第6話「『影の支配者』の反撃と、初めての消耗」
1.平和な一週間と、次の波
情報の上書きバグを修正してから一週間。俺たち『放課後チート同盟』は、比較的平穏な日常を過ごしていた。その間にも、小さなバグ(信号機の異常点灯、図書館の蔵書データ消失など)は発生したが、いずれも咲耶、ひかり、凛、零の連携で迅速に解決した。
部室での活動も、すっかり日常の一部になった。
「佐倉君。このネットワークプロトコルの解析、手伝ってくれる?あなたの『デバッガー』としての直感が、システムのエラーロジックを理解するのに役立つわ」
凛は、俺の能力を最大限に活用しようと、常に新しい課題を与えてくる。
「ゆうくん、この前教えてもらったゲーム、クリアしたよ!今度は対戦しよう!」
ひかりは、俺との距離感を気にせず、無邪気に話しかけてくる。
咲耶は、相変わらず冷静だが、バグ修正の度に俺に感謝の言葉を伝えるようになった。
零は、遠くから俺たちを眺めていることが多いが、時折、意味深な笑顔で「佐倉君は、私たちを繋ぐ**『糸』**だね」と呟く。
俺は、確かにこのチームの**『ブレイン』**として機能している。俺の指示が、美少女たちのチートな能力を、世界の危機から守るための強力な武器へと昇華させていた。
しかし、その平和は長くは続かなかった。
<h4>2.『空間の歪み』と、意図的なバグ</h4>
その日の放課後。俺が部室で次のミッションの準備をしていると、かつてないほど強い警告が、俺の視界に表示された。
【CRITICAL ALERT: World System Error 004: Spatial Distortion - Wide Area】
【エラー種別:Intentional Manifestation - HIGH PROBABILITY】
【発生場所:学園から南へ3km - 郊外の廃ビル群】
【バグレベル:Level 4 (周辺の物理法則崩壊の危険性あり)】
「咲耶!今回のバグは…ヤバい!**『空間の歪み』**だ!Level 4!」
俺は、モニターに表示された情報を指さす。
「場所は学園外、郊外の廃ビル群!そして何より…**『意図的な発現』**の可能性が高いと出ている!」
咲耶の目が、鋭く細められた。
「『影の支配者』の仕業ね。彼らは、私たちを誘い出すために、あえて広範囲で危険なバグを発生させたのかもしれない」
「空間の歪み…私の『ブースト』でも、軌道が計算できなくなる可能性が…」ひかりが珍しく不安そうな表情を浮かべる。
凛が、解析データを示す。
「予測される歪みの規模は、半径500メートル。このまま放置すれば、そのエリア一帯が**『世界の理の外』**に切り離され、消失するわ」
「潜入だけではダメね。今回は、物理的な**『排除』**が必要になる」零がポッキーを折った。
咲耶は即座に指示を出した。
「佐倉は、最も安全な廃ビルの屋上から、バグの**『中心点』と、『支配者側の干渉源』**を特定。天宮と私が先行し、凛と零は、佐倉の護衛とルートの確保に回る。緊急事態よ。全速力で向かうわ」
<h4>3.初めての接触と、能力の消耗</h4>
現場に到着した俺たちは、廃ビルの屋上から状況を確認した。
廃ビル群の一角が、文字通り歪んでいる。空気は揺らめき、ビルの壁は溶解したように波打ち、地面は不規則に隆起していた。
「佐倉!指示を!」咲耶がインカム越しに叫ぶ。
「はい!歪みの中心は…廃ビルの最下層だ!そして…見つけた!『影の支配者』側の干渉源!」
俺の視界には、歪みの中心点とは別に、別の廃ビルの影から、黒いフードを被った二人の人影が、歪みに向かって手をかざしている様子が表示された。彼らが、このバグの実行犯だ。
「咲耶!奴らは、中央のビルから50メートル離れた、一番低い廃ビルの屋上だ!二人組!」
「分かったわ。天宮、私たちが奴らを叩く!あなたはその二人を、物理的に拘束。私は周囲の歪みを一時的に『フリーズ』で安定させる!」
ひかりと咲耶は、屋上から跳躍。ひかりの**『ブースト』**で加速された咲耶の体が、歪みの波を乗り越え、実行犯たちがいるビルへと向かう。
その瞬間、敵側の二人が、突然、青い光を放った。
「くっ!なんだ、この力…!」ひかりが苦悶の声を上げる。
【干渉源からの反撃を確認! - Energy Shockwave】
俺の警告ウィンドウが激しく点滅する。
咲耶とひかりに、強烈なエネルギーの衝撃波が襲いかかった。
「きゃっ!」
ひかりの**『ブースト』による防御膜が、一瞬で弾き飛ばされる。咲耶も、『フリーズ』**能力で衝撃波を凍結させようとするが、そのエネルギーの出力に耐えきれず、地面に叩きつけられた。
「咲耶ちゃん!ひ、ひどい…!」
「…大丈夫…よ。ただの**『疲労(消耗)』**だわ」
咲耶は、インカム越しに震える声で言った。能力を過剰に使用したことによる、肉体的な疲労と反動。
初めて、**『修正者』**が傷ついた。
俺たち『放課後チート同盟』が、初めて『影の支配者』の力の前に、明確な消耗を強いられた瞬間だった。
—―第6話 完—
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