第一章 第六話「無限トランク」
階段の下に入り込んだところにあるその上品なドア。開けると、そこは落ち着いたファンタジックな朝空をイメージしたリビングルームだった。縦に長い窓が三つ、床はシックな蒼の絨毯。真ん中にソファ、長くて低いテーブルが置いてある。そしてソファの前には魔映板。私の祖父のライバル商会、皐月真登商会の前会長、マサト・サツキが発明した映像を見れる板だ。最近、ジャクレン王国では「ちゃんねる」数が増え、十二ちゃんねるになった。二隅に背が高めで面積の小さな物置机。花瓶に白いユリが飾られている。セイラの魔華だ。魔華とは、一人ひとりの魔力を象徴し、形どる花だ。ちなみにカレンのはサクラだ。
大きなソファの横には、淡い色の荷開き台がある。その上にはワインレッドがかった茶色の革に金糸や魔石で装飾された大きなトランクが乗っている。カレンは、それを開けて驚いた。そのトランクは、魔道具だったのだ。トランクを開けると違う色調の四つの紫の「収納の魔法陣」が現れる。それぞれの魔法陣には10個のものがあらかじめ入っていて、自分の好きなものを一定の量まで入れたり出したりすることもできる。それぞれの魔法陣は初級レベル、中級レベル、上級レベル、そして0.5%の人しか行き着くことのできない達人レベルにそれぞれ到達した時に解禁できる。カレンは全ての魔法陣に魔力を込める。
「ホーリー・レイディアンス!」
菫色の鍵とモーヴの鍵が作られ、それぞれの色の魔法陣が開けられた。菫色の魔法陣に触れると、空中に内容のリストが現れる。どうやらこの魔道具、「無限トランク」という名前らしい。
「プレイ魔法カードセット」1パッケージ7枚入りのカードコレクション。購買でも1パッケージ50ダイヤ(5000円)で売っている。説明書きはこうだ。
「この中には、一度だけ効果のある魔法を付与してあるカードが7枚入っています。基本的には大四属性の魔法ですが、10%の確率で個性属性の魔法のラッキーカードが出ます。何が出るかは運次第。開けるまでカードは決まっていません。カードに書いてある呪文を唱えると、技が発動します」
カレンは後で開けることにした。
二番目、「箒の種」。小さい鉢と種、土が入っている。鉢に土を入れ、種を植え、水に魔力を込めて注ぐと一瞬で箒が育つらしい。カレンが箒を育て始めようとした時、インターホンが鳴った。カレンが来訪者を確認すると、セイラだった。
「お姉様、これが私のところに来ましたわ」
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