第2話 レジェンダーと師。
【王都ホエール】
王都に到着したベン達は、息子であるダーズリーの誕生日をお祝いする為の会場や料理、プレゼントなどを決めると、高級なレストランで食事をとっていた。
「高い割に、味は……まあまあの店ね」
「この程度の料理なら今度、クラゲに作らせてみよう」
「良い案だね。パパ!
そしたら、この料理が毎日食べられるね」
その後、食事を終えたベン達が街を観光していると、たまたまホエールに訪れていた白髪の老人レジェンダーと出会った。
*
レジェンダーとは?
冒険者、勇者の上に存在する人物を指す名称であり。
伝説になった人物だけが所属する事を許される。
レジェンド協会と言うと特殊な機関に所属する人達の事を指す言葉であり。
レジェンダーとは、いわゆるレジェンド。
伝説級の人物や偉業を成し遂げた人を指す言葉である。
その為に、レジェンダーになる者は勇者以上の偉業を成し遂げるか、この世で最も危険かつ困難な試験を受けて合格した者にのみ与えられる称号である。
詳しく説明をすると、この世界には冒険者ギルドというものがあり。
ギルド同士は、世界で情報交換をしているが、それに所属する冒険者はギルドがある国の管理下にあり。
ギルドに所属する冒険者の主な仕事は、その国の治安維持や魔物退治である。
そして、その中でも最も強く勇敢な者が勇者となり。
勇者やSランク冒険者と言ったもの達は、世界の平和を守る為に魔王や邪神、邪竜と言った者達の討伐を行う。
しかし、レジェンダーとは、そんな偉業を得てなる者である。
なので、レジェンダーの主な仕事は……
世界のバランスを保つ事。
少し説明をするなら、勇者でも手に負えない危険区域の調査や魔界との交流や魔族の侵略の阻止。
魔族は、強い者しか認めない為に
レジェンダーに、まず必要とされるのは強さ。
レジェンダーは、魔王クラスがゴロゴロと居る魔界で平和を維持する為に、交渉なども行う。
そして、時には人間の世界に暮らす魔族達の安全も保証する。役割を担っている。
この事から分かるように、レジェンド協会とは世界に広がるギルドより上の機関であり。
レジェンド協会は、世界各国が認めた組織の為に、レジェンド協会に所属する者には
たとえ国王様であっても意見や手を出してはいけない。などと言ったらルールもあるくらい。
特別な存在の人達の事をレジェンダーと呼ぶ。
そして、レジェンダーになった者のみが持つ事が許される。レジェンドカード!
これは、冒険者で言うところのギルドカードであるが……
その本質は、全く違う者で、レジェンダーになった者が見せる。
レジェンドカードは、見せるだけで世界にある。
全ての公共機関や施設、危険区域の通行なども無償で行える様になり。
金融機関からはカードを提示するだけで、無期限、無金利で数十億円の融資も受けられる。
なので、レジェンダーが数十人集まれば、新たな国すら作り出せる。
レジェンダーとは、そんな人物の事であり。
人々は、そんなレジェンダーを崇め。慕い。憧れた。
*
話を戻すが……
そんなレジェンド級の人物が、オーシャン国の王都ホエールで何をしているかと言うと
レジェンダーである彼は、次のレジェンダー試験の為に候補生を探しているようであった。
それを知ったベンとヘンリーは、自分の息子である。
ダーズリーをレジェンダーに推薦してもらう為に、白髪のレジェンダーに話しかけた。
「レジェンダー様、私どもの息子をレジェンダーに推薦して頂けないでしょうかッ!」
すると、レジェンダーの老人は2人と会話を始める。
「ええ、才能とは何処に転がっているとも分からない。
わたしは、その埋もれた才能を見つけ出す為に世界を旅しています。
申し遅れました。
わたしは、フクロウと申します」
そして、フクロウはダーズリーの頭の上に手を乗せると……
ダーズリーの細かい情報を調べる。
「…………なるほど、確かに微量ながら魔力持ちではある。が、しかし……」
フクロウが、そう続けようとした矢先にベンとヘンリーは被せるよに話し始めた。
「そうなんですよ! この子は、魔力持ちで、魔力を持っているので……
ですから、レジェンダーにさせては頂けないでしょうか。フクロウ様!」
「しかも、うちのダーズリーちゃんは
強くて、賢くて、なのにとっても優しくて正義感の強い。
何処の誰よりも、レジェンダーに相応しい。
そんな自慢の息子でありますから!」
「だから、どうかどうか……
うちの息子をレジェンダーにしては頂けないでしょうかッ!」
すると、フクロウは2人に助言をする。
「わたしがレジェンダーを決める訳ではありません。
わたしは、あくまでもレジェンダーとなれる素質のある者を推薦するだけなのです。
そして、わたしが、この子をレジェンダーに推薦するのは容易い。
しかし、この子には本当にレジェンダーになる覚悟があるのか?
そして、あなた達にも問おう。
本当に、この子をレジェンダーにする気があるのかと」
「勿論であります。フクロウ様
この子は、自慢の息子です! 必ずや私達の期待に応えてくれます」
「そうですか……では、君に問おう。
君は、本当にレジェンダーになりたいのか?」
「任せてください! フクロウ様。
僕は、立派なレジェンダーとなって一般の民の上に立ち、そいつらを従えてやります!
それが、勝ち組に生まれた僕の使命でございます」
「素晴らしい! 息子よ。
俺は、お前を誇りに思うぞ!」
「さすが、ダーズリーちゃん。
無能な民を貴方が導いてあげなさい!
どうでしょう。フクロウ様
私達の息子が、どれだけレジェンダーに相応しいか、お分かりになりましたか!」
「……なるほど。
はっきり言おう。
君は、レジェンダーには相応しくない。
諦めなさい! 君程度では、試験会場に辿り着く事すら出来ない。
辿り着くことなく必ず死にます」
「そんなの、やってみなきゃ分からないじゃないかッ!!!」
「そうですよ! フクロウ様。
それはいくら何でも、馬鹿にしすぎです!
なんなら試験会場までは、私達が責任を持って送り届けます」
「試験会場まで行くのも一つの試験なのですよ。
なので、この子は不合格です」
「そ……そんな」
「パパとママが、余計な事を言うからじゃないかッ!!!」
「ごめんなさい。ダーズリーちゃん、パパとママは、そんなつもりじゃなかったのよ。
許してちょうだい……」
「パパとママのせいだ!
2人なんて、嫌いだ! 嫌いだ!!!」
「どの道、君程度の覚悟では到底無理だ。
無駄に、命を粗末にする事はない」
言い争いをする3名を横目にフクロウは、そ言葉を残して立ち去った。
*
その後、家に帰ったベン達家族はフクロウへの苛立ちをクラゲにぶつけていた。
「ふざけるな! なんだ。
この食事は——ッ!!!」
「せっかく外で美味し物を食べてきたのに、気分が台無しだわ!」
「おい、クラゲ。床に落ちた飯はお前が全部、食べろ!」
そう言って、ダーズリーはクラゲの頭を足で踏みつけると
手に持っていた棍棒でクラゲを何度も殴りつけた。
「お前は、またサラダなんか作りやがって……
何度言ったら分かるんだ。
お前は、僕が言った僕の好物だけを作ってれば良いんだ。
この奴隷が、この何の取り柄もない無能のバカがッ!」
「しかし、ヘンリーおばさんには……サラダは必ず作れと言われているので……
それに、サラダがあった方がテーブルの上の彩りが華やかになるので……」
「うるさい! 誰に向かって口答えをしているんだ。
僕は、お前の主人であるパパの息子だぞ!
赤ん坊の頃からパパのスネをかじって生きてるスネかじり。いや、寄生虫が!
そんな奴が、僕に口答えするなんて許される訳がないだろがッ!」
それを見たベンとヘンリーも棍棒を持つと、3人は必要以上にクラゲを殴り続けた。
「クラゲ。お前は、勘違いをしている様だから言っておくが
お前は、俺達の好意で、この家に住まわせてやっているんだ。
しかも、残飯とは言え幼い頃からの食費を計算すれば10万リルくらいは超えているだろう。
文句があるなら、コレからは食費を払ってもらうぞ。
給料の無いお前には、1リルも払えないと思うがな」
「だったら、今日から飯抜きだよ。こんな奴!」
「クラゲ。貴方は、私達の忠実な人形。
何も言わずに、言われた事だけをして、床に落ちた残飯を食べていれば良いのよ。
豚のように……この卑しい奴隷が……」
それからクラゲは、殴られ続けて意識を失うと数日間の間、目を覚まさなかった。
そして、数日後。
目を覚ましたクラゲは、まだ動ける様な体では無かったが、ベンの家の食料が少なくなって来た為にベンの命令で少なくなった食材を補充する為に、傷んだ体を引きずりながら市場へと出向いていた。
そして、市場の人達はクラゲの傷を見ると皆んな心配した。
しかし、奴隷であるクラゲを助けると罪になる為に、市場の人達は心配はしてもクラゲを助ける事は出来なかった。
なのでクラゲは、市場の人達に心配をかけないように元気に振る舞った。
そして、その後は、久しぶりにガブに会う為に秘密基地に向かうと
そこには、傷つき今にも息絶えそうなガブの姿が……
「ガブ……その傷は!!!」
「くぅ〜……」
弱々しく鳴くガブの意識がクラゲに流れ込んでくる。
「……そうだったのか、ガブ……僕を心配して、家まで来てくれていたのか……
しかし、そのせいで……ごめんな……ガブ……」
そうガブは、姿を見せなくなったクラゲを心配して家まで見に来てくれていた。
しかし、以前からベンおじさん達に目をつけられていた事もあり。
ガブは、見つかり捕まると棍棒で殴り続けられた。
しかし、ガブはクラゲの安否だけは確認すると決めており。
それだけ、確認して帰ると
その時、受けた傷が酷く。秘密基地に戻ると動けなくなってしまった。
クラゲは、そんなガブに泣きながら
そして、ガブが元気を取り戻し安心していると突然クラゲは背後から声をかけられた。
(しまった……扉を閉めるのを忘れていた)
しかし、クラゲとガブは声を掛けられたが振り向く事もせずに
緊急時の避難用として作っておいた机の下の抜け道から脱出すると、森の奥に姿をくらました。
「大丈夫……魔法を使った所は見られたが、顔は見られていないはず。
魔法が使えるとバレたら、ベンおじさんにどのくらい殴れるのか……」
一瞬、そんな事を考えたが……
ガブに酷い事をしたベンおじさんへの怒りが沸々と湧き上がっていた。
クラゲは、その怒りを胸に抱いたまま家に帰えった。
そして、クラゲがいなくなった小屋ではフクロウが机の上の本とメモに目を通していた。
「…………これは、新たな魔法の術式……
これをあの子は、独自で勉強し開発したのか……!?」
なぜフクロウが、この小屋を使っているのがクラゲ1人だと推測したのかと言うと
小屋の大きさ、テーブルと椅子の数。
それからメモに書いてある文字の癖が1人のモノであると推測したからである。
「もし彼が……本当に、これを1人で発見したのなら。
彼なら、なれるかもしれない。
新たなレジェンダーに……」
そこからフクロウは、この村に止まると手掛かりは少ないがクラゲを探す事にした。
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あとがき
2話目も読んで頂き、ありがとうございますm(_ _)m
※出来る限り。1日1話、投稿を出来る様に努力します。
今回は、レジェンダーの説明でありました。
あの説明で、レジェンダーと言う職業を理解して頂けたでしょうか?
この後も、もう少し詳しく解説する時がありますので
今の所は、冒険者の上にレジェンダーと呼ばれる職業があると言う事を覚えておいて頂けたら幸いです。
そして、今回は、これと言って盛り上がる所はありませでした。が……
次回は、クラゲの過去が少し分かり。
今回よりは、少しは動きがあると思いますが……
本番は、あくまでもレジェンダー試験が始まってからなので、5話か6話くらいになると思います。
しかし、出来る限り面白くなる様に頑張りますので、引き続き読んで頂ければ嬉しく思います🥺
よろしくお願い致しますm(_ _)m
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