第一章 第九話「箒」
「わああ!」
カレンの下階の図書室にセイラは目を輝かせた。
「たまにここに来る?」
カレンがセイラに提案すると、彼女は目を輝かせた。
「良いのですか!?ありがとうございます!ではお姉様、荷解きを手伝いましょうか?」
「良いの!?ありがとう!」
「何をすればよろしいでしょうか」
なぜかまた水色に戻ったルディがカレンの服を引っ張る。そして自分の形を変えながら何かをカレンに伝える。
「ほんと?ルディ、ありがとう!」
カレンがルディを抱きしめる。ルディはピンク色に変わった。
「じゃあセイラ、風の魔力をルディにちょっと分けてあげてくれるかな。ルディなら何を何処に仕舞えば良いのか知っているから、収納してくれると思うの」
「お安いご用ですわ」
そして彼女は詠唱を唱えた。
「ウィンディ・レイディアンス!」
セイラがルディに魔力を流し込む。ルディはカレンの開いたトランクにスライムの手を向ける。風が荷物を包み込み、それぞれの物が部屋中を飛び、収納されていく。完璧な作業だった。
「わああ!風魔法ってすごいのね!セイラ、ルディ、ありがとう!」
「どういたしまして、お姉様!」
セイラがはにかむように言うと、ルディが縦に伸びて、お辞儀(のようなもの?)をした。
それから二人と一匹は、無限トランクを持ってリビングに移動した。魔法陣が出てきて、カレンの時と同じようにセイラが驚いた。カレンが水魔法の魔導書を見ながら魔法で水球を二つ作り(水色に魔晶石が光ったのは、彼女に水属性の適性もあるかららしい)、二人でそれぞれの水球に魔力を込める。カレンの水球は淡い紫、セイラのはアイスグリーンに変色した。水球の水をそれぞれの種を植えた鉢に注ぐ。みるみる芽が生え、茎となり、箒の尻尾のような枝が生え、木となる。宝石の花が咲き、乗れるくらいの大きさになると、二人はぼきりと箒草を折る。カレンの方は柄が桜型の魔石やリボンで装飾された桜色の箒に、セイラの方はエメラルド色の魔石や金糸で装飾された箒になった。二人ともこの魔道具に感動してしまい、他の9個もその場で開けることになった。
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