この作品は大人気Vtuber凪野みなもが亡くなることで始まる物語だ。
人は死ぬことでようやくその物語を終えることができます。ですが、残された人たちは何を思い生きていくのでしょうか?
失った悲しみを受け入れられない人。飲み込んで前に進む人。忘れるよう努める人。
死んでしまっては何も生まれない。残らない。
しかしインターネットという電子の海で生きていた痕跡は残り続けます。配信者として活動していたことは誰かの記憶だけでなくデータとして生き続けるのです。
それが消えることのない思い出になるか。あるいは新たな希望となるか。
さまざまな視点から一人の死から始まる今作は、そんな考えさせられる題目をひとつずつ丁寧に描いています。
現代エンタメの象徴といえるVtuberをこのような形で表現し落とし込める翠星蟲の感受性に心打たれました。
エピローグというには少し悲しいですが、それでもこれからの人生を生きていく登場人物たちの背中が見えたような気がして、つい続きを思い描いてしまいます。
長くなりましたが、切なくも素敵な物語をありがとうございました。今後とも先生の作品を読める日を楽しみにしております。