光と闇を君に

 俺の名前は高竹光立。あだ名はタケミツ。


 想い人、野々宮夜昼さん、ヨルさんから「あんた気持ち悪いのよ」と言われた高校二年生だ。


 今は彼女に相応しい男になるべく日々努力しているんだ。




 今日も今日とて格闘技のトレーニングをしていると白い羽根の君と黒い羽根の人が空から降りてきた。


 なんでも上司から地上を攻め落とすように命令されたらしい。止めるように提案したけど聞いててくれないと。


 それで困ったので俺に対処を願い出たということらしい。


 すまない、俺はただの高校生なんだ。そんな世界の危機に対処できるわけが無い。


 そういうのは英雄だかヒーローだかに任せてだね。と言っていたら無理やり空に連れて行かれてしまった。


 まず最初に向かったのは白い羽根の君の上司。


 眩しくて直視できない。


 相手が何か言う前にスネを蹴って怯んだところで頭を掴んで床に叩きつけた。


 眩しい光が消えたのでたぶん顔が光ってたんだと思う。


 次に向かったのは黒い羽根の人の上司。


 黒い不定形の何か。


 いきなり俺に巻き付いてきた。


 手で払ってみるも感触がない。


 俺は前に異世界で貰った伝説の剣で黒いのをこそぎ落とした。


 反撃してきそうだったので持ってきていた白い羽根の君の上司の顔の光で照らして弱らせた。


 二人?を座らせて説教しているときに本来の目的を思い出して地上を諦めるべき理由を提示した。


 すまない、君たちの力では地上を支配なんて無理だ。なぜなら普通の高校生である俺に負けているのだから。


 暴力では何も解決しない。何かを変えたいなら言葉でするべきだ。


 君たちに必要なのは対話をする心だと思うぜ。


 白い羽根の君の背に乗せて貰って俺は帰宅した。




 空を飛んで地上を見た俺は気がついた。


 そろそろ紅葉だと。


 俺は紅葉の時期を調べ紅葉の名所を調べ京都に向かった。


 宇治、嵐山といった名所を回っているときに本来の目的を思い出して紅葉を見ることにした。


 観光客が多過ぎる。紅葉どころではない。


 彼女と出会ったのは鴨川だった。


 キヨ。


 京都に住んで長いらしい。


 俺は彼女に連れられて知られざる京都の魅力を堪能した。


 下鴨神社の境内で彼女からこう告げられた。


「私をあなたのもう一つの故郷にしてくれてもいいのよ」


 俺は静かに立ち上がるとその誘いを断った。


 すまない、京都は良い所だけど住みたくはないんだ。


 ホームシックというやつかな俺は猛烈に家に帰りたくなった。


 ツアー旅行で来ていた格闘技のライバルとバトルをしてから俺は帰宅した。




 京都旅行で写真を撮った俺はもっといい画質で写真を撮りたくなったのでスマホを新調した。


 説明書を見ながら四苦八苦しているときに気がついた。


 機械に強い男はモテるのではと。


 俺はスマホの説明書を読破し家電量販店の製品を網羅しスマホメーカーに就職した。


 新しいスマホのコンペティションで発表する直前に本来の目的を思い出して全てのスマホを過去にした。


 彼女と出会ったのは新しいスマホの設計のときだ。


 技術者のテオドラ。


 彼女の設計は芸術的で独創的で前衛的で排他的で。


 すまない、俺の語彙では説明し切れない。


 とにかく凄かった。


 コンペティションが終わったあと二人きりのオフィスで彼女は俺のネクタイを掴んでこう言った。


「私は全てがほしいの。あなたも私のものになりなさい」


 俺は彼女の頬を打って断った。


 すまない、どうやら君は調子に乗っているようだ。調子に乗った人間は碌な事をしない。


 これで君も目覚めてくれるだろう。


 床にへたり込んだテオドラは何か熱を帯びた目でこちらを見つめてるがどうしたんだろうか。


 俺は彼女を置いて部屋を出た。


 会社内にスパイディベーターがいたのでネクタイで縛って警備室に突き出しておいた。




 光と闇と京都と家電に強くなった俺はヨルさんに会いに行くことにした。


 京都土産も渡したかったし話したいこともある。


 緊張するな。


 京都の話をしたらどんな顔をするだろうか。


 待ち合わせ場所にいるヨルさんに俺はこう言った。


「京都に行って来たんだ。これお土産だよ」


「何一人で行ってんのよ。気持ち悪い」


 ヨルさんはお土産を受け取ると去って行った。


 お土産喜んでくれるだろうか。


 それにしてもヨルさんも京都に行きたかったのだろうか。


 次はヨルさんを旅行に誘ってみようかな。


 全く僕の初恋は最高だぜ。

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