第一章 第十六話「校舎前にて」
スクールバスから降りて、セイラとフェドリクと別れた。この学園では校舎に入る前に十分間校舎の前で学年ごとに並ぶことになっているみたい。
「貴方がニューガール?」
わたしが列に加わろうとすると、明るいほぼ金色に近い茶髪に、爽やかなリーフグリーンの瞳をもつ、背の高い女の子が話しかけてきた。明るい太陽な笑顔で、活発そうな子だ。着ているのは制服では無く学校指定のオーダーメイドのジャージ。
「そうだよ」
アンジュロンド語にはジャクレン語ほどの「口調」というものが存在しない。ほんとうに助かっている。
「よろしくね!」
すると、肩のところで銀髪を切りそろえたマダムがやってきた。瞳はオレンジと緑のアースアイ。スリムな体型。
「あなたがカレンね?わたしの名前はフィオラ・レンティーナ・アルバー。4年A組の担任よ。よろしくね」
ミセス・アルバーは微笑んだ。
「よろしくお願いいたします」
アルバー家はアンジュロンドの小男爵。でも、フィオラという人物はいなかったと思う。
「シア、自己紹介したら?」
「はい」
女の子の名前は、シア、と言うらしい。
「わたしの名前はシア、アルシア。よろしくね」
ここは魔法学園。学費が高いから貴族が多いだけで貴族学園では無いから、苗字を名乗る必要は無いんだ。
「わたしの名前はカレン。ジャクレン人だよ。よろしくね」
シアとミセス・アルバーはわたしを4年A組の列に案内してくれた。
『おはようございます!』
少しアンジュロンド語訛りのジャクレン語が聞こえてくる。そちらの方を見ると、小柄な男の子がいた。整ったシャタン(金髪と茶髪の中間くらいの色)の髪の毛にアイスブルーの瞳。唇は薄めで、白い肌をしている。
『おはようございます1初めまして!』
わたしもビシッと挨拶し返した。
『僕の名前はティル。六年間ジャクレンの首都桜翠都に住んでたんだ』
ああ、だからそんなにジャクレン語が上手なんだ。
『わたしの名前はカレン。よろしくね』
わたしがそういうと、ティルは微笑んだ。
『よろしく、カレン』
その後、シアはわたしを女子のグループに紹介してくれた。1、2、3……10。四年生の女子は10人。少ないなぁ。わたしがシルフィア学園に来て驚いたこと。それは学年の人数が少ないことだ。それでもやっていけるのはすごいと思う。みんな名前を教えてくれたんだけれど、全員の名前を覚えることはできなかった。これから少しずつ覚えなくちゃ。
「4Aの皆さん!出発しますよ!」
ミセス・アルバーの掛け声が響く。4年A組のことは略して4Aと呼ぶらしい。ちなみにもう一つのクラスはG組。クラスの名付け方は担任の苗字の頭文字。
ついに、わたしの新たな学園生活が始まる!
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