地球から一番遠い教室で

草川斜辺

第1話 ムーンバスケットボール

シュートがはなたれる。


ボールはゴールリングにぶつかり大きく跳ね上がる。


リバウンドを取ろうとジャンプする両チームの選手。

身長よりはるかに高くジャンプした味方がリバウンドを奪い取る。


「よしっ!」

速攻だ!

浅井英騎あさいえいきはゴールに向かって走り始める。


振り返ると、ボールを持った味方がゆっくりと降下しながらパスする相手を探している。

コートの反対側を浅井と並走する中山がジャンプしパスを要求。中山をマークしていた敵ディフェンダーも慌ててジャンプするが間に合わない。身長ほどの高さに達した中山にパスが通る。


浅井は中山に合図しつつ、スリーポイントラインのあたりで思いっきり床を蹴りジャンプ。ゴールリングに向かって体が上昇していく。

身長の2倍の高さを超えたくらいに体が上昇したところで中山からのパスをキャッチ。ナイスパス!


そのまま体は上昇を続け、ボールを頭の上に持ち上げた浅井は、ゴールリングにボールを押し込む。

決まった! ダンクシュート。


予選の試合にしては入っている観客席から大きな歓声があがる。味方ベンチのメンバーも全員立ち上がっている。


7.7メートルの高さにあるゴールリングを掴んだ手を離す。

地球の1/6の重力下で体がゆっくりと落下していく。

浅井はタイマーの方を見る。


第4クォーター、残り時間3分。

5点差まで追いついた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る