第18話:コヨミの言葉と、隠された感情
夕暮れ時、ハルカはコヨミを抱き上げ、縁側で座っていた。白い狐の毛並みは、夕日に照らされて金色に輝いている。
「ねぇ、コヨミ様。あの時、どうしてあんなに無理をして、わたくしを守ってくれたんですか?」
ハルカの問いに、コヨミはしばらく沈黙した。
『……あれは、神使としての義務だ。月守神社の巫女は、私が守るべき存在』
「義務、ですか」
『そうだ。それに……』
コヨミはそこで言葉を切った。
「それに、何です?」ハルカは優しく尋ねる。
コヨミは顔をハルカの肩に押し付け、そっと囁くような声で言った。
『お前を失っては、私が退屈で困るだろう。不機嫌で、甘い煎餅を作ってくれる者もいなくなる』
それは、コヨミ様流の精一杯の「甘い言葉」だった。
ハルカは、彼の小さな体を強く抱きしめた。
「ありがとうございます、コヨミ様。わたくしも、コヨミ様がいなくなったら、寂しくて困ります」
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