レジェンド 〜伝説〜

国語力 漫点

第1話 始まりと奴隷。

 ここは、海と森に囲まれたボルビックと言う小さな田舎の村。


 その村で最も見晴らしのいい丘の上には、この村で1番大きな屋敷が建っていた。

 そして、そこでは村で1番裕福なのベン家族が優雅な生活をおくっていた。


 この家の主人は、お腹の大きな【ベン】46歳。

 それと、宝石と甘いものが大好きな妻の【ヘンリー】43歳。

 父親のベンた良く似た。一人息子の【ダーズリー】14歳。

 それと甥っ子でありこの家の使用人権、奴隷の【クラゲ】12歳。

 計3人と奴隷(1人)で暮らしていた。



 今日も夜明け前の台所で、かじかむ手を擦りながら奴隷であるクラゲは、誰よりも早く起きて3人の朝食の用意をした。

 

 すると、そこに太った体で床をきしませながらクラゲの叔父である。

 ベンおじさんが、最初に起きて来た。


「クラゲ。朝食は、まだかッ!」


「もうすぐ、出来ます!」


「もうすぐ? もうすぐだとぉ!」


 すると、ベンおじさんは怒鳴りつけながらクラゲを殴りつける。

 クラゲの貧相な体はベンおじさんの攻撃で軽々と吹き飛ぶとベンおじさんは

 転がったクラゲに、追い打ちをかけるように、クラゲの綺麗な真っ白い髪の毛を鷲掴みにすると顔を自分の方に向けさせる。

 

「誰かが起きるまでに、朝食の準備は済ませておけと、何度言わせるきだ!」


 クラゲは、痛みに耐えながら震えた声で謝る。


「ごめんなさい……ベンおじさん」


 すると、ベンおじさんはクラゲと共に床に散らばった朝食を見て


「無駄にしやがって、勿体無い! 床に落ちた物が、お前の餌だ。感謝して食べろ!

 そして、さっさと片付けて俺達の朝食を作れ!」


 そう言われたクラゲは、床に落ちた自分の餌を片付けると急いで、ベンおじさん達の朝食作りに取り掛かった。


 その後、ヘンリーとダーズリーの2人も起きて来ると、3人がテーブルに着くと朝の食事がスタートする。


 今日のメニューは、鶏肉と野菜を煮込んだスープとベーコンエッグ、メインには朝からステーキ。それにパンとサラダといった朝からはヘビーだが食事としてはバランスのとれた食事となっていた。


 それから3人は、ガチャガチャと音を立てながら食事を来ているが

 3人が食事をしている際は、クラゲは1人立ちながら3人の食事が終わるのを待つのが慣わしとなっていた。


 すると、子供にも関わらず父親であるベンによく似た体型のダーズリーがクラゲの用意した朝食を貪るむさぼる様に食べると、すぐにスープのおかわりを要求した。


「おかわり!」


 クラゲは、急いでダーズリーにおかわりのスープを用意する。

 その間に、父親のベンはダーズリーにサラダを食べる事を勧める。が……


「ダーズリー、サラダも食べなさい!」


「やだよ! こんな草、いらない。

 お前が、こんなモノ作るから悪いんだ!」


 ダーズリーは、嫌だとゴネるとサラダの皿をクラゲに投げつけた。


「これは、ヘンリーおばさんの要望で食事の時はサラダは毎食、作る様にと言われているから……」


「うるさい! うるさい! うるさい!

 お前が全部悪いんだ!!! うちに棲みつく寄生虫がッ! 寄生虫のくせに口答えをするな!」


 すると、ダーズリーの母であるヘンリーが話に割って入る。


「良いのよ、ダーズリーちゃん。

 あなたは、好きな物を好きなだけ食べていれば

 旦那あなただって、全然。食が進んでいないじゃない」

 

 実は、ベンおじさんはクラゲに文句を言いながらベーコンやパンなどをつまんでしまった為に、出来上がった朝食を食べられずに残していた。


「今日は、お腹が空いてないんだ……」


 ベンおじさんは、苦し紛れの言い訳を放つのだが……


「毎日、朝から3人分、食べるね……。

 お腹が減ってないのは、摘み食いなんかしてるからでしょ!」


 バツの悪いベンは、クラゲを睨みつける。


「……くッ……クラゲ。お前が、朝食を作るのが遅いのが悪いんだ!」


 そう言って、手に持っていたパンをクラゲに投げつけた。


「まぁまぁ、いいわ。早く食べて支度しましょう。

 今日はホエールに行くんだから」



ヘンリーの声に、ダーズリーの顔がぱっと明るくなる。


「そうだった! 僕の誕生日の準備だ!

 今日は、来月に控えた僕の誕生日パーティーの為の場所や料理にプレゼントなんかを決めに行く日だった。

 こんな事をしている場合じゃない。

 早く食べて、急いで準備しないと!

 クラゲ、グズグズしてないで、早くおかわりを持って来い。このグズがッ!!!」


「そうよ。来月は大事な大事な15歳になる。

 ダーズリーちゃんの誕生日、盛大に祝わなくちゃね。

 しっかり準備をして、最高の1日にしましょ」


「そうだ。今日は、大忙しだ!

 こうしちゃおれん、俺は先に準備をしてくる」


 ベンおじさんは、そう言うとドタドタと音を立てながら2階に上がって行った。


 すると、ダーズリーはそれを追いかける様に、おかわりした朝食を胃袋にかきこむと


「待ってよ。パパーーー!」


 食べ散らかしたモノを片付ける事なく準備の為に2階に駆け上がって行った。


 その後、ヘンリーおばさんはゆっくりと朝食を取ると「綺麗に片付けなさい」と、クラゲに強めの言葉を残して2階へと上がって行った。



 それから準備を終えたベンおじさんが1番最初に降りて来ると、クラゲに今日の仕事が言い渡された。


「今日、俺達はオーシャン国、最大の都市である。

 王都ホエールに行って来る。

 暗くなる前には、戻って来るから。

 お前は、家の掃除と畑、家畜の世話の後で市場に食料の買い出しにも行っておけ!」


 そう言って、ベンおじさんは5万リル入った。金貨の袋をクラゲに投げつけた。


「5万リル入っている。新鮮で鮮度のいい食材を買い揃えておけ!

 俺達が居ないからって、くれぐれもサボるんじゃないからな……

 サボってなどいたら、タダじゃおかないからな。よく覚えておけよ!」


「赤ん坊の頃に、父と母に捨てられてからベンおじさんとヘンリーおばさんには引き取って頂き育てて頂いた恩があります。

 サボるなど、いたしません」

 

「生まれてすぐに、親に捨てられた無能な。お前を無償で、この家に置いてやっているんだ。

 それが分かってるなら、もっとちゃんと働け! このグズがッ!!!

 そして、もっと俺に感謝しろ! このバカがッ!!!」


「申し訳ございません。ベンおじさん……

 いつも、ありがとうございます」


「まあ、いい。

 お金は、いつもより多く入れある。

 俺達は、気分良く帰って来るから。その気分を壊さない様に、豪華な夕食を作って待っていろ。分かったな!」


 そして、袋の中身がいつもより多い事を確認したクラゲはベンおじさんに一つお願い事をした。


「ベンおじさん、袋の中には5万リルあります。

 今日の夕食をいくら豪華にしても、少しお金が余ります。

 なので、覚えていないとは思いますが……

 実は、今日は僕の13歳の誕生日です。

 もし宜しければ、余った。お金で、本を1冊買っても宜しいでしょうか? お願いします。ベンおじさん」


ボコッ!


 すると、ベンおじさんは思いっきりクラゲを殴り飛ばした。


「さっきまでの話をちゃんと聞いていたのか? お前は、何度言えば分かるだ? 

 お前は、親にすら見放された必要のないゴミなんだよ。

 そんな奴は、何も望むな!

 分かるか? お前みたいなクズにやる金は、この家に1リルたりとも無いんだよ! 

 奴隷の分際で図々しい。分かったかクラゲ、分かったら黙って働け。

 言っておくが……もし、1リルでも盗んでみろ!

 お前の手を腕ごと切断してやるからな。

 分かったら、さっさと仕事にとりかかれ。   

 このグズのノロマがッ……!!!」


 そう言って、ベンおじさんはクラゲを何度も何度も殴っては蹴り飛ばす。


「申し訳ございません……分かりました。

 ごめんなさい……ごめんなさい……」


 すると、準備を終えたヘンリーとダーズリーが降りて来た2人は、その光景を見ると


「どうしたの? パパ……」


「クラゲの奴が、小遣いを要求して来たから自分の身分を教えてやっていたのさ!」


「それは、大変だったね。パパ!

 パパだって、殴った手が痛いでしょ!?

 だから、今度からは、棒で殴れば良いんじゃない?」


「確かに、それなら手が痛まないわね。

 なんて賢いのかしら。この子は、ダーズリーちゃんは天才よ!」


 母親に、そう言われて少し照れるダーズリーは、少し照れながらパパとママに15歳になった時のほうふを語る。


「なんなら、今度からクラゲのしつけは僕がやるよ!

 僕も、もうすぐ15歳になるんだし。

 奴隷のしつけくらい、ちゃんと出来る様にならないとね」


「それは、名案かもしれんな。

 ダーズリーも15歳になったら奴隷のしつけくらい覚えないとな」


 それを聞いたダーズリーは、鼻をフガフガさせならがら興奮し話し始める。


「そしたら、そしたら! 僕が15歳になったら納屋に拷問部屋を作ろうよ!

 そしたら僕、毎日そこでクラゲを拷問するから!」


「名案だ! さすが自慢の我が息子。

 賢いぞダーズリー」


「さすが、私たちのダーズリーちゃんですね。

 その為にも今日の下見は、しっかりと見て来ましょう」


「そうだね。

 楽しみだね! パパ、ママ!」


 それから、大笑いをしながらベンおじさん達が出かけると

 静かになった家でクラゲは1人、自分の手当を行った。


「……大丈夫。泣くな。泣く暇があるなら、仕事をしろ」


 そして、言いつけ通りに家の掃除、洗濯、畑仕事、家畜の世話などを行うと

 市場に向かい夕食の買い出しを行った。


 すると、市場の人達はクラゲの誕生日を覚えてくれており。

 暖かい言葉をかけてくれて、食べ物などを沢山おまけしてくれた。


「おや、クラゲ。今日は誕生日じゃないか!

 誕生日のお祝いに、これをつけておくよ」

「なら俺も、この野菜持っていけ!」

 

 クラゲは、何度頭を下げ皆んなの優しさに胸が熱くなった。

 そして、クラゲは市場の人達に感謝をすると、その浮いたお金で自分へのご褒美に1冊の本を買う事にした。


 そして、念願の本を手に入れたクラゲは森の中の自分で建てた掘立小屋秘密基地に向かうと、自分で作ったテーブルに本を置くと自制の椅子に腰掛けた。

 子供の頃に作った椅子なので、ガタつきもありサイズもあってないがクラゲは、そんな事より新しい本の内容が気になっていた。

 

 なので、クラゲは手に入れた本に浮かれていた為に、ドアの閉め忘れに気づかずに本に没頭していた。

 

 すると、食材の匂いに引き寄せられたのか、はたまた怪我をしているクラゲの血の匂いに引き寄せられたのか、1匹の獣がゆっくりとクラゲの背後に忍び寄ると……

 集中して気づかぬクラゲの背後に飛びかかった。

 クラゲは、その魔物に床に押し倒されると魔物と揉みくちゃになる。


「やめろ! やめろ! 助けて、助けて!

 誰か助けて——!」


 しかし、その声は誰の耳にも届かない……


 そして、数分が経過するとクラゲは静かになり動かなくなった。

 そんなクラゲを……お腹を空かせたオオカミの子供である魔物は、クラゲの事を舐め回していた。

 

「やめてくれよ! ガブ

 顔がベトベトじゃないか……」


ワンッ!


 尻尾を振って喜ぶ、ガブ。

 クラゲは、そんなガブに持って来た食事を与える。


「今日はね。僕の誕生日だから市場の人達も沢山おまけをしてくれたから食事が豪華だぞ! ガブ」


ワンッ!


 尻尾を振って、むさぼり食べるガリガリのガブの姿を見てクラゲは心配になる。


「お前は、いつまでたってもチビガリだから。いっぱい食べて大きくなるんだよ。

 そしたら群れに戻れるかも、しれないからね」


 実は、ガブは生まれてすぐに体が弱く自然界で生き抜く力が無いと親に判断されると

 他の子を危険に晒さない様に、群れたから捨てられて弱っているところをクラゲが見つけると保護した。


 それが2人の出会いであり。

 それ以来、クラゲになついたオオカミ種の子供であろう。

 魔物に【ガブ】と言うと名前をつけると、秘密基地の番犬として育てる事にした。


 しかし、ガブもクラゲに助けてもらってばかりでは無かった。


 ある日、クラゲが皿を割り家を叩き出された時の事だ。

 その日は、雪が降る極寒の日だった……。

 奴隷であるクラゲは、薄着に裸足で家を追い出された。

 そんな格好では、寒さを凌ぐ事は到底無理なクラゲは納屋に逃げ込んだ。

 しかし、納屋に隠れたが容赦ない寒さがクラゲを襲うとクラゲの意識は、どんどん遠くなっていった。

 その時に、クラゲを救ったのはガブであった。

 ガブは、クラゲのピンチに気づくと匂いを辿って納屋まで辿り着くと

 死んだ様に冷たくなったクラゲを自身の体毛と体温で温めた。

 そして、翌朝目を覚ましたクラゲはガブが助けてくれた事に気づくと、ガブが居なければ死んでいたと思い。

 ガブに感謝すると、そこからクラゲとガブの絆は深いものとなって行った。


 それからは、買い物の際はガブに食事の残り物を持って行くとチビガリのガブが、大きくなる様に沢山餌を与えた。


 そして、ガブと遊んだ後は秘密基地で勉強をしていた。

 この秘密基地には、少しばかりの本が置いてあり。

 クラゲは買い物の帰りに、ここに寄るといつも魔法の研究勉強を行っていた。


 何故、クラゲが隠れる様に魔法を学んでいるかと言うと、クラゲは昔……

 買い物や家事や掃除の時に役立つ為に、ベンおじさんに文字や魔法が使える様になりたい。学びたい。と、お願いをしなのだが……


「奴隷の分際で、ふざけるな!」


 と、怒鳴られると1週間ほど身動きが取れなくなるくらいボコボコに殴られた事があり。

 それがトラウマとなりクラゲは、文字や数式については市場の人達に少しずつ教えてもらい。

 文字が読める様になると、次は魔法を学ぶ為に、自分で取った薬草や獣の肉などを売ると、1冊の本を手に入れた。

 そして、その本を使いクラゲは独学で魔法の基礎を学ぶと、基本的な補助魔法や攻撃魔法は使えるようになっていた。


 そして、より高度な魔法を覚える為の本を市場の人達の好意で手に入れたクラゲは、その本を穴が開くほど読み漁り、気づいた事があるとメモを取った。


 すると、遊びではあるが独自の魔法理論を見つけるのがクラゲの趣味となっていた。


 そんな事に、今日も熱中していると……

 あっという間に数時間が立ってしまったので、クラゲはガブに別れを告げると急いで家に戻った。


_________________________________________

あとがき


 私の作品を読んで頂き、ありがとうございますm(_ _)m


 あとがきでは、この作品に関する情報などを書こうと思っております。

 しかし、必ずしも読んで頂かなくとも本編の方には、何の問題は無いので、気になる方のみ読んで頂ければと思っております。


 と、言う訳で(あらすじでも紹介しているのですが……)

 まず初めに、この作品では独自の通貨を使用しております。

 通貨名は【リル】と言って、主人公が海の生き物から名前を取っているので


 水→→→リットル→→→リル。


 と言った。リットルからとった名前を通貨の名前を使う事にしました。


 簡単に説明すると、1リルは1円です。

 100リルは100円で、10万リルは10万円となります。


 これは、私が考えた通貨だと思っております。

 もし、先に使っている方がいましたら只今の発言は申し訳ございません。

 ですが、私は、この通貨を見つけた。発見した時に、これだー!!! と思いました。

 今まで、金貨や銀貨が何枚とかゴールドなどといった一般的な物で表現していましたので【リル】と言う通貨を発見したときは、喜びました。


 そして、もし宜しければ、【リル】と言う通貨を気に入って頂いた方がいらっしゃいましたら使ってみて下さい。

 この通貨を【ゴールド、ベリー、ルピー、ペリカ、バリス】などと言った。

 通貨の様に、有名な通貨になれる様に

 願って……わたしは、使って行きたいと思います。


 などと言った世間話を本編の(あとがき)にも、ちょいちょい挟もうと思っております。

 もし宜しければ、そちらも読んで頂。

 コメントなどを頂けると嬉しいです🥹

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