真夜中のプリン

■真夜中のプリン


 真夜中に目が覚めてしまった。

 静かにベッドから抜け出して、私は一人でそっと冷蔵庫を開ける。


「プリン食べちゃおう!」


 暗い部屋で冷蔵庫の灯りだけが光る。

 秘密の時間が始まる。


「……お母さんが一度だけ手作りプリン作ってくれたことあるな。ほろ苦いカラメルソース」


 幼い頃の記憶がふと浮かぶ。


 近所のドラッグストアで買ってきたプリンの一つに手を伸ばす。


「きゃっ!」


 後ろから不意に抱きつかれる。


「なにしてんの?」


 首筋にその呼吸がかすめてびくっとなる。

 背中に感じる体温。

 肩にのしかかる彼の頭の重さ。


 寝ていたはずの彼が起きてきてしまった。

 そっとここまで来たのにな。


「プリン食べたいな」


「食べるのは明日だろ?今日は寝るよ?」


 朝まで遠い25時過ぎ。

 冷蔵庫の扉は閉じられた。

 声だけが浮かぶような静かで暗い部屋。


「抜けがけバレちゃった……」


「許さない。離さないよー?」


 もたれかかってくる重みが増す。

 眠そうな彼の声。

 このままベッドまで連れて行くのが良さそうだ。


 扉の中に並ぶプリン。

 甘いプリンは毎日彼と。

 苦いカラメルソースも楽しめる。



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