幸せ、配達します!《幸せ配達員ミミ》

 朝、ポストを開けると、中にピンク色の封筒が入っていた。


 宛名は「この町で一番元気がなさそうな人へ」。

 これは、私の事なのかな?

 いやいや失礼過ぎでしょ!?


 差出人は──

「何これ?」と思いつつ開けてみると、中には小さな黄色い紙が入っていた。


『今日、空を見上げてください。ラッキーが落ちてきます。』


 嘘だと思いながら外に出て、空を見上げた瞬間──ぱさっと、何かが落ちてきた。

 それは近所のパン屋さんの紙袋。

 中には焼きたてのクロワッサンと、メッセージカード。


『これを拾った幸運な方へ! よかったらどうぞ!』


 近所のパン屋さんは空にあって、サプライズ形式でパンを配っているらしい。

 運が悪いから、貰えたのは今が初めてだけど。

 香ばしい匂いに笑ってしまう。


 その後、犬にしっぽを振られ、コンビニでくじを引いたら無料コーヒーが当たった。

 小さな偶然が重なって、気づけば足取りが軽い。

 家に戻ると、またポストに封筒があった。


『今日の任務完了。あなたの笑顔、確認しました。ミミより』


 私は思わず声を上げて笑った。

 世界って、こんなに優しさで溢れてるんだな。

 空を見上げると、風に乗ってキラキラ光るリボンがひとつ、ふわりと舞い降りた。

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