第10話 しゅなんとか君
いじめが始まったのは、今からちょうど一年ほど前の事だった。
いじめの主犯は、同じクラスの
佐藤は、転校初日、不安だった僕に話しかけてきてくれた。
『……………西村、陸……さん、ですよね……?』
開口一番、本人確認。
いきなり声をかけられて、僕は一瞬戸惑う。
『えっ、と……名前、は……』
僕は戸惑いながらも、本心で名前がわからなくてそう聞いたら……
『えっ?』
彼が無意識に発したその一言には、背負いきれないような闇が詰まっているような気がした。
彼の顔は、暗闇の中で一筋の希望の光を見つけたような顔から、地獄のどん底に落とされたような顔になっていった。
そしてしばらく下を向いた後、小さく言った。
『そっか……覚えてないってホントだったんだ……。』
『え? ごめん、聞こえなかった。もっかい言って……ください。』
同い年とはいえいきなりため口は失礼かなと思い、敬語を付け足した。
『あ……。……………佐藤、――だよ。』
『――さん。よろしく……? ……。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます