第5話 第4章 暗き森、すれ違う想い

📘第4章 暗き森、すれ違う想い



Scene 17:帰還する者たち


夜の森を抜けると、そこに広がっていたのは――

静寂ではなく、崩壊だった。


焦げた木々が無惨に倒れ、風が吹くたびに灰が舞う。

地面には爪で抉られたような深い裂け目、空にはまだ燻ぶる煙。

拠点を包むはずだった温もりは、跡形もなく焼き払われていた。


ガロウ「……なんだ、こりゃあ……? さっきまで普通だったはずだろ……」

シン「……ミサキ……」


シンは答えを求めるように前へ歩み出す。

足元に、見慣れた鉄製のナックルガードが転がっていた。

焦げ付き、血の跡が乾いている。


シン「……っ‼️」

胸の奥を、冷たい刃が通り抜ける。


ガロウ「おい、シン……まさか……」


その時――。

物陰から、重い足音とともに一人の兵士がよろめき出た。

身体中に傷を負い、息も絶え絶えだ。


シン「大丈夫か!?」

兵士A「シ、シンさん……! ミサキさんが……!」


ガロウが駆け寄り、背を支える。


シン「ミサキがどうした!?」

兵士A「黒い……魔力に包まれて……ノネムと一緒に……森の奥へ……」


ガロウ「はぁ⁉️ 一緒に? なんだそりゃ……訳わかんねぇ!」


兵士A「……姿は……ミサキさんなのに……あれは……もう、ミサキさんじゃなかった……」


言葉を残し、兵士は力尽きて崩れ落ちた。

シンの拳が震える。


シン「……っ……!」

怒りとも悲しみともつかぬ叫びが喉の奥で凍りついた。


ガロウ「おい、シン! 待てって‼︎ 一人で行く気か!?」


だが、シンは答えず。

燃え残る炎の中を、ただ一人、森の奥へと駆けていった。


その足取りには迷いはない。

――彼が信じる光は、まだ闇の向こうにあるのだから。



Scene 18:闇の中の再会


どれほど走っただろう。

森の奥は異様な静けさに満ちていた。

風すら息を潜め、木々の影がまるで見えない壁のように迫る。


そのとき――。


「クスクスクス……」


微かな笑い声。

上空から。

視線を上げると、枝の上で脚を組み、こちらを見下ろす影があった。

黒い衣装、艶やかなポニーテール、そして――あの瞳。


ミザリー「ヤッホー💜色男💜」

と投げキッス

シン「……ミサキ……か?」

ミザリー「はぁ? ミサキぃ? 誰それ? アタシはミザリーよ💜 ミ・ザ・リー💜」

シン「……」

ミザリー「よろしくね💜ダーリン💜」


枝から軽やかに飛び降りると同時に、彼女の足が閃いた。

蹴りが空気を裂く。


シン「ぐっ……!」


体勢を立て直しながら、シンの脳裏に焼きつくのはミサキの戦い方そのもの。

癖も、動きも、間合いも――完璧に同じ。

だが、瞳の奥にあったはずの優しさは、もうどこにもなかった。


ミザリー「どうしたの? 女には手を出せない?」

シン「……やめろ、ミサキ!」

ミザリー「ふふっ、優しいのねダーリン💜」


連打の拳が降り注ぎ、シンはただ受け止めるしかなかった。

その拳が掠めるたび、痛みよりも記憶がえぐられる。

――一緒に訓練したあの時間。笑って「次は負けないからね」と言った声。


ミザリー「でも、甘いわね💜」

強烈な回し蹴りがシンを襲う!!

シン「くっ…」

何とか受け止め、体勢を直すも

ミザリーの掌に集まる紫の魔力。

蠢くそれは、まるで呪詛そのもの。


ミザリー「アビスショット‼️」

シン「うおぉぉぉ‼️」


シン、剣で打ち返す。

闇の光弾が爆ぜ、木々を薙ぎ払う。

焦げた匂いが広がる中、ミザリーは笑う。


ミザリー「なぁーんだ、やればできるじゃない💜」

シン「くそっ、やるしかないのか……!」


だが、攻防の最中――

ミザリーは突然、頭を押さえて膝をついた。


ミザリー「ぐっ……シ……ン……頭が……っ!」

シン「……ミサキ?」


その一瞬の隙を裂くように、遠方から魔力の奔流が飛来。

シンとミザリーの間を掠め、地面を抉る。


ノネム「いつまで遊んでいるつもりだ、ミザリー。」


声だけが、闇の奥から響いた。

ミザリーは舌打ちし、口角を吊り上げる。


ミザリー「チッ……残念ね。勝負はお預けよ、ダーリン💜 ま、た、ね💜」


風のように姿を消した。


シン「ミサキ……!」


その名を呼ぶ声に、別の声が重なる。


???「ヒドイ戦いっぷりだったねぇ。」


現れたのは、白衣を纏う女性。

銀髪混じりの髪が月光に揺れる。


活月見「外しちゃったけど、まぁ当たってたら大変なことになってたしねぇ。」



Scene 19:活月見の導き


活月見(いずみ)は片手を上げ、森の残滓に手をかざす。

淡い光が舞い、魔力の流れが可視化される。

彼女の表情からは、軽口の裏に隠した鋭い洞察がのぞく。


活月見「……不安定な闇だねぇ。なんとも不思議な残り香だ。」

シン「アイツは……」

活月見「“アイツ”か。……あの娘は、まだ完全には堕ちちゃいない。」


シン「……まだ、救えるのか!?」


活月見はしばらく沈黙したのち、静かに言葉を紡ぐ。


活月見「それは――お前次第だよ。」


風が吹き抜ける。

炎の残り香が消え、夜空の星々が覗く。

それは、まるで運命がわずかに“光”へ傾いた瞬間のようだった。


活月見「お前の中の“光”はまだ濁っていない。だったら、掴みな。あの娘の心を戻せるのは、きっとお前だけだ。」


シンは無言で頷いた。

その瞳に、もう迷いはなかった。


活月見「さて、出来ればアンタ達の拠点に案内してもらえるとありがたいんだけどねぇ。」

シン「……ああ。」

活月見「それとシン。あんたには話しておきたい事がある」

シン「……」

シンは力強く頷いた


二人は森を後にした。

星明かりが、彼らの背を静かに照らす。


やがて吹き抜けた風が、崩れた拠点の方角へ流れていく。

その風はまるで――ミサキの“願い”がまだ生きているかのように、優しく、痛ましく、世界の片隅で揺れていた。



※本作はAIアシスタントの助言を受けつつ、作者自身の手で執筆しています。(世界観・物語は全て作者オリジナルです)

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