放課後のスニーカー
放課後の体育館裏。
夕陽が差して、埃の粒が金色に光っていた。
「……なあ、
突然の言葉に、心臓がどくんと跳ねた。
そう言ったのは幼なじみの
「な、なんで急に」
「見りゃわかるよ。お前、いつもあいつの事見てる」
その笑顔がほんの少し寂しそうで、胸が痛む。
「応援してるからな」
「……そういうの、やめてよ」
声が震えた。
夕陽の中で、彼のスニーカーが白く光っていた。
沈黙。
蝉の声。
心臓の音。
夏の空気が熱を帯びて、息が詰まりそうになる。
「でもさ」
「なに?」
「あんまり
「えっ? じょ、冗談……だよね?」
冗談みたいな声。
けど、目は笑ってなかった。
「冗談に見えるか?」
「うぅん、見えない……」
今は真剣な顔してる。
多分、嘘じゃ、無いんだよね……?
でも、真剣にそう言われたら、好きになっちゃうじゃん……!
「春香、一緒に帰ろーぜ」
「うん」
帰り道、並んだ影がゆっくりと重なっていく。
指先が、少しだけ触れた。
暑い夏だけど、今は。
なんだかあたたかく感じた。
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