ハッピーエンドよりビターエンドの方が好き

 ※この章では様々な映画のネタバレが含まれるので気になるけどまだ観ていない映画のタイトルが見えたらブラウザバックしてください



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『平場の月』という映画を観てきた。ここ最近、映画館で観たのは『鬼滅の刃』や『チェンソーマン』などの話題のアニメ映画ばかりだったので邦画を観に行くのはものすごく久しぶりだった。


 すごく良かった。日常を切り取ったような演出や、堺雅人を始めとする俳優陣のリアルな演技、音楽、全てが私の琴線に触れるものだった。

 ストーリーは哀しく、学生時代に惹かれあった男女が中年になって再会し、再び惹かれ合うも結ばれずに終わってしまう。

 こちらもずんと落ち込んでしまうが、私はそういう結末が好きなので、なおさら沁みた。



 自分の書くラブストーリーものはハッピーエンディングが多いけど(と言ってもカクヨムではまだ二作しか投稿してませんけども)こうして振り返ってみると、好きな物語はビターエンディングであることが多い。




 例えば映画だと、



『ローマの休日』


 王室をひっそり抜け出した王女のアンと新聞記者のジョーは偶然出会い、お忍びローマ観光をする中で惹かれ合うが、一日の終わりで互いに別れを告げる。



『(500)日のサマー』


 冴えないロマンチスト青年トムは、突如現れた小悪魔系美女サマーにメロメロに。友達以上恋人未満という関係に大いに振り回され、結局サマーは手に届かないまま。



『ラ・ラ・ランド』


 女優を目指すミアとジャズピアノの店を持つことを夢見るセブ。恋人になった二人は一緒に夢を叶えるため支えあおうとするけれど、すれ違いの末別々の道へ。



『風立ちぬ』


 航空機の設計士として働く堀越二郎と、結核の患者である菜穂子。深く愛し合う二人だったが、自分の死期を悟った菜穂子はある日ひっそりと二郎の元から姿を消してしまう。



『花束みたいな恋をした』


 終電を逃したことがきっかけに出会った絹と麦は、互いの趣味や好きな物がそっくりなことに運命を感じて恋人に。バカップル状態の二人だったが徐々に価値観のズレが生じ出し、ゆるやかに破局。



 みんな別れとるやないかーーい!!死別や破局、一瞬の恋、様々ですが。(映画のあらすじを要約するのたのしーい)



 先程も少し触れたが、私は創作をする場合、物語の中の恋人たちはだいたいハッピーエンドに向かわせる。これは、私自身の願いや希望が反映されるから自然とそうなるのだと思う。

 それとは逆に、誰かの物語を観たり読んだりする時は、自分がなかなか書くことの出来ない「痛みを伴った美しさ」だとか「永遠はないからこその尊さ」みたいなものに強く惹かれてしまうのかもしれない。



 それと、ハッピーエンドは「良かったね」となって終わるけど、ビターエンドは「もしもこのふたりが続いていたら」という余白を想像させてくれる。今日観た『平場の月』がまさにそうだった。

 もっとあの時素直になっていたら良かったのに。もう少しタイミングをずらせば良かったのに。まるで自分が経験したかのように 映画の中の彼らの心情を思いながら、おむすび屋さんでおむすびを貪り食う、そんな日だった。

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