第四十一話
するとオキギ君は、今まで見たことがないような悲しそうな表情になった。そして私に、
「い、
やっぱりそうか。私の、
「それはダメなの、オキギ君。ここはホビットの国。だから人間の私がいつまでもいる
そして私はその理由を、オキギ君に話した。
「この国のホビットたちは
もしそうなったら私は、とても
私にそう言われるとオキギ君は、目に涙をためて私の顔を見上げて
「それでも嫌だ! 僕はリーネさんと離れたくない! だって僕はリーネさんのことが……」
私はそんなオキギ君の髪を、優しく
「ほらほら。泣いちゃダメよ、オキギ君。君はこれから、皆のリーダーにならなくちゃいけないんだから」
でも私は、言ってしまった。
「でも今だけは、好きなだけ泣いて……」
私がオキギ君の髪を撫でていると、オキギ君は落ち着いたようだ。
「ごめんなさい、リーネさん。リーネさんを、
「いいのよ。分かってくれれば、それでいいのよ」
するとオキギ君は涙を
「僕たちホビットは皆、リーネさんに感謝しているんです。もしリーネさんがこの国にきてくれなかったら、僕たちは
そしてオキギ君は岩の
「土よ、我がイメージに固まれ! アース!」
すると岩の壁が
「だから、これくらい良いでしょ?」
それを見た私も、ニッコリと微笑んだ。
「うん。ありがとう、オキギ君」
そうして私とオキギ君は、ホビットの皆がいる場所に戻った。すると皆はすでに悲しい表情で、立ちすくんでいた。ホビットの女の子の一人が、私に聞いてきた。
「ねえ、おねえちゃん。おねえちゃんは人間の国に、帰っちゃうの?」
「うん、そうだよ。私はブリという魚を釣るためにここにきて、もうその魚を釣っちゃったから。それにここはホビットの国だから、人間の私がいつまでもいる訳にはいかないの」
するとその子は、涙をこらえながら聞いてきた。
「でもいつか、またここにきてくれるよね? それくらい、良いよね?」
なので私は、ニッコリと微笑んだ。
「うん。いつかまた私は、この国にくるよ。皆が幸せに暮らしているかどうか、確認するために」
それを聞いたその子は、目に涙を浮かべて無理矢理ニッコリと微笑んだ。その子の
「必ずくる。私はまた、必ずこの国にくるわ……」
そして私は、人間の国に帰る準備を始めた。それが終わると私はオキギ君に、
「あ、あの。どうしたんですか、リーネさん?」
なので私は、ニッコリと微笑んで答えた。
「この竿は、オキギ君にプレゼントするわ。いくら『絶対に魚が釣れる魔法』が使えても、竿がなきゃ魚は釣れないから」
「でも、それじゃあリーネさんが魚を釣る時はどうするんですか?」
「ああ、いいのいいの。私は大丈夫。私は人間の国に帰って、また竿を買うから」
「そ、そうですか……」
そうして私はホビットの皆に、別れを告げた。
「それじゃあ皆、元気でね! また必ず、ここにくるからね!」
するとホビットの皆は、
「風の
そして私は、三〇メートルほど
私は人間の国に着くと、まず城に向かった。そこで
「リ、リーネさん! ま、まさか本当にホビットの国を見つけてブリを釣ってきたんですか?!」
私は
「お、おお。これがブリですか……。それでは
そうして私とイホリさんは、城の中に入って
「お、おお! ま、まさか本当にブリを釣ってきたのか?! み、見せてくれ! そのブリを、見せてくれ!」
そう言われた私はバケツからブリを取り出して、国王に
「コックに伝えてくれ。このブリの
するとイホリさんは、キッチンがあるであろう玉座の右側に移動した。そして国王は
「それではリーネ。お
なので私は、冷静に答えた。
「いえ。結局、ホビットの国は見つけられませんでした。ブリはたまたま見つけた砂浜で、釣りました」
それを聞いた国王は、少し考える表情になった。
「ふうむ……。ホビットの国に行った者は
国王の言葉を聞いても私は、何も答えなかった。すると国王は、何かを
「ふむ。何も言いたくなければ、それで良い。私は一度、ブリを食べてみたかっただけだからな」
と国王の話が終わった時、イホリさんが
「それでは約束の、八○○万ゴールドだ。確認するといい」
私はイホリさんから小袋を受け取ると、中身を確認した。確かに小さなダイヤモンドが八つ、つまり八○○万ゴールドが入っていた。そして私は国王に
「ちょ、ちょっと待ってください! リーネさん!」
私は後ろを振り返らずに、答えた。
「何でしょうか?」
すると後ろから、イホリさんの声がした。
「だ、大丈夫ですか、リーネさん。いつもと違って、元気が無いような……」
「はい、大丈夫です。ちょっと、疲れただけです。それでは」
と私は、銀行に向かって歩き出した。そこに八○○万ゴールドを
「ふざけんなよ、てめえ! このパン、高すぎるだろう?!」
「うるせえ! 一ゴールドだって安くしねえよ! このパンがたけえと思うなら、他の店に行け!」
ああ。私は帰ってきたんだな、人間の国に。ホビットの国とは、大違いだ。私は今、釣り
でも今は、違う。ホビットの国に行って、魚を釣って欲しいという依頼だけは
そしてホビットの国の場所は、
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