もう一度君に

 俺の名前は高竹光立、高校二年生。皆からはタケミツって呼ばれているよ。


 俺には好きな女性がいる。

 同じ学校の同級生、野々宮夜昼さんだ。

 彼女に告白した俺はこっぴどく振られてしまったんだ。


「あんた気持ち悪いのよ」


 ああ、素晴らしき俺の初恋。


 彼女に振られた後、自分を見つめ直して気がついた。

 俺は服がダサいと。


 俺はファッション雑誌を読み漁り読者モデルになり自分のブランドを立ち上げた。

 タケミツコレクションとして発表するために服飾をしているときに本来の目的を思い出して作った服を破り捨てた。


 そのとき彼女は現れた。ブロンドヘアが美しいビリーダだ。彼女は俺が破り捨てた服を見てこう言った。


「そのままでも皆が憧れる服なのにそれを更に破くなんて、誰にも真似できないわ」


 ありがとう、ビリーダ。だがそれはただのゴミなんだ。ビリーダの熱を帯びた瞳を見下しながら俺はその場を後にする。


 すまない、俺は人が捨てたゴミを勝手に拾うような人は受け付けないんだ。君にはリサイクル、リユースの精神に溢れたエコな人が似合うと思うぜ。


 ビリーダのブロンドヘアを見て気がついた。

 俺は世界を知らなすぎると。


 俺は世界地図で国の名前を暗記し世界遺産を巡り世界遺産検定を受けた。


 マイスターの試験中に本来の目的を思い出して答案を埋めた。


 彼女との出会いはそのときだった。


 試験官のシオン。彼女は俺が部屋を出ようと席を立ったときこう言った。


「何しているんですか!? 勝手に立ち上がらないで下さい!」


 当然だ。試験中だからな。俺は彼女と共に試験会場を出た。シオンと廊下を歩きながら会話を楽しんだ。試験会場の建物の出入り口に辿り着いたときシオンが俺の服の袖を摘んで見つめてきた。俺はその滑らかな指をそっと離した。


 すまない、試験はもう終わりなんだ。


 自己採点で満点の答案を残して俺は去った。


 シオン、君と過ごしたこの場所こそ俺の遺産だよ。


 ディベーター四天王とのバトルを終えてから待っていてくれた鏡子と一緒に帰宅した。


 世界遺産検定を受けて気がついた。


 俺には資格が足りないと。


 俺は資格勉強の為に六法全書を読んでいると酒飲み社会人のオルコが会いに来た。


 オルコが手料理を作ってくれるという。


 俺はエプロンを纏い包丁で食材を美しい姿にしオルコと二人料理コンクールに出場した。


 俺の料理に舌鼓を打つ審査員とこっそり調理用のブランデーを飲みだしたオルコを見て本来の目的を思い出してオルコに断酒させた。


 すまない、やはり酒の匂いは駄目なんだ。


 ボトルから直接飲むのは体にも良くないと思うから止めたほうがいいよ。


 ただオルコ、君の料理は美味しかったぜ。きっといいコックになれるぜ。


 異世界から戻ってきた白い羽根の君と野良ディベーターと朝食をとってから俺は登校した。


 登校して夜昼さんに会うために校舎を彷徨って気がついた。


 俺は夜昼さんがどこにいるのか知らないと。


 俺は教室に彼女がいない事を確認し職員室の闇ディベーターだった担任の机にあった名簿から彼女が帰宅部であることを突き止め同じく帰宅する為に彼女の後をつけた。


 彼女と同じ道を歩いていると暗くて人気のない場所に差し掛かったので思わず声をかけた。


「ずっと君を見ていた。俺と一緒にならないか?」


「ずっとつけてたの? 気持ち悪い」


 彼女は防犯ブザーを俺に見せつけながら一人で行ってしまった。


 防犯意識まで高いなんて、やっぱり僕の初恋は最高だ!


 人気のない場所で闇討ちしてきた格闘技のライバルを返り討ちにして俺は帰宅した。

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