あの人、勇者の物語にはいない。

ゼリ_Xerionic

第1話 1-1 悲しみのリース (改)

居間の真ん中に、灰色の髪をした少年リースが立っていた。

パーティーメンバーの残り四人が、彼を取り囲むようにして立っている。

静寂だけが満ちているのに、空気は息苦しいほど重く張り詰めていた。

暖炉の中の炎が激しく揺らめき、荒々しく燃えていた。

仲間たちの視線は重く、まるで罪人を裁く法廷のような圧迫感があった。


「リース。私たち、もう決めたの。あなたをパーティーから追放する」


炎のような赤い髪の少女、アンジェリカの硬い声が、リースの正面で響いた。

まだ十四歳なのに、彼女は「女神の剣」という加護の所有者だ。


「……どうしてだよ、アンジェ……?

僕たち二人で、一緒に有名な冒険者になるって夢見てたじゃないか……」


幼い頃から兄妹のように育った彼女の声が、頭の中でぐるぐると反響する。

リースは見慣れた顔を見つめた。

けれどその表情は冷たく、まるで知らない人間のようだった。

世界がぐらりと傾き、底なしの闇へと吸い込まれていくような感覚に襲われた。


「理由は簡単だよ。お前が弱っちいからだ!!」


二番目に叫んだのは、ヴィクター ―金髪の美少年。

まるで女神が授けたかのような整った顔立ちで、彼の髪は光を放ち、金色の魔力の粒子が髪からふわりと広がっていた。

彼こそが、リースが所属していた名もなきパーティーのリーダーだ。

だが、王子のような美しい顔の持ち主である彼が、今は信じられないほど粗暴な態度を取っていた……

アンジェリカとヴィクターだけではない。

ヴィクターの声が途切れると同時に、もう一人のメンバーの声がすぐさま続いた。


「もううんざりなのよ。戦いながらずっとお前を守ってあげなきゃいけないなんて」


ルーシー ―金褐色の髪をした、美しい白い花のような容姿の少女。

加護「鉄の城壁」の持ち主は、だるそうに、伸びるような声で言った。

視線は決して鋭くはなかったが、空っぽで、まるで空気を見ているかのようだった。

それは事実だ。

どんな戦いでも、リースはいつもこの少女の大きな盾の後ろに隠れていた。


そして最後の人物は「アニア」―茶赤色の髪の魔法使いの少女。

加護は持っていないものの、ランタナの街で最も優れた魔法使いであることは疑いようがない。

彼女は何も言わず、ただ静かに息を吐き、苦々しい目でリースを見つめていた。

もしその視線が魔法だったなら、リースはもう何百回も粉々に砕かれていただろう。

ゆっくりと目を閉じる。

唇を噛みしめ、牙が食い込んで血がにじむ。

彼女は顔を背け、何も言わず、何も助けなかった。


家の扉が開け放たれた。

リースはアンジェリカ、ルーシー、そしてヴィクターに追い立てられるように外へ押し出される。

彼の荷物が一つ一つ、投げ出されていく。


「これ持ってけ、リース。アッシュチェンブルックに帰って、もう冒険者なんてやめちまえ」


アンジェリカがそう言い放ちながら、革袋を投げると、それは宙を舞ってリースの目の前に落ちた。


彼はそれを数秒間じっと見つめ、歯を強く食いしばって拾い上げる。


「アンジェ……」


小さな声が、リースの喉からほとんど息も絶え絶えに漏れた。

アンジェリカはそれに答える代わりに、顔をぷいっと背けた。


「認めちまえよ、リース!!!

お前みたいな奴は、もうこれ以上強くなれるわけないんだ!!!」


ヴィクターが激しく叫んだ。


「お前は俺の物語に相応しくない……いや、最初からお前の存在なんて俺の物語にはなかったんだよ!!!」


その声は剣のように深々とリースの胸を貫いた。

金色の髪が魔力の粒子を輝かせながら揺れるその威圧感は、まるで呪いのようにリースに言い聞かせる。――お前はもう、これ以上強くなることはない、と。

震えるリースの手が、革袋を強く握りしめる。

中から布が擦れる音が小さく響いた。

彼は震える息を吐き出し、紙が裂けるような掠れた声で言った。


「……わかりました。

もし僕が皆さんの足手まといだというのなら、もう無理はしません……。

どうか、幸運を……」


取り返しのつかない言葉がそこで途切れた。

リースは地面に散らばった荷物を拾い集め、振り返ることなく歩き去った。

ヴィクターとルーシーは背を向けて家の中へ戻る。

残されたアンジェリカだけが、遠ざかる彼の背中をじっと見つめていた。

彼女はまぶたをきつく閉じ、唇を強く噛みしめる。

左手が自分の服の裾を握りしめ、くしゃくしゃに歪ませた。


「幸運を」


それは、もうリースには届かない、最後の言葉だった。


目的もなく歩き続ける足取りが、リースをどんどん遠くへ連れていく。

心の中では、この二年間の空白が、何度も何度も繰り返し浮かんでは消えていた。

(この二年……僕はいったい何をしていたんだ……)

彼には神の加護などなく、特別に目立つ才能も一切なかった。

仲間たちが全力で鍛錬している姿が、頭の中でぐるぐると回り続ける。

(僕はただ……見ているだけだった……)

ヴィクターとアンジェリカの装備の手入れ。

夕食の支度と皿洗い。

荷物を背負ってルーシーの盾の後ろに隠れること……それだけだった。

(僕はただの夢見る子供……絶対に叶わない夢を見てるだけの……)

幼い頃のアンジェリカの笑い声が、まだ耳に残っている。

でも今は、それはまるで別世界のように遠い。



二年もの無価値な時間を嘲笑った後、リースの足は彼を冒険者のギルドの前に連れてきていた。

(そうだ……やるべきことは……)

彼はすぐに、自分の足がなぜ自分をここまで引きずってきたのかを理解した。

人ごみをかき分けて、空いている受付カウンターへと向かう。

冒険者たちの話し声がどれほど大きく響いていても、何一つ耳に入ってこなかった。


「こんにちは、リースくん」


受付嬢が顔を上げて微笑んだ。

ヴィクターのパーティーで唯一、彼女が笑顔を向ける相手がリースだった。

それでも、その笑顔は死んだものだった。命のない花のように。

リースは大きく息を吸い、勇気を振り絞った。

いつものように無理やり顔に笑みを浮かべ、自分がかつて「これが人生最後の言葉になる」と信じていた言葉を絞り出した。


「僕……冒険者を辞めます」


声は震え、口角が引きつり、両肩が小刻みに震え始めた。


「本当に辞めちゃうの?」


受付嬢が聞き返したが、その顔は相変わらずの無関心な笑みを浮かべたままだった。

その笑顔は、まるで焼けた鉄のようにリースの胸に押しつけられ、彼がこの街に相応しくないという烙印を押すようだった。


「……はい」


受付嬢はペンを紙に走らせ、素早く文字を刻んだ。

まるで感情のない機械が、ただ手順をこなしているかのように。


「上の階でヴァガス様に会ってね」


紙がリースの手に渡された。

彼はそれを受け取り、ギルドの二階へと階段を上る。

一番奥の部屋の前で、ドアをノックした。


「入れ」


落ち着いているが、どこか苛烈さを秘めた男の声が返ってきた。

ドアを開けると、ギルドマスターの椅子がゆっくりとこちらに向きを変え、顔を現した。

穏やかな表情の老人で、髭と口髭はきちんと整えられている。だが、頬骨から鼻を通って反対側の頬骨まで一本の大きな傷跡が横切っていた。


「ヴァガス様、僕……冒険者を辞めます」


リースは迷いなく言い、受付嬢から受け取った書類を差し出した。

だがヴァガスはすぐに受け取らず、代わりに鋭く睨みつけてきた。

リースは歯を食いしばり、その視線に耐えた。

目の前にいるのは、かつて「竜狩りのヴァガス」と呼ばれた伝説級の冒険者だったとしても、構わなかった。

しばらく睨み合った後、ヴァガスは大きく息を吐き、口を開いた。


「結局、本当に辞めたいんだな」

「……はい」


リースは短く、掠れた声で答えた。息は細く、ほとんど聞こえないほどだった。


「はあ……『五番目の呪い』って、本当に頻繁に発動するよな」


ヴァガスはそう言いながら、手元の書類を書き続けていた。

それを巻き、丁寧に封蝋を施してから小さな木箱に収めた。

『五番目の呪い』とは、余剰メンバーへの揶揄だった。

低ランクパーティーの最低人数は四人、最大八人。

だが奇妙なことに、パーティーに五人いる場合、『五番目のメンバー』が追放されることが多い。

リースもまた、その一人だった。

ヴァガスの手がゆっくりと木箱を閉じた。

視線がゆっくりと上がり、再びリースの目を見つめた。


「リース。お前とアンジェリカがアッシュチェンブルックから来た日のことは、今でもよく覚えている」

「……はい」


「辞めたいと言うなら止めはしない。

ただ、最後に一つだけ頼みたいことがある」

ヴァガスは木箱を机の上に滑らせた。

視線が細まり、挑戦するようにリースを捉える。


「これをアッシュチェンブルックの冒険者ギルドまで届けてくれ。

書類は傷つけるな。封蝋も割るな」


リースは細められたヴァガスの瞳をじっと見つめた。

顔の傷跡に反射する光が、頭の中の混乱した思考を払い除け、暗い心の底にただ一つだけを残した。

(もしこれが最後なら……喜んで受けます)

心がそう告げた瞬間、リースは声を上げた。


「はい!」


彼は手を伸ばし、木箱を受け取って背負い袋にしまった。

それを見届けたヴァガスの髭に隠れた口元が、リースの気づかないところでわずかに緩んだ。


「この任務の報酬は、俺からの餞別だ」


言い終えると、ヴァガスは椅子を回して窓の方を向いた。

リースは深く頭を下げ、大きな声で礼を言って部屋を出た。





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