情弱ビジネス用の情報商材として有効なのか技ありなのか

 思うとこを前回はさらっと書いた。

 今回はこれが金脈であることを書きたい。

-----


 AI小説が一位でだけであれば興味をひかれなかっただろうが、今回のことで興味を持ったのは作者氏のビジネス的な立ち回りの上手さだ。


 結論から言えば情報商売ビジネスとweb小説界隈が言うところのマーケティングを満点で実践している。

 AI編集者氏はビジネス的な対応が非常に上手い。

 賞賛に値する。


 最初からAI作成と明記し一位という実績を取った段階でも「作家」を名乗らない。そして、しっかりと「コロナ禍の際にweb小説を好きになった」「著名な創作者からマーケティングを学んだ」という意思表示で状況をコントロールしている。

 これもweb小説愛の一つの形だと主張するのは非常に強い。

 

 対立しないことを選択したという点は画期的だ。


 猛威を振るってきたAI絵師は失敗した。

 AI絵師は初手で既存のイラストレーターを煽ることで対立構造を作って炎上ビジネスを展開していた。

 無許可で絵柄をAIに学習させているが、データセット学習は合法だ。

 無断で行われていようが違法ではない。

 それを免罪符として使用してしまった。

 絵柄は視覚的な要素での盗作とみなされるためそれを強調する必要があった。

 対立はしたものの炎上すればするほど周知され、結果的には金になる。


 このルートを意図的に回避したのは「AI編集者」という属性には最上の成果で偉業ではないだろうか。

 対応を見るからにデータセットの元をどこから吸いだしたか、そこには一切触れていない。

 今後もその話には答えないだろう。

 よしんば答えを迫られたとしても合法の一言ですむ。違法性が無いのだから、瑕疵など一切ない。


 運営からしてもイラストの盗作やトレスなどと比較しても遥かに軽い問題だ。そもそも作者がAI使用と明記しなければいいだけなのだから。


-----


 ここから本題の金になるかについて思うことを書く。

 

 今からAI作家として広告収入を稼いでいくは遅すぎる。

 そんなものすでに蔓延しているからだ。 

 この状況で有効なのは情報商材として成立させること。


 SNSには怪しげな連中がたくさんいる。

 億稼いだコンサルというのを一度は見たことがあるだろう。

 彼らの言う実績など真偽は知れない。それでもある程度の金額は儲けている。


 総合ランキング一位、これはまごうことなき実績だ。

 日に5000作品も投稿される中の総合一位である。

 まさしく本物だ。


 この実績と手法は情報商材として成立する。


 誤解が無いように明記するが、今回の作者氏はそんなビジネスなど一切していない。

 俺がやるなら情弱ビジネスとして「AI小説一位メソッド」を売り出す。という想定だ。


 周回遅れに群がる層をターゲットにしたもので、古着転売スクールやインチキ動画編集教室と同じようなものだと思ってほしい。

 web小説界隈自体がさして大きいものではないが、合法で用意するものもPCだけというのはかなり入りやすいだろう。


 なにより、すでに成功事例がある。

 SNSのよく分からないコンサルから始まり、最底辺としては詐欺で逮捕された「頂き女子りりちゃん」がいる。

 

 本名は渡邊真衣こと「頂き女子りりちゃん」は巨額の詐欺事件で逮捕された女性だ。

 結婚詐欺で億単位の金を詐取した上、自らの犯罪手法を記述した詐欺マニュアルを販売していた。資金洗浄を行っていたとみられる関係者も組織犯罪処罰法で裁かれている。

 この詐欺マニアルは「りりメソッド」としてかなりの数が売れていた。そして、このマニュアルに従って2000万円を詐取した女性も逮捕され実刑を受けている。


 これが売れたのは何よりも「実績」がすでにあったからだ。

 歌舞伎町ホストクラブでの豪遊とSNSにアップされる画像。それを信じる人は多かったし、逮捕された今だからこそ証明されたが億単位の犯罪収益を実際に得ていた。

 頂き女子リリちゃんやSNSコンサルは札束の画像やらで儲けた実績を演出した。それが真実かは分からなくとも、情弱ビジネス特有の夢がある。


 肩書としてのAI編集者がなした「総合ランキング一位」という偉業は、真実実証性で前述の夢を大きく凌駕している。


 ココナラなどのスキル販売系のwebでは今でも小説投稿サイトへのポイント加算が販売されている。

 AI編集者になれることは不正ポイントなぞより遥かに上にあって、規約にも則っている。

 現状ではなんの問題もないし、違法性もない。

 今後のことを考えてもAIによる作品の真贋など見極めようがないのだから、この流れは止められない。

 

 実際に販売するとしたら、購入者の目的も様々になるだろう。

 承認欲求を満たすため、または広告収入で小銭を得るため。

 AIによる小説作成は、両方を満たす可能性を売る情弱ビジネスとして成立するだろう。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る