの決意を映し出す。



Scene 31 忍びと影、邂逅


夜更け。

月光に照らされたゼファーリア城外郭。


音もなく影を渡るように、蓮華は身を低くして走っていた。

忍びの呼吸は乱れず、瞳はただ一点──地下道の入口を探している。


蓮華(心の声)

「……確かに、この辺りに……」


指先が苔むした石壁の継ぎ目をなぞる。

古の地下道の気配を確かめようとした、その瞬間。


背後から低い声が落ちた。


ソルヴェン

「……忍び、か。

こんなところで何をしている。」


蓮華の背筋に冷たいものが走る。

反射的に飛び退き、短刀を抜いた。


蓮華(心の声)

「(なっ……⁉ いつの間に……まるで気配を感じなかった……!)」


振り返った時には、すでに黒衣の仮面の男がそこに立っていた。

鋭い眼光、静かな呼吸──ソルヴェン。


蓮華(刀を構えながら)

「……気配を消すのは忍びの得意とするところだが……アンタ、何者だ?」


ソルヴェン(薄く笑みを浮かべ)

「影に生きる者は、影を見抜くものだ。

お前ほどの忍びが背を取られるとは……らしくないな。」


蓮華(歯噛みし、睨みつける)

「……舌の回る奴だな。だが今は──任務を邪魔するなら容赦はしない。」


ソルヴェン(首を横に振り、背を向ける)

「勘違いするな。今は殺す気はない。

──このまま立ち去るなら、命は取らん。」


緊張が走る一瞬。

蓮華は短刀を握る手に力を込めるが、やがて静かに鞘に納めた。


ソルヴェンは背を向け、闇の中に溶けていく。


ソルヴェン(去り際に振り返り)

「忍びよ……いずれまた会おう。

その時、何を示すか……見せてもらう。」


蓮華は深く息を吐き、冷たい汗を拭った。



Scene 32 夜明け前の決意


蓮華がアジトへ戻ると、仲間たちが待つ焚き火の輪に加わった。

静かに報告を口にする。


蓮華

「……地下道は使える。

まだ塞がれてはいなかった。城の内部へ通じるはずよ。」


仲間の間にざわめきが走る。

活月見が扇子で口元を隠し、にやりと笑った。


活月見

「ほう……道は開けたか。

いよいよ決戦への扉が見えてきたねぇ。」


その時、蓮華はほんの一瞬だけ振り返り、城の方角を見やった。

焚き火の影に揺れる表情は、どこか沈んでいる。


活月見

「どうかしたかい?」


蓮華(小さく首を振り)

「……いや、なんでもない。」


彼女はそれ以上言葉を続けなかった。



シン(拳を握り、真っ直ぐに)

「必ず……ミサキを取り戻す。そのために、この命を懸ける!」


ガロウ(力強く頷き、拳を打ち合わせる)

「よっしゃ! シンがそう言うなら、俺は全力で支えるだけだ!」


ヴィクション(静かに大剣を立てながら)

「光の騎士と共にあるのなら……我が剣、必ず道を拓こう。」



活月見が立ち上がり、夜空を仰ぐ。

星々がきらめき、遠く東の空がわずかに白み始めていた。


活月見

「さあ……夜明けだ。

──ゼファーリアへ潜入するぞ!」



一行は決意を胸に、立ち上がる。

それぞれの瞳に宿る光は、闇を貫く刃のように鋭かった。




※本作はAIアシスタントの助言を受けつつ、作者自身の手で執筆しています。(世界観・物語は全て作者オリジナルです)

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