第2話 呪いの効かない少年
ジーク・アイン、ルーン村に産まれた少年で何不自由なくのびのびと育った、彼には特殊な体質がありそれは呪いが効かない体質であることだった。それがわかったのは彼が10歳の頃近くにゴブリンが現れその討伐にジークが参加した際ゴブリンの巣にあった呪具に誤って触れてしまった事であった、その呪具は危険というほどではないが厄介な呪いを触れた者に与える物だった。
しかしジークはなんともなく不思議そうにその呪具を眺めていた。それを見た大人達は気味悪がり次第に彼を避けるようになった。しかし彼の両親と幼馴染の少女は以前と変わらぬ態度で接していった。
そこから運命が動き出したのは2年後の職業神託の儀でジークが呪具師と判定された事だった。
呪具師とは呪われた武器である呪具しか装備できないハズレ職、多少呪いに対する耐性はつくものの呪具を装備するデメリットが大きすぎる上に呪いそのものが忌避されているため呪具しか扱えない呪具師は忌み嫌われていた。
それでも呪具師になった以上それを活かしていくしかない、そんな呪具師のために伝説の呪具師フィン・ラグネルが設立したのが呪具師ギルドであった。フィンは呪具の影響で魔王となりはてたかつての同胞とその配下40万を3人の仲間達と迎え撃ち魔王を討ち取った呪具師である。
「本当についてくるのか?危険だぞ?」
「分かってるわよそんな事。危険ならなおさら私がついていかなきゃあなたは呪具師なのよ?」
「分かったよ、リリス一緒に来てくれるか?」
「もちろんよ!この未来の大魔法使いリリスに二言はないわ!」
「じゃあまずは、ラザリア侯爵領に向かおう。あそこには呪具師ギルドがあったはずだしな、この村に居るのも流石に限界だ村のみんなに迷惑はかけれないしな。」
「呪具師ギルド⋯S級呪具師フィン・ラグネルがギルドマスターを務めるギルドね、名案だわ準備をして明日出発しましょう」
「とりあえず次の町で旅の道具を買うか、ここじゃ手に入らないしな」
「そうしましょう、それじゃそろそろ帰るわまた明日」
「あぁ、また明日」
次の日、俺とリリスは宿場町リューネスへと向かう馬車に乗っていた。
「ねぇ、ジーク、呪具師ギルドマスターのフィンさんってあの魔王を倒したって言われている人だよね?」
「あぁそうだ、フィンラグネル彼は伝説だよ。呪われているとも言われている呪具師であるにも関わらず最強最悪とも言われた魔王を討ち取った。だがそれを称賛されることはなかった、それどころか呪具師の職業を持った者は魔王に堕ちると言う噂を信じ迫害し始めた。」
「その迫害から呪具師を守るための組織が、呪具師ギルドと」
「そうだな、まさか俺が呪具師になるとは思ってなかったがな」
そう言い腰の剣を撫でる、この剣は呪具だそれもかなり強力な、呪いが込められている。
喰魂剣ルーヴェン、能力は分からないが幸いにも俺は呪いは効かない体質だじっくりと検証していこう。
「それにしても良かったわね、ちょうど馬車があって」
「週に1度しかないからな、リューネス行きの馬車は」
「田舎だもんねあの村」
「ジーク、リリス気持ちは分からんでもないが生まれ故郷をそんな風に言うもんじゃないよ」
御者――顔なじみのザンドさんが、苦笑しながら声をかけてきた。彼は俺が呪具師となっても態度を変えなかった数少ない村の大人だ。
「むぅ~それはそうなんだけど〜」
そんな他愛もない会話をしながら1週間ほど旅が続きようやくリューネスに到着した。
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