体力ミジンコ

  僕の名前は双葉莉奈。スポーツテスト完走したら大樹とデートすることになった、今一番幸せな女の子だ。


「よーし~! スポーツテストがなんだ~! 僕の力ならちゃちゃっと終わらせれるぞ~!」




◇握力


 握力検査。握力計を用いて、利き手とそうでない手の握力をそれぞれ三回ずつ測定する。僕の場合、一回目で力尽きて二回目以降はただ下がりする。


 測定の際は、握力計の幅を調整し、人差し指の第二関節が約九十度になるように握り、腕を自然に下ろしたまま、握力計が体に触れないように力強く握り締める。左右交互に測定し、左右それぞれの最高値を記録されるらしい。


「はぁはぁ……」


「双葉莉奈さん、11キロ」


 なにこれ、握力計るのってこんなにしんどかったっけ?


「安達大樹91キロ!」


「やっぱバケモンだな」


「全身筋肉だもんな」


「勉強があまりできないのと、趣味が気持ち悪いぐらいしか欠点ねえな」


 大樹の握力、弱いゴリラかな?



◇上体起こし


 上体起こし。仰向けから肘と太ももがつくまで上体を起こし、すばやく元の姿勢に戻る腹筋運動で、三十秒間に何回できるかを測定する体力テストの一つ。


 僕の場合、一回やるだけでも激痛が走る。


「双葉莉奈さん、三回」


 お、お腹が、い、痛い……


「すげえぞ、安達が五十超えたぞ!」


「確か上体起こしの得点、三十五回から10点取れるんだよな?」


 速すぎて残像が見える。



◇長座体前屈


 長座の姿勢で体をどれだけ前屈できるかを測定し、体の柔軟性、特に太もも裏と腰部の柔軟性を評価する種目。


 僕の場合、前に進まない。


「双葉莉奈さん、21センチ」


 か、肩が千切れそう……


「安達大樹、59センチ」


「高校生の長座体前屈の得点的には9点らしい」


「よかった、安達は人間だった」


 いや多分、筋肉が邪魔してるだけだと思う。



◇反復横跳び


 敏捷性(びんしょうせい)を測定する体力テスト。三本のラインを二十秒間に何回、跨ぐかを数える鬼畜種目。


「双葉莉奈さん、十六回」


 もう、体力の限界。やっぱりスポーツテストやるんじゃなかった。


 それに、さっきからクラスメイトの視線が痛いのだ。哀れみを持たれている感じが。


 あの噂を流した大樹は絶対に許さないと改めて思った。あとでお昼ご飯のお弁当にハバネロパウダーをぶちまけてやると決心した。


「安達大樹六十一超えたぞ」


「長座体前屈以外今の所10点だぞ。すげえな!」


 大樹はやっぱり運動神経が良すぎる。やっぱり、なにかスポーツやったらオリンピック狙えるのではないだろうか。


「はぁ~、次はなに……シャトルラン~!?」


 地獄は始まったばかりだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る