【異次元通販】というスキルが外れだからと追放されたが、最高クラスのスキルや従魔、奴隷を毎日無料で購入できるレジェンドレアスキルだった
名無し
第1話 外れ認定からの追放
「あ、あれ?」
俺はそれまで自室のベッドで横になり、スマホを見ていたはずだった。
ところが、いきなり光に包まれて何も見えなくなった。どうしたのかと思うと手元にスマホはなく、俺は神殿のような場所に立っていたんだ。目の前には祭壇があり、足元には魔法陣のようなものがある。
「夢なのか、これ?」
「夢などではありません」
「なっ……!?」
背後から声がして振り返ると、そこには一人の人物が立っていた。長い杖を持ち、いかにも高級そうな装飾品を身にまとった男だ。というか、俺自身も服装が異世界風に変化していることに驚く。
「あなたは勇者様として召喚されたのです」
「ゆ、勇者……!?」
にわかには信じられない。あれか、よくライトノベルで行われる召喚の儀式なのか。ってことは、ここは異世界ってことだよな……。
「俺、ただの大学生なんだけど……」
そう。俺は一浪して二流の大学に通う冴えない男だ。
名前は
「あなたがいた世界ではそうだったのでしょうが、ここでは勇者様として呼ばれたのです」
「そう、なのか……」
「はい。魔王が復活しそうなので、国の命令で宮廷召喚士である私が勇者召喚の儀式をしたということです」
「なるほど。だが、俺には世界を救えるような力なんてないんだが……」
「それなら心配には及びません。召喚の儀を行った時点で、勇者様にはスキルが付与されているはずです」
「そ、そうなんだな。でも、なんで俺なんだ? 誰でもいいってわけじゃないんだよね?」
「もちろんです。召喚の儀には、勇者として最もふさわしい者を選出できる効果もあるゆえ、例外はあっても、99%間違いはないかと」
「な、なるほど……」
99%という言い方が気になる。その1%が俺なのかもしれないしな。
そのあと、召喚士が教えてくれたので色んなことがわかってきた。
この世界はもちろん俺の視点では異世界で、俺がいた世界とはまったくの別世界。最近では各地で魔物による被害が頻発しており、100年振りに魔王の復活も取り沙汰されている。そんな中、ストラウス王国の王様が宮廷召喚士の男に勇者召喚を命じて現在に至るというわけなのだ。
「でも、俺が勇者だなんて。ましてやスキルなんて本当にあるのかどうか……」
「それなら確認する方法がございます」
「あ、それ多分知ってる!」
「さすがは勇者様」
そうそう、ライトノベルではお決まりの呪文があったんだ。
「ステータスオープン」
――――――――――――――――――――――――
名前:斗賀野仗助
性別:男
年齢:21
スキル:【異次元通販】
――――――――――――――――――――――――
「おお、出てきた」
異次元通販だって。なんだかよさそうなスキル。俺、本当に異世界を救う勇者になっちゃうのか?
「では、勇者様、失礼ながらこちらでも確認させていただきます」
「確認?」
「はい。王家の鑑定士は王様に同行しており不在なため、レアリティは劣りますが鑑定グラスというレア魔道具を使わせていただきます」
へえ、さすが異世界。スキルだけじゃなくてそんなアイテムもあるのか。というか、俺がスマホゲームが好きなだけにレアリティという言葉がとりわけ気になる。まさか、異世界でもそんな概念があるのかって。
「レアリティって?」
「この世界では、スキルはもちろん魔道具、武具、そうしたものにレアリティという尺度がつけられています。これはクオリティと似た意味を持つのです」
「なるほど……」
じゃあ、俺がいた世界とほぼ変わらないってことだな。レア度が高い=質が高いってことだし。
召喚士の説明によれば、こうしたスキルのような効果を持つ魔道具は材料も沢山必要で技術的にも作るのが難しいとか。モンスターから稀にドロップするレアアイテムのようにそうそう手に入るものではないとのこと。
要するに、人間が作る魔道具や武器、神が与えるスキル、モンスターからドロップするアイテム全てにレアリティという尺度がつけられているというわけだ。
「ノ、ノーマルランク、だと……」
「え?」
俺は召喚士の言葉に耳を疑った。
「【異次元通販】のレアリティがですか?」
「そうだ。ノーマルスキル……すなわち、正真正銘のカススキルだ! こんな、バカなことがあるのか。私は1%を引いてしまったというのか……」
うわ、なんか途轍もなく剣呑な空気になってきた。勇者として召喚したはずが、外れスキルだったんだから当然か……。召喚士は見る見る顔を赤くすると、物凄い形相で俺を睨みつけてきた。
「ノーマルランクのお前になど、もう用はない。今すぐ消えるがいい! 兵士たちよ、至急この者を追い払うのだ!」
「「「「「はっ!」」」」」
「ちょっ……!?」
俺は神殿兵たちによって外へと放り出されてしまった。
「はあ。勝手に呼び出しておいて、この仕打ちはなんなんだよ……」
俺は異世界に一方的に召喚され、そして同じように追放された。こんなのあんまりじゃないか。元居た世界に戻してくれと懇願したいが、下手したら殺されかねないのでやめておく。とはいえ、これからどうすればいいっていうのか。
「あ……」
そうだ。異次元通販っていうスキルを使えばいいんじゃないか? 何故かノーマル扱いされたが、俺にはそれが不思議だった。何故なら、一見すると便利そうなスキルに見えたからだ。
というか、異世界に通販なんて概念はほぼ存在しないだろうし、それで外れ認定されたとも考えられるわけで。しかも、異次元通販自体には相手を倒す力もないわけで、レアリティの度合いがノーマルまで引き下げられてもおかしくないと思えた。
よし、それなら使ってみよう。というかスキルってどうやって使えばいいんだろう? 口に出すのはなんとなく恥ずかしいので心の中で異次元通販とスキル名を念じてみる。
お、『商品が届きました』とウィンドウが出てきた。はや、もう届いたのか。ってことは、自分で商品を選ぶことはできないが無料で購入できるってことなんだな。ん、ウィンドウが更新されたぞ。どうやら商品の説明らしい。
――――――――――――――――――――――――
商品名:【武神】
種類:スキル
レアリティ:
効果:身体能力、及び戦闘センスが格段に上昇。
自身の体を含めて、すべての武器を有効に使える。
――――――――――――――――――――――――
レ、レジェンドレアだって? こんな凄いものを無料で購入できるなんて、そんなのありなのか。いくらなんでもチートすぎる。これってもしかして、異次元通販って規格外な通販って意味なんじゃ?
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