11 初邂逅
ホセと別れた俺は目的地もなく歩いていた。
歩けばまたボスに出会えるかもしれないから。
ホセの補助があったとはいえ、かなり簡単にボスを倒せるようになっていたな。
ボスゾンビの時はマジで命懸けだったのに。
鳥を斬っている時に少しだけ違和感を感じていた。
いつもより俺の力が強かった気がする。
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スキル
共通言語
偽装
隠密
ジャイアントキラー
アンデットキラー
挑発
鑑定LV2
身体能力強化LV1
反応強化LV3
韋駄天LV1
棒術LV1
体力強化LV1
腐食耐性LV1
全能力強化LV1
???
称号
剣の使い手
モンスター討伐
スピードファイター
殺人
殺人狂
孤高
導く者
ジャイアントキリング
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ああこれか。
ジャイアントキラー
確かボスゾンビを倒した時のスキルだよな。
字面的に巨大なモンスターに対して攻撃力が上がるみたいな感じか?
それなら辻褄は合う。
デカかったもんなあの鳥
あの鳥を倒して挑発っていうスキルを手に入れたんだけどどういうスキルなんだろう?
イメージ的には敵を引き寄せるスキルなんだけど。
上空にいる鳥に有効だと嬉しい。
実験できるようなモンスターいないかな?
昼と夜でモンスターの湧き方は全く違う。
昼はほとんど遭遇しない。
日の昇っている間に歩いても10体も遭遇しない。
逆に夜は数百体単位で遭遇する。
夜になってから検証するのが一番楽かなぁ。
そう思っていると、俺はとあるモンスターに遭遇した。
「うさぎ?」
目が赤く、前歯が大きく、尖った角が生えているうさぎだ。
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殺人兎
装備 なし
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名前物騒すぎる。
とりあえずこいつで試してみるか。
「挑発」
その瞬間にうさぎはこちらをものすごい眼光で睨んできて、突撃してきた。
結構速い。
小柄な身体であそこまで速い動きができるのかと思う。
流石に今の俺の敵ではないが。
そのうさぎの動きに合わせて剣を振るう。
そして、うさぎは真っ二つになって絶命した。
『殺人兎を討伐しました』
『兎肉を獲得』
『7ポイントを獲得』
『レアドロップ殺人兎の角を獲得』
レアドロップ?
今までに聞いたことのない単語だ。
アイテムから今入手した角を取り出してみる。
長さが5cmほどの角
何に使えるんだ?
「鑑定」
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殺人兎の角
殺人兎から稀に入手できる角
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そういえば鑑定のレベルを上げてからアイテムを鑑定するのは初めてだったな。
解説みたいなのが増えている。
別にこの情報もいらない情報だけど。
試しに俺の持っている剣も鑑定してみるか。
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プレイヤーが最初に使う剣
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これ不壊の剣って名前だったんだ。
アイテム欄には剣としか書かれなかったからな。
まあ別に名前知ったところでなんだって感じだけど。
鑑定のレベル上げていけば、アイテムの知らない情報とか増えるかな?
でもスキル上昇権の入手ほうがないんだよな。
鑑定を手に入れることのできる方法とかないかな?
俺がそんなことを考えていると、近くで音がした。
話し声も聞こえる。
複数人で行動しているのか?
俺はそちらに隠密を使って移動した。
相手が人の集団なら隠れる必要はなかったが、面倒事になったら嫌なので。
そして、俺は集団を見つけた。
30人ほどの集団だ。
良くもまあこの短時間でここまでの人数を集めたなぁ。
俺なんてこの集団除いたら3人にしか出会っていないのに。
何か集まる場所があるのか?
とりあえず、集団が来た方向に行ってみるか。
「!」
目が合った。
確実に目が合った。
集団のリーダーのような男と俺は目を合わせた。
俺は隠密を使っている。
リーダー以外には気づかれていない。
日本人か?
割と距離があったのであまりわからなかったが、日本人のような気がした。
全能力強化で視力が上がっている俺がギリギリ見える距離にいるのに、リーダーはこっちを認識した。
やばいなあいつ。
さっさとその場を離れることにした。
リーダーらしき男は俺を目で追っていたが、声をあげたり、ついてくるような真似はしなかった。
鳥と戦った時にも相手はボスだったにも関わらず、恐怖はなかった。
だけど、今回は結構やばいと思った。
なんというか、戦闘力という意味ではなく、人間として怖いと思う。
このゲームにはあんなやつもいるのか。
警戒心が足りない。
強くなるたびに油断と慢心が生まれている。
引き締めないとな。
俺はそう思いながら走るのだった。
■■■
「リーダー、どうしました?」
集団の一人が他所を向いているリーダーに話しかけた。
「いえ、なんでもありませんよ」
「そうですか」
リーダーのことは誰も詮索しない。
この集団の暗黙の了解になっている。
「あの人は相当な使い手ですね。もし味方にすることができれば相当な戦力になりそうですが」
リーダーは小声でそう言った。
集団の人々には何も聞こえていなかった。
「それでは皆さん。この先にボスがいます。今回も皆で協力して倒しましょう」
集団はおーと掛け声をあげる。
そうして、その集団はボスに挑んでいった。
この日、遠くない未来でこのゲームを動かしていく二人が初めてお互いを認識したのだった。
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