どうしよう

がぁ

「どうしよう」


尊は全身から吹き出す冷汗を拭うことなく足早に家路を急ぐ。


小学校からの下校。

いつもと変わらない一日の終わりのはずだった。


「どうしてあんなことに」


後悔してもしきれない。

何故あんなことをしようと言ってしまったのか。


友人たちには止められた。

「尊くんは運が悪いから、やめといた方がいいよ!」


その言葉を無視して行った結果がこれだ。

今まで何度となくやってきた。

今まで何も起こらなかった。

でも、でも、もしかしたら今日こそは‥


「…」

無言で玄関のドアを開けると、いつものように祖父が尊に気づいて「おかえり」と迎えてくれる。


その笑顔を見て、とうとう尊の目から涙が溢れ出てきた。


「おじいちゃん、僕、今度こそ◯んじゃう!!」


「あれー、また白線踏みしてきたのかぁ?わははは、そんな泣くくらいなら、もうやめようなー(笑)」


‥‥大人と子供の温度差よ。


小学生の尊の、ある夏の日の思い出。

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